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最強天使、学びのとき
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結局その奇跡のソフトクリームは、スタッフの計らいで俺と遊の休憩用となった。
二階のテーブル席に並んで腰を下ろし、スプーンですくって分け合う。視線の先の窓際では、久美ちゃんが友達と語らいながらミルクジェラートを楽しんでいる。
「イチゴソフトも気になってきたや!」
「遊よ、腹を壊すなよ?」
栃木生乳の甘みとまろやかな舌触り。濃厚で、食べ進めるほど虜になる。
牧場が多い栃木ならではの贅沢さか。この地はいったい、どこまで上界へ挑もうというのだ!
「サミュエルさん、午後のバイトも頑張ろうね?」
「ああ。遊はすっかり人気者だ。ここでずっと働いて欲しいとお願いされるかもしれんぞ?」
上機嫌な遊と話していると、久美ちゃんがこちらに近づいた。空っぽになったカップを手に、チャーミングな笑顔を見せている。
「遊くんが盛ってくれたジェラート、すっごく美味しかったよ!」
遊は口を半開きにし、ポニーテールが揺れる久美ちゃんに釘付けだ。
「か、かわっ……」
「え?」
「い、いえ! 何でもないです! へへっ!」
俺の手からコーンを奪った遊は、包み紙まで食べかける始末。
俺はさりげなく、スッと紙だけ抜き取った。それこそ手品の一幕のようである。
「遊くん」
「は、はい!」
「敬語で話さなくて、だいじ!」
おお!久美ちゃんから一歩踏み込んだぞ!俺が興奮して包み紙を握りしめてしまう。
「で、でも……!」
「そのほうが私も嬉しいから。ねっ?」
遊は勢いよく立ち上がり、九十度にお辞儀をした。……その反動で、椅子が俺の膝に直撃。痛覚のある人間なら、悶絶したことだろう。
「う、うんっ! じゃあ、そうする!」
「あはは! またね、遊くん! サミュエルさんも!」
友達と一緒に軽やかに階段を下りていく久美ちゃん。
その後ろ姿を、遊はつむじを見せたままじっと見送っている。
二人の姿が見えなくなっても、その姿勢は崩れないままだ。ずっと続けるつもりか……?
俺は、ツンツンと遊の腰をつついた。
「よかったな? 遊」
「……サミュエルさあーーーーんっ!」
振り返った遊がそのまま俺に飛びつく。俺は椅子ごと後ろに倒れそうになりながら、なんとか踏ん張った。
「俺さ、久美ちゃんと仲良くなれてる! サミュエルさんのおかげだよ!?」
俺の首に腕をまわし、俺の膝の上で、キラキラと茶色い瞳を輝かせる遊。構図はややおかしいが——。
「遊よ。久美ちゃんと距離を縮められたのは、お前が行動したからだ」
「……俺が?」
ゆっくりと頷き、遊の頭をぽんぽんと撫でる。
「デートに誘ったのも、綺麗にジェラートを盛りつけたのも、久美ちゃんを喜ばせたのも、お前自身だ。俺はただ、応援しただけだぞ?」
行動を起こすも起こさぬも、自分次第。
迷っても、立ち止まっても、人間は自ら未来を切り拓く。
その勇気は、天使のはしごの如く煌めいているのだ。
「うんっ! ありがとう、サミュエルさん!」
最強天使もまた、アイスクリーム屋でそれを学んだのだ。
——続く——
二階のテーブル席に並んで腰を下ろし、スプーンですくって分け合う。視線の先の窓際では、久美ちゃんが友達と語らいながらミルクジェラートを楽しんでいる。
「イチゴソフトも気になってきたや!」
「遊よ、腹を壊すなよ?」
栃木生乳の甘みとまろやかな舌触り。濃厚で、食べ進めるほど虜になる。
牧場が多い栃木ならではの贅沢さか。この地はいったい、どこまで上界へ挑もうというのだ!
「サミュエルさん、午後のバイトも頑張ろうね?」
「ああ。遊はすっかり人気者だ。ここでずっと働いて欲しいとお願いされるかもしれんぞ?」
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「遊くんが盛ってくれたジェラート、すっごく美味しかったよ!」
遊は口を半開きにし、ポニーテールが揺れる久美ちゃんに釘付けだ。
「か、かわっ……」
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「い、いえ! 何でもないです! へへっ!」
俺の手からコーンを奪った遊は、包み紙まで食べかける始末。
俺はさりげなく、スッと紙だけ抜き取った。それこそ手品の一幕のようである。
「遊くん」
「は、はい!」
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おお!久美ちゃんから一歩踏み込んだぞ!俺が興奮して包み紙を握りしめてしまう。
「で、でも……!」
「そのほうが私も嬉しいから。ねっ?」
遊は勢いよく立ち上がり、九十度にお辞儀をした。……その反動で、椅子が俺の膝に直撃。痛覚のある人間なら、悶絶したことだろう。
「う、うんっ! じゃあ、そうする!」
「あはは! またね、遊くん! サミュエルさんも!」
友達と一緒に軽やかに階段を下りていく久美ちゃん。
その後ろ姿を、遊はつむじを見せたままじっと見送っている。
二人の姿が見えなくなっても、その姿勢は崩れないままだ。ずっと続けるつもりか……?
俺は、ツンツンと遊の腰をつついた。
「よかったな? 遊」
「……サミュエルさあーーーーんっ!」
振り返った遊がそのまま俺に飛びつく。俺は椅子ごと後ろに倒れそうになりながら、なんとか踏ん張った。
「俺さ、久美ちゃんと仲良くなれてる! サミュエルさんのおかげだよ!?」
俺の首に腕をまわし、俺の膝の上で、キラキラと茶色い瞳を輝かせる遊。構図はややおかしいが——。
「遊よ。久美ちゃんと距離を縮められたのは、お前が行動したからだ」
「……俺が?」
ゆっくりと頷き、遊の頭をぽんぽんと撫でる。
「デートに誘ったのも、綺麗にジェラートを盛りつけたのも、久美ちゃんを喜ばせたのも、お前自身だ。俺はただ、応援しただけだぞ?」
行動を起こすも起こさぬも、自分次第。
迷っても、立ち止まっても、人間は自ら未来を切り拓く。
その勇気は、天使のはしごの如く煌めいているのだ。
「うんっ! ありがとう、サミュエルさん!」
最強天使もまた、アイスクリーム屋でそれを学んだのだ。
——続く——
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