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2章
39話:決着
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「ハァァァァ!」
相手の攻撃など気にせず、聖剣を手に攻撃を続ける。これで何とかなるならわざわざ魔神モードになる必要はないからな。
「攻撃を気にせずにとにかく攻撃……いわゆるゴリ押しってやつか……」
頭を使うのは多人数の戦闘や戦争で十分。一対一の死合はそんなまどっこしいことはなしの方が楽しめるってもんだ。
「やはり光属性はキツイようだな」
「ソンナタタカイカタハフサワシクナイ……」
「へへっ、お前も楽しめ」
相手は偽神じゃない。なら楽しまないとだ!
宝物庫からありったけの聖剣をだす。そろそろあれをやってみるか。
「これならどうだ」
聖剣を重力の魔法で操り、リッチに大量落下させる。落下させて当てた後は、再び宝物庫に再度戻し落とす。消滅するまでの無限ループだ。
「ウッ……」
「どうだ!相応しくないというなら耐えてみせるんだな!」
リッチは大量の聖剣を体に受け、ついに耐えきれなくなり体が消えかける。そんな中言葉を発し始めた。
「ミゴトダ、ダガコノサキニイクニハ、コレヲウケルヒツヨウガアル。ココヲツクリシヌシハ、ナニヲイトニココヲツクッタノカ……オレハジシンノシヲモッテソレヲシリ、ココヲマモッテイル。オレハココデスベテノマチビトヲモッテヤクメヲオエル……」
なるほど、こいつもそういう事情があるのな。
「ってことはまだ役目は終わらんな。お前の行く末に幸あれってもう死んでるか……」
「デハココデシマイニシヨウマジンヨ、カミゴロシニサチアレ……」
消滅と同時にリッチの体に光が包む。
「ザ・ディサピアランス……」
「なっ……」
その言葉を聞いた瞬間戦慄が体を襲う。朱い体に銀髪銀眼……魔神モードへと体を変化させる。しかし魔神モードへとなったところで不完全な状態であることに変わりはない。その技に耐えきれるわけもなく、体を貫き右上半身が消滅する。
「周平!」
「うっ……」
何故こいつがあの技を……これは聞いてない。
「はぁはぁ……これはジェラードさんの……」
かつて同じ二十柱のランスロット先生の元で鍛えてもらった時の記憶を思い出す。その一番弟子で、竜王となったあの男の記憶を俺は思い出した。
「なるほど……ここは先生達が絡んでるってわけか……九兵衛さんはここに俺を連れてきたかったと見て間違いないようだ」
消滅した体を再生させる。あの攻撃は本来再生不可の消滅の力……魔神の力によってその因果律を捻じ曲げて、体を再生させているが力が完全ではないため一瞬での再生ができなかったのだ。
二十柱の神殺しの一角竜王の消滅の力……
「大丈夫か!?」
「ああ……予想外の攻撃を喰らっちまってさ……」
「あの攻撃……見ているこっちも戦慄したぞ……」
「あれは同胞の技だ……倒すと同時に攻撃するみたいただな」
「なるほど……なにはともあれ無事で何よりだ」
「ああ、さて転移装置に触れてと」
触れると俺のみの体が光り、カゲロウは拒否される。恐らくこの先に行くことを許されていないのだろう。
「ああ、ここで待っててくれ」
「ああ」
転移装置に触れ移動すると、転移した先は、天井が夜空の星のように光る大きな広間だった。その空間には武器があり、それぞれ岩のようなものに刺さっている。
「あれは絶門か……それにあれは立花のも」
岩は八つでうち二つは見覚えがある、というか俺と立花の奴だ。刻まれた文字には戒律、叡智、慈愛、調和、混沌、奇跡、災厄、創造が残るということは俺と立花を除いて二十柱のうち一二柱は現存しているということになる。
「さて回収させてもらうか神刀絶門よ」
久しぶりに見たその愛刀は昔と変わらず輝き続けていた。この武器で何人を斬っただろうか……俺の体の一部にも等しい物だ。
武器を回収すると体が自動的にワープされ、カゲロウの待つ場所に戻された。
「戻ったぞ」
「何か収穫はあったか?」
刀を見せる。
「俺が昔使ってた愛刀だ。幻神級の武器だ」
「凄い力を感じるな……」
「当然だ」
