【完】専属料理人なのに、料理しかしないと追い出されました。

桜 鴬

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【記念日お礼・Thanks to everyone】

蒲焼きの日。one more time⑧

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 これはまた美味しそうです。流石はダンジョンの国ならのお料理ですね。シーグリンダンジョンの海鮮尽くしから、他のダンジョンの素材も盛り沢山。お昼はダンジョン料理のオンパレードとなりました。大皿にお料理が彩り鮮やかに盛り込まれ、テーブルの上を回ります。回転テーブルですか?中々便利ですね。しかし調理素材を聞いてビックリです。
 「お米に小麦までダンジョンでですか? ドロップするんですか?実っていて採取する訳ではないんですよね? 」
  しかも豆類まで? いったいどういう仕組みなのでしょう?私はついつい質問してしまいます。
 視察の案内をしてくれている、視察団の団長さんが説明してくれます。
 「シーグリンダンジョンと同規模のダンジョンに、カントリーダンジョンがあります。シーグリンは海と河川ですが、こちらは山あり谷あり渓谷あり。地形のダンジョンといわれているのです。実はその一階層と二階層で、穀物や果実の栽培をしているのです」
 ダンジョンで水田や田畑を作っているのですか!それは画期的なことではないのでしょうか?
 「カントリーダンジョンの一、二階層は、フィールドタイプで延々と広がる草原です。所々に森や小川は有りますが、魔物も少なく小型ばかり。しかし貴重な薬草が森の中には多く、採取するに人気なのです。しかし二階で炊事をしたある冒険者パーティーが、火災をおこしてしまったのです。幸い森に被害はありませんでしたが、草原は真っ裸になってしまいました」
 ダンジョン内部での火災は怖いわ。でも被害者が出なくて良かったわね。ダンジョンには自然回復力があるから、大規模な野焼きになっても、二日もあれば復活するはずです。魔物はそれより早くポップしますけど。
 「逃げ出した冒険者パーティーは、火が収まったのを確認し現場を調べました。連絡したギルドからは、水系を使用できる魔法使いが数名かけつけてきました。一緒に己たちの荷物や状況を確認に戻ったのです。この時点で約一日が経過していました」
 ふんふん。それは真っ当な考えだよね。火がまだ燻っていたりしたら大変だから、水を撒きながら調べたんだね。
 「二階の草原のフィールドは未だ真っ黒状態。煙が一階層にまで蔓延したため、ススが積もり一階も森以外は全滅でした。しかし既にポツポツと緑は回復し始めていたのです。若葉が地面に顔を出していました。見ている間にも、ムクムクと成長しているのがわかるのです」
 「ダンジョンの再生力って凄いのね。二日もすれば元通りになったのかしら?」
 「はい。二日もかかりませんでした。しかしそれより驚いたのが、冒険者が逃げる際に置き去りにした、米や小麦や胡桃などの木の実からも芽が出ていたのです。小麦や米は精製されていたのにですよ。しかもセーフティゾーンではなく、投げ出された草原のフィールドで芽生えていたのです!」
 ダンジョン内部で通常の食料を育てるなんて普通は考えもつかないわ。実際に芽吹いていたから実行したのね。しかし加工された物からまで……
 でもダンジョンの中は不思議な世界。短時間にダンジョンに慣れた種子達が、芽生えても可笑しくはないのかもしれません。ダンジョンによって変質させられたのかもしれませんね。
 それから隣国はダンジョンの中でも、地上の食物が育つか研究を続けたそう。色々な穀類や野菜や果樹類などを試してみましたが、幾つかが栽培可能となったそうです。
 「現在は米と小麦。大豆に小豆。オレンジにリンゴが作られています。果樹は二階層に植えているだけですが、倒された魔物の養分が栄養になるのでしょう。味も濃厚で甘味も強く、また短期間で実ります。これらは高級品としての販売や、他国へ輸出されています」
  聖なるダンジョンのビックフルーツとは違い、巨大化はしなかったそうです。またダンジョン内で育て出来た種子を、地上で栽培することもできませんでした。きっとダンジョンの魔物たちと同じ扱いになったのでしょう。つまりダンジョンの固有種な訳です。そのご一階層では水田と小麦畑を広げてゆき、小豆と大豆と共に連作しているそうです。
 「無事だった一階層の森でも、かなりの薬草類が採取できます。さすがにそれらの栽培は無理でしたので、田畑との境に境界を作りました。冒険者が入る場所と、魔物を入れない栽培区画を分けたのです」
