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悠仁(前編)
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8月になり今日は何故か東京にいてアヴィオンの東京本社(名古屋にも本社はあるけど対外的にその方が都合がいいらしい)で経営会議に参加している。
源太の会社、アヴィオン物産のこれからの展開について話し合う事になっていて連れてこられた。
大きな会議室には社長のパパ……お父様と重役のオジサン達が居る中でどうしても目立ってしまう高校生が1人、制服姿でどうしたらいいのか戸惑っていた。
重役達の中にはお婆様の末の妹の旦那さんの一柳専務……幸三さんだったかな?もいた、従兄弟の涼雅兄ちゃんのお父さんだ。私を睨み付けるように見ていた、まあ仕方ないんだろうけど……
因みにお婆様は名古屋に残っている、アヴィオングループは東京はパパが、名古屋はお婆様が統括している。
なのでいつも週末にしかパパには会えなかったんだけど今日は平日で会えたのでちょっとラッキーかも?
会議は恙無く進んでいったんだけどやっぱりアヴィオン物産の所で質問攻めにあってしまった。
重役達が源太の手腕の事や不審なお金の流出、この後の経営方針について尋問や追求が続いた。まあ不審なお金っていうのは特別手当てで間違いなく私も絡んでるし……
なんとか答えて事業展開や経営、収益についても少しずつ上向きにはいってるので事なきを得ていた。
パパの一声でこのまま暫く私が着いて様子をみると言うことで話は終わった、重役(オジサン)達は不満そうな顔をしてたけど取り敢えずは一安心だ……
会議が終わり今日はパパと東京に泊まることになっていた、源太は仕事が残っていて名古屋に帰っていった。
「お義母様に聞いたが明日からあっちに行くんだって?」
高級ホテルのレストランで昼食を食べながらパパと会話する、あっちっていうのは勇治さんの家の事だ。
パパは私がお世話になっているのに勇治さんを胡散臭く思っているらしい。
「……うん、友達も一緒に、向こうの駅で待ち合わせしてるの。」
秋はともかく何故だか里夏や瑠璃と樹、刹那に真優歌、佐奈や優樹菜に明音、杏奈まで来るみたいだ、紫帆先生の引率で……
そんなにたくさん家に入れないし泊まれないって言ったら近場のホテルを予約したらしい、真優歌が……
流石真性お嬢……
寮生実家に帰らなくていいのかな?
「 まあそれなら心配はないが……帰ってくるんだろう?」
「え?当たり前じゃない……学校あるし。」
「学校があってもあの男……森下勇治だったか?お前を引き止めるかも知れんだろ?」
「勇治さんは……そんな人じゃないよ、いつもは無口な人だけど……優しくて……私……僕の事を一番に考えてくれてる……」
「………気に入らんな、何か裏があるんじゃないか?お前の身体が目当てだったとか……でないと見ず知らずの娘を自分の所で引き取る事なんかしないだろう?」
「そんなこと……」
少し下がった眼鏡を上げつつ私を睨むパパ……
無いとは思うけどえっちしちゃってるし……
何も言えなくなって俯いてしまった。
「……まあいい……」
そう言ったパパは私の後ろに控えていた秘書の人に目配せした、誰かを呼びに行ったみたいだった。
暫くすると秘書の人ともう1人、男の人が個室に入ってきた。
二十歳くらい?スラッとしていて、それでいてガッチリ、背が高くて顔が超イケメン……あれ?何処かで見たような……
「陽斗、彼は俳優の橋下悠仁(はしもとゆうじん)君だ。テレビや映画とかで見たことあるだろ?彼の父親と私は大学時代の友人でね、彼も小さい頃から知っているんだ。」
橋下悠仁?あっ!思い出した、中学の時に穂香達がクールでカッコいいって騒いでた人だ!!
まあ私は興味なかったから気に止めてなかったんだけど……確かにカッコいいよね……本名なのかな?
「はあ……初めまして、久曽神陽斗です。」
「宜しく、キミの事は色々聞いてるよ。オレに任せておけよ?」
「え?どういう……ことですか?」
「悠仁君は空手もやっていてな、お前のボディーガードに丁度良いだろう。交際してもいいからな?」
「はあっ!?交際?ま、待ってよ!?わた……僕そんなん困るて!」
「悪い虫が付くより良いだろう、変な事になったら困るからな。」
有名俳優なら変な事にならない?スキャンダルじゃないの!?大体男同士に見えない?
「まあ気にしなくていいからさ、気軽な関係でいいからさ。ね?」
悠仁さんのその笑顔にドキドキする……でもヤバイよね……
「はあ……わかりました。」
え!?私なに言ってるの!?何で肯定しちゃうの!