「ハハッ、それじゃあ帰ろうか。俺には心臓に悪い場所だ」
帰りの道中は試し斬りをしながら魔物を狩って戻った。久しぶりの愛刀の力を改めて実感しこの場所を後にした。
◇
「周平君!」
「どうした?」
ここはファーガス王国のクレセントの迷宮の二百層だ。雪と美里二人の訓練をしており今日もいつも通り来たと思ったら二人は焦った表情を見せる。
「尾形君が脱走したわ……」
「何だと!」
尾形はここには呼んでなかった。あいつはここには敢えて呼んでいなかった。ただあいつはそんな脱走なんかするタイプでもないとは思う。
俺に感化されたか?いや一人でそんなことをするような奴ではない……一体誰がそんな事を……
「周平君が尾形君に何か言ってたのかななんて思ったけど……」
「いや、俺は何も言ってない」
そんな手引きをしたような奴がいたとして騙されてなければいいんだが……
「まぁいい……それで今はどうだ?」
「もうすぐ大規模な攻略が始まるわ」
確か二五〇層までは攻略していたはずだな。ということはそろそろ仮のクリアたる、三百層まで来るのも時間の問題だな。本体もそろそろ来て欲しいとこなんだがな。記憶の共有は定期的にとわかっているはずなんだがな。
「そうか……いけそうか?」
「ええ。あの人数でやる作戦もしっかり組んでるわ。周平君が助言してくれた通りに組んだけどうまくいってるわ」
「そうか、それは良かったよ」
簡単に言えば能力や力に応じて前衛、中衛、後衛を分けて隊列を作って攻略するようにというのを言っただけだがな。ただ仲の良さなんかを考慮しすぎてしまう嶋田では決められない配置にした。
「正直周平君とここでしか会えないのがな……」
「ほんとそれ。たまには雪を出し抜いて周平君とデートしたいんだけどな~」
「美里ちゃん。抜け駆けは駄目だよ!それに奥さんいるんだからね周平君は」
「でも奥さんにも許可取ってるんだし~」
この世界のルールでは一夫多妻が認められており、一番目を正妻、二番目以降は側室となる。ここを離れる時に美里からこの世界は一夫多妻制だし、私と雪を側室にしろというお願いをされた。迷ったが後々のことを考えその申し出を受けた。立花もそのことを考慮し、あくまでも自分が正妻で、本体がそばを離れないことを条件に承諾を得た。四大迷宮を全て攻略すれば、世界のどこでも存在できる分身体も作り出すことが可能になるからだ。
「ハハッ、俺としても二人の事は好きだし離したくはないからな」
「フフッ、ちゃんと幸せにするのよ~」
美里はこちらに抱き着いてくる。あ、胸の感触が……そういえば美里はけっこうデカかったな。
「あっ美里ちゃんずるい~」
雪も負けずと抱き着いてくる。
「ハハッ、二人とも苦しいって~」
「なぁに?美女二人のハグが受けれないっての?」
「いや~それは……」
二人ともいい匂いするし、立花とは違う感じがたまらんな。
「でもよかった……」
「何がだ?」
「周平君が立花さんと会ったらただの友達になっちゃうのがずっと怖かったんだ……」
雪は少し悲しそうな顔を見せる。高校入った時にとあることがあって切れない関係になったからな。お互いにお互いを必要としていた時期があった。
「ハハッ、最初はそうする考えもあったよ」
立花は前世の嫁であり、転生後も幼馴染だったからな。やはり一番はあいつだ。
「まぁ美里のお陰だな」
美里が私達を捨てたら呪い殺すなんて言ったからな。押しに負けてしまった感はある。
「フフッン~感謝しなさいよ雪~」
「うん!」
だが俺の本体や立花がいずれ行くべき場所はここでも地球でもない。雪と美里がどっちの選択をするかはわからないが、それを考えれば、二人とこういう関係でいるのは俺には必要なことだ。
相手の攻撃など気にせず、聖剣を手に攻撃を続ける。これで何とかなるならわざわざ魔神モードになる必要はないからな。
「攻撃を気にせずにとにかく攻撃……いわゆるゴリ押しってやつか……」
頭を使うのは多人数の戦闘や戦争で十分。一対一の死合はそんなまどっこしいことはなしの方が楽しめるってもんだ。
「やはり光属性はキツイようだな」
「ソンナタタカイカタハフサワシクナイ……」
「へへっ、お前も楽しめ」
相手は偽神じゃない。なら楽しまないとだ!
