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70 火矢作戦
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『後は頼んだぞ、ナッシュ!』
開いた門からグレイルとアラン、商会の護衛であるアレックスとエドワードが騎馬で飛び出ていく。
それぞれの馬には町の住民に集めさせた古い油の樽が括ってある。
門前に集まった野次馬達に集めさせた物だが、充分な量とはならなかったので商会からも運んでいる。
グレイルは野次馬を解散させずに手伝いに使っていた。
安全は保証しない、避難を勧める。とした上で、手伝う気のあるものは捨ててもいい古い油を集めて欲しいと。
もちろん討伐に使うもので、火矢の前にバルミラを油まみれにしてしまおうと集めた物なのだが、大型魔獣にどうやって油をかけるかが問題になり、結局油を汲む為の柄杓をそのまま使用する事になった。樽の中身が少なくなれば、せーので樽ごと魔獣にぽいする予定であり、それを火矢をつがえる合図とした。もちろん柄杓もぽいである。
門から出た4騎は縦列になり暴れている魔獣に向かう。騎馬であれば数百メートルの距離などあっという間だ。縦列のまま3頭の魔獣の周りを逆時計回りに回りつつ柄杓で油を掛けていく。
『終わりだ!』
『こっちも!』
『俺も終わった!』
『よし!離脱!!』
四人が一斉に樽と柄杓をバルミラに投げつけた。
『よし!弓構えー!…射て!!』
火矢班の指揮はロイが執った。
兵の中でまともに弓を扱える者が10人もおらず、更に塀の上でとなると矢を番えることが出来ない者もいて、結局火矢班の射手役の兵士は5人になってしまった。
塀の上で行動でき、弓のタイミングが分かるものが兵士達の中にはいないため、仕方なしにロイが指揮を執る事になってしまった。もちろんロイ自身も射手だ。
商会のロイ、シア、マールと射手役の兵士達とでバルミラに火を放つ。
『当てようとか考えなくていい!兎に角届かせろ!』
バルミラまで3、400メートル。始めは兵士達の矢は殆んど届いていなかったが、何射かしていると全員の矢が届くようになる。
(めっちゃ狙ってる!)
マールが、シアの矢が一番遠い1頭のバルミラの頭を集中的に狙っているのが判ったのは、そこまで矢が届く兵士が殆んどいないからだ。
なので気付いたのはもちろんマールだけではなく、見ている者殆んどだったのだが、そろそろ火矢が尽きるかというとき、シアの放った矢がバルミラの眼に命中した。
『っし!』
シアの大変嬉しそうな顔にロイは苦笑した。
油を掛けられている間は気にもせずまとわり付いて離れない魔蜂を振り切ろうと暴れていたバルミラは、矢を、しかも火矢を射掛けられ己の体が燃え始めると、さすがに魔蜂どころではなくなり、火矢が飛んでくる方に向かって突進しようとしていた。
火矢のお陰でまとわり付いていた魔蜂は、焼けたり撤退したりしているのだが、撒かれた油のせいで火はバルミラの体にどんどん燃え広がっていく。
グレイルたちは町に向かおうとするバルミラの足を火矢を掻い潜り切り付けていく。町の反対側から攻撃すればバルミラの体が盾になり、火矢は殆んど届かないのだが。
そろそろ火矢も終わりかと思われたとき、1頭のバルミラの眼に火矢が命中し、他の2頭と大きく離れた。
『あれから行くぞ!』
『『『おうっ!!』』』
グレイルの掛け声で、4騎が一斉に片眼を射られたバルミラに攻撃を始めた。
開いた門からグレイルとアラン、商会の護衛であるアレックスとエドワードが騎馬で飛び出ていく。
それぞれの馬には町の住民に集めさせた古い油の樽が括ってある。
門前に集まった野次馬達に集めさせた物だが、充分な量とはならなかったので商会からも運んでいる。
グレイルは野次馬を解散させずに手伝いに使っていた。
安全は保証しない、避難を勧める。とした上で、手伝う気のあるものは捨ててもいい古い油を集めて欲しいと。
もちろん討伐に使うもので、火矢の前にバルミラを油まみれにしてしまおうと集めた物なのだが、大型魔獣にどうやって油をかけるかが問題になり、結局油を汲む為の柄杓をそのまま使用する事になった。樽の中身が少なくなれば、せーので樽ごと魔獣にぽいする予定であり、それを火矢をつがえる合図とした。もちろん柄杓もぽいである。
門から出た4騎は縦列になり暴れている魔獣に向かう。騎馬であれば数百メートルの距離などあっという間だ。縦列のまま3頭の魔獣の周りを逆時計回りに回りつつ柄杓で油を掛けていく。
『終わりだ!』
『こっちも!』
『俺も終わった!』
『よし!離脱!!』
四人が一斉に樽と柄杓をバルミラに投げつけた。
『よし!弓構えー!…射て!!』
火矢班の指揮はロイが執った。
兵の中でまともに弓を扱える者が10人もおらず、更に塀の上でとなると矢を番えることが出来ない者もいて、結局火矢班の射手役の兵士は5人になってしまった。
塀の上で行動でき、弓のタイミングが分かるものが兵士達の中にはいないため、仕方なしにロイが指揮を執る事になってしまった。もちろんロイ自身も射手だ。
商会のロイ、シア、マールと射手役の兵士達とでバルミラに火を放つ。
『当てようとか考えなくていい!兎に角届かせろ!』
バルミラまで3、400メートル。始めは兵士達の矢は殆んど届いていなかったが、何射かしていると全員の矢が届くようになる。
(めっちゃ狙ってる!)
マールが、シアの矢が一番遠い1頭のバルミラの頭を集中的に狙っているのが判ったのは、そこまで矢が届く兵士が殆んどいないからだ。
なので気付いたのはもちろんマールだけではなく、見ている者殆んどだったのだが、そろそろ火矢が尽きるかというとき、シアの放った矢がバルミラの眼に命中した。
『っし!』
シアの大変嬉しそうな顔にロイは苦笑した。
油を掛けられている間は気にもせずまとわり付いて離れない魔蜂を振り切ろうと暴れていたバルミラは、矢を、しかも火矢を射掛けられ己の体が燃え始めると、さすがに魔蜂どころではなくなり、火矢が飛んでくる方に向かって突進しようとしていた。
火矢のお陰でまとわり付いていた魔蜂は、焼けたり撤退したりしているのだが、撒かれた油のせいで火はバルミラの体にどんどん燃え広がっていく。
グレイルたちは町に向かおうとするバルミラの足を火矢を掻い潜り切り付けていく。町の反対側から攻撃すればバルミラの体が盾になり、火矢は殆んど届かないのだが。
そろそろ火矢も終わりかと思われたとき、1頭のバルミラの眼に火矢が命中し、他の2頭と大きく離れた。
『あれから行くぞ!』
『『『おうっ!!』』』
グレイルの掛け声で、4騎が一斉に片眼を射られたバルミラに攻撃を始めた。
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