 栽培区には我が国からの魔物避けを設置し、魔物の侵入を防いでいるそうです。その魔物避けは……ころポックル商会新発売の、『魔物線香』ですね。商会では私が利用していた個人使用タイプと、煮炊き専用の固形燃料タイプを販売していました。これを改良したのが、広範囲にきく『魔物線香』です。帝国の火をつけ燃やし、長時間煙を出す線香をみて思い付きました。適温と保温と加熱を重ねて付加した、子ブタさん型の魔道具のお口に、改良した固形燃料型線香をセットします。するとあら不思議。固形燃料型線香が適温で加熱され香りが広範囲に届き効果が発揮し、長時間持続します。温度は三種の魔法を付加したため、魔石使用で自動的に調整してくれます。
 もちろん『魔物線香』は魔道具無しでも使用できます。しかし適温で長時間維持するには人手が必要。そこで子ブタさん型魔道具がお役にたつのです。初期投資は少々お高いですが、魔石と『魔物線香』自体はそんなにお高くありません。貴重な薬草が手に入る、聖なるダンジョンのおかげです。
 「商会で販売している、『魔物線香』を使用してくださっているんですね。ありがとうございます」
 「いえ。こちらこそ大変助かっております。同時に個人用の魔物避けを腰につけていれば、一階層と二階層なら、ほぼ魔物にあいません。穀物と果実の栽培は年配の方に任せ、子供たちは周囲の森で小型の魔物退治や採取をする。家族でダンジョンで働く方も増えました」
 栽培を始めた頃は『魔物線香』が無かったから、栽培地区には見回り要員と護衛が必要だったそうです。そのための経費がかかりすぎ、商品は高額すぎて売れなかったそうで……
 「それは中々興味深いお話です。帝国でもダンジョンに潜り始め、資源としての有効活用を模索しているのです」
 将軍は帝国内のダンジョンを潜りまくり、帝国の未来の為にと奮闘しています。その際に発見した三つの池を何かに利用できないかと考案中とのことです。この池は後宮の地下のダンジョンの三階層でみつかったそうです。隠し部屋になっており、部屋の中には三つの池のみ。鑑定をして貰ったそうですが、宝箱が数個草むらで見付かったのみ。池には何もありません。魚は住んでいますが、魔物の気配も無いそうです。なにか儀式にでも使用していたのでしょうか?
 「魚が住んでいるので有れば、とりあえず色付きの鯉辺りを放してみたらどうですか?色付きの鯉は最近特に、貴族の方々に人気です。錦鯉といわれる大きくて綺麗な鯉は、かなりのお値段になります。初期投資が心配ならば、金魚と呼ばれる小さな色付きの魚でも可能では? 最近帝国の島国のダンジョンで生息しているのが見付かったとか? 聞いていませんか? 」
 私とルイスは顔を見合わせます。そうです!あれですよ!皇帝のおば様の国のダンジョンで発見したのです。新婚旅行の時に潜り、あまりの綺麗さと、魔物でないことに驚いたのです。
 つまりあれを捕獲し、池で大きく育てると言うわけですね。
 「将軍! 皇帝のおば様の国のダンジョンですよ。魔物ではないから、ダンジョン外へ出しても大丈夫だったんですね。見付けたあと持ち帰り、調べていると聞きました。沢山いたから稚魚を貰って育ててみたらどうですか?」
 「そうですね。戻ったら聞いてみましょう。なるほど。つまり養殖ですか……他にはなにか…………」
 稚魚から育てる……それって……
 「あー! 今回の蒲焼きちゃんになる、カームアリゲーターみたいじゃない。あれも真水のプールみたいな所で育つのよね?  なら他にも出来そうだけど……」
 「アリー…………」
 ……ルイスの呆れた視線が痛いです。やはり蒲焼きちゃん発言は、不味かったのでしょうか?
 「アリーさん! それですよ! ウナギです! 稚魚はシラスとして捕獲し食べていますから、その稚魚を育ててみましょう。池は三つあるので、三種は試せます。ウナギは数が中々捕れません。成功したら是非ころポックル亭で本物のかば焼きの日を!」
 私は将軍の目をとらえ、互いにしっかりと手を握りあいます。
 「将軍! もちろんです! ころポックル亭で本物の蒲焼きを出すのは私の悲願です! ウロボロスにコンガーイールにカームアリゲーター。どれも蒲焼きに不足はありません! しかしやはり私は、皆様に本物を提供したいのです! 是非成功させてください!」
 ブンブンと振り合う手を、ルイスに手刀でカットされ……
 「いい加減にしなさい。将軍はしっかりと箸が進んでいますが、アリーは全くの手付かずです。せっかくのお料理が冷めてしまいます。料理人の方々に失礼ですよ」
 ……はい……凄く失礼ですよね。反省します。料理人さん。ごめんなさい。
 