宝物庫からありったけの聖剣をだす。そろそろあれをやってみるか。
「これならどうだ」
聖剣を重力の魔法で操り、リッチに大量落下させる。落下させて当てた後は、再び宝物庫に再度戻し落とす。消滅するまでの無限ループだ。
「ウッ……」
「どうだ!相応しくないというなら耐えてみせるんだな!」
リッチは大量の聖剣を体に受け、ついに耐えきれなくなり体が消えかける。そんな中言葉を発し始めた。
「ミゴトダ、ダガコノサキニイクニハ、コレヲウケルヒツヨウガアル。ココヲツクリシヌシハ、ナニヲイトニココヲツクッタノカ……オレハジシンノシヲモッテソレヲシリ、ココヲマモッテイル。オレハココデスベテノマチビトヲモッテヤクメヲオエル……」
なるほど、こいつもそういう事情があるのな。
「ってことはまだ役目は終わらんな。お前の行く末に幸あれってもう死んでるか……」
「デハココデシマイニシヨウマジンヨ、カミゴロシニサチアレ……」
消滅と同時にリッチの体に光が包む。
「ザ・ディサピアランス……」
「なっ……」
その言葉を聞いた瞬間戦慄が体を襲う。朱い体に銀髪銀眼……魔神モードへと体を変化させる。しかし魔神モードへとなったところで不完全な状態であることに変わりはない。その技に耐えきれるわけもなく、体を貫き右上半身が消滅する。
「周平!」
「うっ……」
何故こいつがあの技を……これは聞いてない。
「はぁはぁ……これはジェラードさんの……」
かつて同じ二十柱のランスロット先生の元で鍛えてもらった時の記憶を思い出す。その一番弟子で、竜王となったあの男の記憶を俺は思い出した。
「なるほど……ここは先生達が絡んでるってわけか……九兵衛さんはここに俺を連れてきたかったと見て間違いないようだ」
消滅した体を再生させる。あの攻撃は本来再生不可の消滅の力……魔神の力によってその因果律を捻じ曲げて、体を再生させているが力が完全ではないため一瞬での再生ができなかったのだ。
二十柱の神殺しの一角竜王の消滅の力……
「大丈夫か!?」
「ああ……予想外の攻撃を喰らっちまってさ……」
「あの攻撃……見ているこっちも戦慄したぞ……」
「あれは同胞の技だ……倒すと同時に攻撃するみたいただな」
「なるほど……なにはともあれ無事で何よりだ」
「ああ、さて転移装置に触れてと」
触れると俺のみの体が光り、カゲロウは拒否される。恐らくこの先に行くことを許されていないのだろう。
「ああ、ここで待っててくれ」
「ああ」
転移装置に触れ移動すると、転移した先は、天井が夜空の星のように光る大きな広間だった。その空間には武器があり、それぞれ岩のようなものに刺さっている。
「あれは絶門か……それにあれは立花のも」
岩は八つでうち二つは見覚えがある、というか俺と立花の奴だ。刻まれた文字には戒律、叡智、慈愛、調和、混沌、奇跡、災厄、創造が残るということは俺と立花を除いて二十柱のうち一二柱は現存しているということになる。
「さて回収させてもらうか神刀絶門よ」
久しぶりに見たその愛刀は昔と変わらず輝き続けていた。この武器で何人を斬っただろうか……俺の体の一部にも等しい物だ。
武器を回収すると体が自動的にワープされ、カゲロウの待つ場所に戻された。
「戻ったぞ」
「何か収穫はあったか?」
刀を見せる。
「俺が昔使ってた愛刀だ。幻神級の武器だ」
「凄い力を感じるな……」
「当然だ」
「ハハッ、それじゃあ帰ろうか。俺には心臓に悪い場所だ」
帰りの道中は試し斬りをしながら魔物を狩って戻った。久しぶりの愛刀の力を改めて実感しこの場所を後にした。
◇
「周平君!」
「どうした?」
