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瑠璃(前編)
しおりを挟む年が明けて2月になり推薦入学の試験が始まった、元から入れるようにはなっているとはいえやっぱり緊張してる……
私は大丈夫だったけど秋くんは内申点からヤバイらしくて受験に行く前から頭を抱えて悩んでいた。
今は電車の中で名古屋に向かっている最中だった。
「なあ、千景……」
「なに?」
「今から最初にお前の家…久曽神の家に行くんやろ?俺も泊めて貰って大丈夫なんか?」
心配そうにこっちを見る秋くん、いつもはそんなこと気にもしてないのにさっきから落ち着かないみたいだ。読んでいた雑誌を閉じて秋くんを見据える。
「大丈夫だって、ちゃんと宝珠さ……お祖母ちゃんにも言ってあるし、男として行くんだから男友達と行っても怪しまれないでしょ?」
「ならええけど……」
まあ隆さんと嘉久さんにはバレてるけど……取り合えず家から秋くんの予備の制服を借りて男装をしてる、今のところ変な目で見られてないからいいと思う……
名古屋に着いて宝珠さんの携帯に電話をする、駅に迎えを寄越してくれているらしくて待ってる場所を聞いてそこに向かった。
駅には沢山の人が居てみんな忙しそうだった、今日は平日で背広を着た人が電話しながら歩いていた。
その中で私達と同じ様な制服を着た中学生くらいの女子が人にぶつかり倒れていた、慌てて近寄ると結構可愛い子で三つ編みにしていて荷物を沢山持っていた。
「だ、大丈夫……?」
手を差し出すと顔を赤く染めながらもその子は手を掴み起き上がった。
「あ、ありがとうございます。すみません……」
スカートの埃を払い荷物を拾ってお礼を言われる。
「気を付けてね、ここ人通りが多いみたいだから。」
「はい、すみません……あの、もしかして久曽神高校に受験に行かれる方ですか?」
「あ、うん……そうだけど……よくわかるね?」
「はい、だってこの辺りの中学の制服じゃにゃあらぁ?私は静岡からなんずらけど親戚がこっちに居て制服を見たこともあったから……」
静岡弁?なのかな?ちょっと聞き取りにくくて首を傾げてるとその子はハッとしたように口を手で閉ざした。
「あっ、す、すみません……方言でわからないですよね…あのっ!わたし、高野瑠璃(こうのるり)ですっ!」
「あ、わた……僕は久曽神陽斗。ゴメンね、人を待たせてるから……秋くん行こ!」
女だってバレないように慌ててその場を立ち去る、もしクラスメートになったら大変だし……明日の試験で会うんだろうけど……
瑠璃ちゃんは私達が見えなくなるまでこっちを見てたみたいだった、気付かれたかな……
「久曽神陽斗……君かぁ……」
正面玄関に横付けて停まっていた久曽神家の車に乗り込んだ、運転手は動物園に行ったときの運転手さんだった。私は会釈をしたけど秋くんは舞い上がっていて車の中ではしゃいでいた、この先不安だ……
そんな不安を抱えながらも何とか久曽神家に着いた、待っていた宝珠さんとお手伝いさんのマキノさんに迎えられる。
「お帰り、陽斗。いらっしゃい、楠君……だったかしら?」
宝珠さんはやっぱり秋くんがここに来ることをよく思ってないらしく睨み付けていた、その秋くんは周りをキョロキョロと見ていて気がつかない。
横にいた秋くんを肘でつつくと漸く気がつきマキノさんに挨拶をした。
「く、楠秋です!宜しくお願いしまっす!!」
「え?」
「あ…秋くん……その人、お手伝いさん……」
「………」
「うわ!?す、すんません!」
慌てまくる秋くん、更に宝珠さんの機嫌が目に見えて判る……はああ……
夕食になり嘉久さんも学校から帰ってきた、隆さんは仕事で遅くなるらしい。秋くんはずっと嘉久さんを敵視してたけど嘉久さんは完全無視してた、どうして仲よく出来ないかな……
「あの……失礼します。」
「……ああ、千景ちゃんか…久しぶりじゃな……」
「はい……お久しぶりです。お体はどうですか?」
「最近は体調はいいんじゃが腰が痛くてあまり起き上がれなくてな…」
半年以上ぶりに会う源兵衛さんは寝たきりになっているみたいで前に見たときより明らかに痩せていた……
秋くんも一緒に連れて来ようとしたけどこの様子では連れて来なくて正解だったな、煩(うるさ)くするだろうし……
「あの……ちょっとお聞きしたい事があるんですけど…」
「ん?何かな?」
私は秋くんと誠さんに同時にされたときに見た白昼夢のような記憶がずっと頭の片隅に残っていた、それは源兵衛さん…お祖父さんと陽斗君の記憶だった……
「こんなことを聞くのはどうかと思うんですけど……」
「………」
源兵衛さんは黙ってこっちを見たまま動きが止まった、今から私が聞くことを分かっているんだろう……
「お祖父さんは……御稚児趣味があります……?」
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