 私たちは美味しいダンジョン料理を食べ、沢山の買い物も済ませました。

 「……しかしアリー……よく食べますよね。本当にお腹は大丈夫なのですか? あれだけ買い食いし、ダンジョン料理もすべて平らげ、デザートのフルーツ盛り合わせはお代わりまで……」
 だって!果物は本当に美味しかったの!あのオレンジとリンゴなら、生で何個でも食べられそう。妊婦権限で、特別に一箱ずつ購入させて貰ったの。気持ち悪くなっても大丈夫ね!
 夕飯は宿泊させていただいている、お城の食堂で食べています。
 あのダンジョンの戦利品でのフルコース料理で、魚卵ずくしです。スープのビシソワーズには真っ赤なイクラがのっています。ボラのカルパッチョにも、まるで宝石のようにイクラが散りばめられキラキラと輝き……
 「イクラってやっぱり美味しいわー。もう少し購入していこうかしら?」
 「明日はもう帰るだけです! 食べたくなったらまた買いに来なさい!」
 へーんだ! スキルで飛んで、一人で居なくなると怒るくせに……
 ん?これがカラスミ……ねっとりとコクと旨みがあり、まるでチーズのような……サーモンクリームスパゲティの味に絡み、クリームの味が引き立っています。カラスミはこのままで食べてもワインにあいますね。これは是非ころポックル亭の夜の部で、おつまみに提供しましょう。カナッペ風にしたらお洒落ですね。
 実はボラッ魚砲の砲弾だった小さめのボラたち。あれらは食べる部分が少ないからと、普段放置されていたそうです。通常ならばボラッ魚砲が発射する前に倒されちゃいますしね。しかし捌いてみると、白子や卵が入っていたのです。確かに可食部は少ないし、卵も小さいです。しかし料理してしまえば変わりません!白子は焼いても美味しいですし、卵は是非ともカラスミを作りましょう。今回のボスはサーモンマーメイドでしたが、大当りはチョウザメマーメイドとのこと。黒い宝石!粒々と弾けるような小さな魚卵は、イクラとはまた違う食感で高級食材とのことです。さすがに市場で試食はできませんでしたが、バッチリ購入してきました。食べるのが楽しみです。
 それから最後に発射されたウニです。あれはやはりほとんどがガンガゼでした。しかしバフンウニとムラサキウニもかなり混じっていたのです。やはり小さいので処理が大変ですが、ウニのためなら頑張りましょう。ちなみにガンガゼも食べられるんですよ。味が他のウニより落ちると言われているだけです。落ちる味は、私が調理しなんとかしちゃいます。やはりクリームスパゲティがよいかな?ガンガゼをたっぷり入れて作りましょう。ペーストにしてウニ焼きも美味しそうです。試作が楽しみです。

 お土産にタラコとシャケの、ダンジョン産米お握りをいただきました。タラコは焼いても塩漬けのままでも美味しいとのこと。スパゲッティに絡めても美味しそう。あ!帝国風でも我が国風でもいけますね。生でシソというハーブを乗せて帝国風。クリームと搦め手我が国風…じゅるり……

 「ルイス! タラコも買いたい! 」

 ……はい……お土産に戴いた分でがまんします。
 
 ダンジョンでの問題が簡単に片付いてしまい、私は妊娠が発覚。シーグリンダンジョンを潜ることはできませんでしたが、中々有意義な時間を過ごせました。調査団の皆様、色々とありがとうございました。美味しいお料理にダンジョン文化、ころポックル商会で広めさせていただきます。
 将軍もお疲れ様でした。小型船のセールスに近々というか、もしかしたら明日このまま行くのかしら?【未来への道標】もあるし、潜らなかったから日程余ってるし……
 「あ。アリー。明日は帝国に飛びます。今連絡が来ました。調査団の皆様もご一緒します。小型船の件もありますし、日程も余っています。池も見てきましょう」
 はーい。どうせ拒否権なんてないし、仕事だからしないけどね。
 
 何だかんだで押し付けられたような外交名誉特使ですが……結構楽しんでつとめています。美味しい未知の食材との出会いを楽しみつつ、アリーは日々を楽しく過ごしています。

 アリー頑張ります。

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