ここはファーガス王国のクレセントの迷宮の二百層だ。雪と美里二人の訓練をしており今日もいつも通り来たと思ったら二人は焦った表情を見せる。
「尾形君が脱走したわ……」
「何だと!」
尾形はここには呼んでなかった。あいつはここには敢えて呼んでいなかった。ただあいつはそんな脱走なんかするタイプでもないとは思う。
俺に感化されたか?いや一人でそんなことをするような奴ではない……一体誰がそんな事を……
「周平君が尾形君に何か言ってたのかななんて思ったけど……」
「いや、俺は何も言ってない」
そんな手引きをしたような奴がいたとして騙されてなければいいんだが……
「まぁいい……それで今はどうだ?」
「もうすぐ大規模な攻略が始まるわ」
確か二五〇層までは攻略していたはずだな。ということはそろそろ仮のクリアたる、三百層まで来るのも時間の問題だな。本体もそろそろ来て欲しいとこなんだがな。記憶の共有は定期的にとわかっているはずなんだがな。
「そうか……いけそうか?」
「ええ。あの人数でやる作戦もしっかり組んでるわ。周平君が助言してくれた通りに組んだけどうまくいってるわ」
「そうか、それは良かったよ」
簡単に言えば能力や力に応じて前衛、中衛、後衛を分けて隊列を作って攻略するようにというのを言っただけだがな。ただ仲の良さなんかを考慮しすぎてしまう嶋田では決められない配置にした。
「正直周平君とここでしか会えないのがな……」
「ほんとそれ。たまには雪を出し抜いて周平君とデートしたいんだけどな~」
「美里ちゃん。抜け駆けは駄目だよ!それに奥さんいるんだからね周平君は」
「でも奥さんにも許可取ってるんだし~」
この世界のルールでは一夫多妻が認められており、一番目を正妻、二番目以降は側室となる。ここを離れる時に美里からこの世界は一夫多妻制だし、私と雪を側室にしろというお願いをされた。迷ったが後々のことを考えその申し出を受けた。立花もそのことを考慮し、あくまでも自分が正妻で、本体がそばを離れないことを条件に承諾を得た。四大迷宮を全て攻略すれば、世界のどこでも存在できる分身体も作り出すことが可能になるからだ。
「ハハッ、俺としても二人の事は好きだし離したくはないからな」
「フフッ、ちゃんと幸せにするのよ~」
美里はこちらに抱き着いてくる。あ、胸の感触が……そういえば美里はけっこうデカかったな。
「あっ美里ちゃんずるい~」
雪も負けずと抱き着いてくる。
「ハハッ、二人とも苦しいって~」
「なぁに?美女二人のハグが受けれないっての?」
「いや~それは……」
二人ともいい匂いするし、立花とは違う感じがたまらんな。
「でもよかった……」
「何がだ?」
「周平君が立花さんと会ったらただの友達になっちゃうのがずっと怖かったんだ……」
雪は少し悲しそうな顔を見せる。高校入った時にとあることがあって切れない関係になったからな。お互いにお互いを必要としていた時期があった。
「ハハッ、最初はそうする考えもあったよ」
立花は前世の嫁であり、転生後も幼馴染だったからな。やはり一番はあいつだ。
「まぁ美里のお陰だな」
美里が私達を捨てたら呪い殺すなんて言ったからな。押しに負けてしまった感はある。
「フフッン~感謝しなさいよ雪~」
「うん!」
だが俺の本体や立花がいずれ行くべき場所はここでも地球でもない。雪と美里がどっちの選択をするかはわからないが、それを考えれば、二人とこういう関係でいるのは俺には必要なことだ。
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