「よし、決まりだな。デートでもしてくるがいい、だが今日中には帰ってくるんだぞ?」
パパは機嫌良さそうに笑ってレストランを出ていった、何で何で何で??
「オジサンの許可が出たしどっか行く?」
「……いえ、別に行きたくないですけど……」
「え~?いいじゃん!そうだ、東京案内するよ?な?」
「……うん。」
……また肯定してしまった、でもパパの紹介だしほかっとく(放っておく)訳にもいかないし……
ホテルを出て駐車場まで歩いていくと見たことない車が置いてあった。外車?
「さあ、乗って乗って。」
助手席?普通は運転席側のドアが上に開いた、凄いなあ……
「……あんまり車の事よくわかんないんですけどこれ何て名前なんですか?」
「よく聞いてくれたね!これはランボルギーニのアヴェンタドールって言ってさぁ……」
あ、なんか押してはいけないスイッチを押してしまったらしい。乗る前にその場で30分くらい話を聞かされてしまった……
ちょっと狭い車の中で色々話を聞くと悠仁さんのお父さんは政治家で大臣らしい、お母さんは有名女優の桐ヶ崎鐙子(きりがさきとうこ)なんだって……
サラブレッドのボンボンかあ……あんまり好きなタイプじゃないなあ……
「大人しいんだね?オレの事嫌いだろ?」
「えっ!?」
「ほら、図星って顔に書いてあるよ?」
「マジ!?」
慌てて顔に手を当て擦ると悠仁さんは爆笑してた、しまった!騙された……
素までさらけ出しちゃってたし……
「あははははっ!陽斗面白いなあ!いいよ、無理しなくても、オレの前では女の子でもいいからさ。」
「!?」
「聞いてるよ、オジサンから……元は男だったけど女で見つかったって……学校も男の振りして行ってるんだって?」
「………」
「ビックリしたけどさ、こうやって話してると別にそんなのどうでもよくなるよな。今ここにいる陽斗が気に入ったからさ、ネコ被らなくてもいいから。オレも素のままで接するから、な?」
「………嫌いでもいいの?」
「ああ、これ以上嫌われる事もないだろ?後は好きになるだけなんだから。だから仲良くしようぜ?」
悠仁さんはそう言ってズボンの横で手を拭いて私に差し出した。
「……わかんないよ、これ以上嫌いになる事もあるかも知れないし。」
「はは、まあお手柔らかに頼むよ。」
「うん、わかった。宜しく、悠仁。」
「ああ、よろしくな。陽斗!」
私もズボンの裾で手を拭いて悠仁の手を握った。
源太の会社、アヴィオン物産のこれからの展開について話し合う事になっていて連れてこられた。
大きな会議室には社長のパパ……お父様と重役のオジサン達が居る中でどうしても目立ってしまう高校生が1人、制服姿でどうしたらいいのか戸惑っていた。
重役達の中にはお婆様の末の妹の旦那さんの一柳専務……幸三さんだったかな?もいた、従兄弟の涼雅兄ちゃんのお父さんだ。私を睨み付けるように見ていた、まあ仕方ないんだろうけど……
因みにお婆様は名古屋に残っている、アヴィオングループは東京はパパが、名古屋はお婆様が統括している。
なのでいつも週末にしかパパには会えなかったんだけど今日は平日で会えたのでちょっとラッキーかも?
会議は恙無く進んでいったんだけどやっぱりアヴィオン物産の所で質問攻めにあってしまった。
重役達が源太の手腕の事や不審なお金の流出、この後の経営方針について尋問や追求が続いた。まあ不審なお金っていうのは特別手当てで間違いなく私も絡んでるし……
なんとか答えて事業展開や経営、収益についても少しずつ上向きにはいってるので事なきを得ていた。
パパの一声でこのまま暫く私が着いて様子をみると言うことで話は終わった、重役(オジサン)達は不満そうな顔をしてたけど取り敢えずは一安心だ……
会議が終わり今日はパパと東京に泊まることになっていた、源太は仕事が残っていて名古屋に帰っていった。
「お義母様に聞いたが明日からあっちに行くんだって?」
高級ホテルのレストランで昼食を食べながらパパと会話する、あっちっていうのは勇治さんの家の事だ。
パパは私がお世話になっているのに勇治さんを胡散臭く思っているらしい。
「……うん、友達も一緒に、向こうの駅で待ち合わせしてるの。」
秋はともかく何故だか里夏や瑠璃と樹、刹那に真優歌、佐奈や優樹菜に明音、杏奈まで来るみたいだ、紫帆先生の引率で……
そんなにたくさん家に入れないし泊まれないって言ったら近場のホテルを予約したらしい、真優歌が……
流石真性お嬢……
寮生実家に帰らなくていいのかな?
