巻き込まれて異世界へ ~なぜだか関わった人の運命変えてます~

桜華 剛爛

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第8章 新たなる冒険?の始まりかもしれない。

8-51 カレーパーティーのその後?

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 それでこの日は、みんな満足してくれてカレーパーティーは終了したのであった。



 ちなみにギルドに報告に行った後、戻って来てパーティーに参加していたフィリアさんとヨーコさんは、途中で呼びに来たギルド職員と共に帰っていったが、ちゃっかり御土産用にカレーとロールケーキを使用人に包んでもらい、ギルドに持って帰っていた。これが後日大変な事になるとは思っていなかった。

 それに次の日、王様にも頼まれていたので、その分のカレーを城に運搬して貰った。 実はこれも良くなかったのである。
 何故かと言うとこのカレーの独特の匂いで、屋敷から城に行くまでの間に、凄いパニック状態になっていたのだ。

 それはまず貴族が住む住居区画から始まり、城のすぐ近くの騎士団の施設に、その後は城の中へと広がって行った。

 そしてもう1つギルドに帰ったフィリア達の帰って行ったルートが問題であった。

 そのルートは何故か直接ギルドに帰らず、商業区画を色々周り帰ったため、その御土産で持って帰ったカレーの匂いを撒き散らす結果になっていた。それで数々の食堂とギルド内の食堂に、新たな商品が誕生したような話になり凄い事になっていた。

 しかし、それはすぐにそんな商品は無いと言う事になったが、これにより直ちにその商品の開発と所在を調べられ、そのまま冒険者ギルドと王様からユウマの方に指名の依頼が来る事になった。
 それは何となくほったらかしにしたら、暴動でも起きそうな勢いだったとか、事情を知る者としては何とかしようとそれで調査の依頼と託けて頼みに来たのだそうだ。

「という事で、すまぬがカレーのレシピを譲っては貰えぬか?もう、貴族達もそうなのだが騎士達も食堂や売店に駆け込むなりその原因がないと解ると次から次えと街中を駈けずり回ってる状態なのだよ。そのうち暴動が起きそうじゃよ」
「こっちも大変な事になっちゃったのよ。出来ればカレーとあのロールケーキだったかしら、あれのレシピをこちらにも教えてほしいのよ。あの時御土産で貰って帰ったのを職員に食べさせたら、凄く仕事の効率が上がったうえに催促までされちゃってこまってるの。それに冒険者達もその香りの元を独自で調査する子達やギルドに依頼する人とかでもう大混乱が起きてるのよ。ホントに困ってるのよ」

 まさかとは思ったが今回の事で王様が直々に屋敷に来てお願いをしてきたし、フィリアさんに関してはカレーのレシピはおろか、ロールケーキのレシピまでほしいとお願いしてきた。カレーに関しては先程の状態に陥っているのだが、ロールケーキはギルドの女性職員の要望らしい、何でもあれを食べると仕事がはかどるし、それを目当てで頑張れるそうだ。

「えっとですね。たぶんレシピを渡したとしても、おそらく再現はかなり難しいと思いますよ」
「えっ、何でよ。あんたはあのとおりちゃんと作ってるじゃない。それに例の娘達も・・・」
「そうじゃユウマよ。何故なんじゃ、そこを何とか教えてはくれまいか?」
 まあ、2人の言う事は解る。実際ウチの使用人でマイ達5人は、試行錯誤を重ねてすでに再現しているからである。
 しかしそれだからと言って、いきなりレシピを渡してしまったら価値そのものがなくなるし、マイ達の努力が報われない。

 なので俺は条件を出した。
「えっとですね。レシピを渡すのは簡単なんですけど、それじゃ料理人を馬鹿にしているように思えます。なので、ホントにあのカレーとケーキ類を本気で作りたい人を、こちらによこしてください。それでですね・・・」
 ユウマはそう言って、マイ達5人を呼ぶ様にここで給仕をしていた使用人の娘に伝えた。

 すると呼びに行った娘が慌てて出て行き、数分も経たない内にマイ達5人が扉の前までやって来た。
 まあ俺にはあの娘達が慌てて走って来て、扉の前で息を整えている事が解ったが、そこは突っ込まないでおこう。

 そんな事を考えていると、扉をノックして来たので入るように伝えた。
「失礼いたします。ユウマ様、私達をお呼びと言う事でしたので、お伺いしましたが何か失態がありましたでしょうか」
 マイが可哀想なくらい青ざめて、頭をさげ挨拶しながら言葉を掛けてきた。

 どうも先程呼びに行った娘が、俺が呼んで来てと頼んだだけなのに、勘違いしてあらぬ事を伝えたようだ。その件に関してはそのうちカノちゃん達に使用人の序列を確認して、この娘達の序列を上位に認定して貰おう。

 なにせ今や俺が唯一使用人の中で認めて、信頼をおける娘達なのだからである。
「いやいや、マイ。別に俺は叱る為に君達を呼んだんじゃ無いって?てか、またなんかやりたいのか?」
 たいがいこの娘達は、失敗とか俺が怒るような事はしない筈だし、俺も怒った事はないと思うんだけど?何でここまで青ざめてる?
 そう考えて5人の視線の先を負ってみると・・・・!?