「 まあそれなら心配はないが……帰ってくるんだろう?」
「え?当たり前じゃない……学校あるし。」
「学校があってもあの男……森下勇治だったか?お前を引き止めるかも知れんだろ?」
「勇治さんは……そんな人じゃないよ、いつもは無口な人だけど……優しくて……私……僕の事を一番に考えてくれてる……」
「………気に入らんな、何か裏があるんじゃないか?お前の身体が目当てだったとか……でないと見ず知らずの娘を自分の所で引き取る事なんかしないだろう?」
「そんなこと……」
少し下がった眼鏡を上げつつ私を睨むパパ……
無いとは思うけどえっちしちゃってるし……
何も言えなくなって俯いてしまった。
「……まあいい……」
そう言ったパパは私の後ろに控えていた秘書の人に目配せした、誰かを呼びに行ったみたいだった。
暫くすると秘書の人ともう1人、男の人が個室に入ってきた。
二十歳くらい?スラッとしていて、それでいてガッチリ、背が高くて顔が超イケメン……あれ?何処かで見たような……
「陽斗、彼は俳優の橋下悠仁(はしもとゆうじん)君だ。テレビや映画とかで見たことあるだろ?彼の父親と私は大学時代の友人でね、彼も小さい頃から知っているんだ。」
橋下悠仁?あっ!思い出した、中学の時に穂香達がクールでカッコいいって騒いでた人だ!!
まあ私は興味なかったから気に止めてなかったんだけど……確かにカッコいいよね……本名なのかな?
「はあ……初めまして、久曽神陽斗です。」
「宜しく、キミの事は色々聞いてるよ。オレに任せておけよ?」
「え?どういう……ことですか?」
「悠仁君は空手もやっていてな、お前のボディーガードに丁度良いだろう。交際してもいいからな?」
「はあっ!?交際?ま、待ってよ!?わた……僕そんなん困るて!」
「悪い虫が付くより良いだろう、変な事になったら困るからな。」
有名俳優なら変な事にならない?スキャンダルじゃないの!?大体男同士に見えない?
「まあ気にしなくていいからさ、気軽な関係でいいからさ。ね?」
悠仁さんのその笑顔にドキドキする……でもヤバイよね……
「はあ……わかりました。」
え!?私なに言ってるの!?何で肯定しちゃうの!
「よし、決まりだな。デートでもしてくるがいい、だが今日中には帰ってくるんだぞ?」
パパは機嫌良さそうに笑ってレストランを出ていった、何で何で何で??
「オジサンの許可が出たしどっか行く?」
「……いえ、別に行きたくないですけど……」
「え~?いいじゃん!そうだ、東京案内するよ?な?」
「……うん。」
……また肯定してしまった、でもパパの紹介だしほかっとく(放っておく)訳にもいかないし……
ホテルを出て駐車場まで歩いていくと見たことない車が置いてあった。外車?
「さあ、乗って乗って。」
助手席?普通は運転席側のドアが上に開いた、凄いなあ……
「……あんまり車の事よくわかんないんですけどこれ何て名前なんですか?」
「よく聞いてくれたね!これはランボルギーニのアヴェンタドールって言ってさぁ……」
あ、なんか押してはいけないスイッチを押してしまったらしい。乗る前にその場で30分くらい話を聞かされてしまった……
ちょっと狭い車の中で色々話を聞くと悠仁さんのお父さんは政治家で大臣らしい、お母さんは有名女優の桐ヶ崎鐙子(きりがさきとうこ)なんだって……
サラブレッドのボンボンかあ……あんまり好きなタイプじゃないなあ……
「大人しいんだね?オレの事嫌いだろ?」
「えっ!?」
「ほら、図星って顔に書いてあるよ?」
「マジ!?」
慌てて顔に手を当て擦ると悠仁さんは爆笑してた、しまった!騙された……
素までさらけ出しちゃってたし……
「あははははっ!陽斗面白いなあ!いいよ、無理しなくても、オレの前では女の子でもいいからさ。」
「!?」
「聞いてるよ、オジサンから……元は男だったけど女で見つかったって……学校も男の振りして行ってるんだって?」
「………」
「ビックリしたけどさ、こうやって話してると別にそんなのどうでもよくなるよな。今ここにいる陽斗が気に入ったからさ、ネコ被らなくてもいいから。オレも素のままで接するから、な?」
「………嫌いでもいいの?」
「ああ、これ以上嫌われる事もないだろ?後は好きになるだけなんだから。だから仲良くしようぜ?」
悠仁さんはそう言ってズボンの横で手を拭いて私に差し出した。
「……わかんないよ、これ以上嫌いになる事もあるかも知れないし。」
「はは、まあお手柔らかに頼むよ。」
「うん、わかった。宜しく、悠仁。」
「ああ、よろしくな。陽斗!」
私もズボンの裾で手を拭いて悠仁の手を握った。
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