 なるほど原因は王様であったか、今日の格好は確かにいつものお忍びの格好でなく、普通の王様の格好なのだ。
「ああ、マイ。それにアイ、ミイそんなに気にするなよ。ユウ、メイをみらなえよ気にして無いだろ。今日も格好は王様だけど、いつもどうりシルフィーの父親として来てるだけだから」
「いやいや、ユウマよ。今日はこの国の主としてここに来たのだがのう」
「えっ?・・・そうだったんですか? うーん、まっいっか。それで」
「ちょっと、待て、ユウマよ。今、何を考えていた。とっても失礼な事を考えてなかったか?」
「いえ、失礼な事は考えてませんけど、言う事を聞くのをやめようかなって考えました」

「なっ、なぜじゃ」
「えっ、だって、以前約束したじゃないですか、この国の為では動きませんって」
「いや、いやな。あれは言葉のあやと言うことでな・・・・」
 まあ、この話をこれ以上続けたら凄く長くなるので、ここらへんでやめた。
 実は以前城を出る時に、王様達に約束をしていたのである。このシルフォードには滞在はするが、この国の為には動かない、しかし人為的な災害とか危険に対しての自分からは動くけど、国からのお願いには動かないとまでの約束をしていた。

 もし、必要な時は王族とかじゃなくて、シルフィーの家族としてくれば、話は別だとも伝えていた。まあ、そんだけの事である。
 それでその事を再度伝えたら王様も解ってくれて、いつもどおりでいいと言ってくれたので、話を進める事にした。

「それで話を戻しますけど、カレーと言うかすべての料理に関してのレシピは、はっきり言って渡せません。ただ、この娘達5人から教わり技術を盗むのは勝手です。それに近い内に、ここの土地にそれらを食べれる食堂みたいな店舗を作る予定です。なので、それでその料理を覚えたい者を、そこに通わせこの娘達にお願いして教えをこうか、その娘達の弟子になるかで、そのレシピ覚えてもらうようにして下さい」
 俺のその提案に一番驚いていたのは、マイ達5人であった。

 それでその話を聞いていた王様とフィリアさんは、5人の娘達に視線を向けて語り掛けてきた。
「ユウマよ。この5人の者達はお主のなんなのだ?」
「そうよユウマ。この娘達って・・・この屋敷の使用人でしょ。何でこの娘達が関係あるのかしら?」
「それはですね。この娘達5人は俺の弟子みたいなものです。ですので俺が作ってきた数々の料理を自分達の舌と目で確かめ。そして自分達で努力して、今や俺が作った物と同じ物が作れる娘達ですよ」

「なっ、なんと、それはまことか。それならば・・・」
 いやいや、王様それは反則だろう。まあ、誰かがそちらに行くと言えば引き止めることはないが・・・。どうやら、王様はふられてしまったようだ。
「まことに申し訳ありません王様。私達は主であるユウマ様を裏切る事は出来ません。それにユウマ様は私達の事をちゃんと見てくれてましたから、ここで一生使えたいと思います」
 なるほど、確かに面と向かって弟子とかいった覚えはなかったが、5人とも目を潤ませてウンウンと頷いて、俺が弟子と言った事が、余程嬉しかったのか凄く喜んでいるようだ。

「うーん、これはどうやら、さっきユウマが言った様にするしか無いわね」
「それでお願いします。マイ達もそれで良いかい?」
「はい、お任せ下さい。ユウマ様。あなた様の名に恥じないように頑張ります」
 王様は非常に残念がっていたが、フィリアさんは最終的には納得してくれたので、俺がマイ達に声をかけると、マイが張り切って真剣に答えた。

「ええ、そうですね。私も頑張って精進いたしますわ」
「だねだね、折角ユウマ様に認めて貰ったんだから、頑張らないと」
「ウンウン、僕は信じてたよ。だって僕達の師匠だもん」
「ご主人様。私達このままここに居ていいんですよね」
 続けてアイが俺達に向けて声を掛けると、ミイとユウが声をかけてきた。メイに関してはこのままここに居ていいのかと尋ねてきたので、問題ないと話しておいた。

 それで結局は、王様も諦めてくれて帰って行った。もちろん御土産に俺が作った物でなく、マイ達5人が作ったケーキとカレーを持って帰った。
 このときフィリアさんは、御土産は持って帰らず、毎日通うから早く食堂を作れと催促してこの日は帰って行った。

 そして、この日より約一週間後、食堂と言うよりカフェレストランのようなものを作り、それとおまけにカノちゃん達が言っていた衣服の販売店も作り、今はこの土地の入口付近に作った店舗は大盛況となっている。

 このあとシルフォード全域の食に関する嗜好が変わり、カレーが浸透してそこから新たな料理が誕生するのであった。 ただしユウマ達の住む土地の中に出来たカフェレストランと衣類を販売する店舗、それに色々な物を販売する店舗を作ったがそれらすべては変わりなく繁盛している。

 ちなみにカレーのレシピに関しては、やはり考えていたとおり、誰一人とレシピが解ったからと言っても、それを実行出来たものがいなかった。 まあおそらくスパイスや酵母等を作る技術が無いからである。

 それが理解できたからと言っても、今までの感覚じゃ作るのは無理だろうと思うので、救済処置として調合済みのスパイスとスポンジケーキが簡単に作れるキットを、販売するようにしたのであった。

 ちなみにそれらを販売するようになり、各裕福な家庭では独自のカレーが作られるようになり、先程も説明したとおり、シルフォードでの食に対する文化、歴史が変わってしまったのであった。
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