巻き込まれて異世界へ ~なぜだか関わった人の運命変えてます~

桜華 剛爛

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第10章 女神の修行・・・。

10-4 永遠に続くオークの正体?

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 2人はフィーナ様の話を素直に聞き、徐々に前進しだしたのだった。



 するとある程度、リンカとシルフィー達が前進したくらいで、フィーナ様の未来視で何か変化があったみたいで、突然声をあげた。
「あっ、リンカちゃんその先の角曲がった辺りのすぐ近くに変なモンスターが居るから、その場所からオークが出てくる方の壁越しに最大の力で撃ち抜いて、そんで倒しちゃってそいつを!・・・それとシルフィーちゃんは正面にある階段を思いっきり吹き飛ばしちゃって、お願い!」
 はっ・・・何故に階段を吹き飛ばす必要が?リンカの方は解るけど・・・なんで、どうして?

 俺も不思議に思っているが、フィーナ様に指示を出されたシルフィーが一番訳が解らず、とりあえず階段に向けて爆裂魔法を最大の力で放った。それに伴いリンカの方も壁に向けて、角を曲がったところにいるであろう魔獣モンスターに向けて、最大の魔力を込めた魔弾を撃ち込んだ。

《ドッカァァン!ガラガラ》
 と、いう音と共に階段の方は完全に埋まってしまい。土埃でその周囲が見辛くなった。

 するとその崩壊して土埃があがる中で、リンカが壁越しに放った魔弾が命中したのか、角を奥の方から物凄く変な呻き声が聞えてきた。
『Gopekopeeeenn、Pufiiiii・・・・ぷしゅるるるぅぅっ!』
 なんだ?この何かが潰れたような、変な声は?それに時間が結構掛かったような・・・。

「うわぁっ、何よ、この変な呻き声は、気色が悪い・・・」
 フィーナ様が言うように、変な呻き声が聞えてきた。

 それに伴いシルフィーとリンカが、土埃から現れてきた者の姿を見て声をあげた。
「あっ、でも、その後から出てきたオークが・・・ん?」
「うえっ、何あれ・・・あれもオーク?」
 
 その角の土埃から現れたオークは、オークというより豚顔の崩れかけた泥人形のようで、身体も半分土で出来た姿で、今にも砕けてしまいそうな感じのモノが5体、しかも今迄と違い疎らな形の5体だけだった。

 それで、その現れたオークみたいな泥人形達をリンカが魔弾で全て吹き飛ばし、倒してからその角の方を除き込み、また声をあげた。
「うわぁぁ!なっ、何・・・このモンスター?ダンゴじゃないね・・・スライム?でも、なんか違うよね。それに気色悪!・・・あっ、あと反対側には・・・鏡?・・・これまた、どう言う事なの」

 どうやらリンカの倒した魔獣モンスターはダンゴと言うより、餅のようなスライムであり、反対側の角は通路と思ったが、ただの凹みがある壁で、その部分には鏡・・・いや、鏡のようなモノが設置されていた。

 しかもその鏡の中には魔獣モンスター、それも先程無数に湧いていたオークと同じ様な魔獣モンスターが、鏡の中に閉じ込められていたのである。しかもその中でこちらを血走った目で見て、鏡に部分を内側より叩いて暴れていた。

「これって、なんですかユウマ様?」
「えっと、これは・・・ちょっと待ってね。・・・う~ん、えっと魔鏡の檻ミラーケイジ?なんじゃこりゃ」
 とりあえずシルフィーから尋ねられたので【鑑定眼】スキルで、確認したら魔鏡の檻ミラーケイジと名前が表示されて、その内容は、まあ文字のとおり鏡の檻で魔獣モンスター、や罪人などを逃げないように捕らえて入れておく物で、鏡を砕かれると中に捕らわれた者も砕け死ぬそうだ。
 ちなみに罪暦がない者や魔力過多の者は捕らえる事は不能らしい。ただ、使用者の魔力が多いとまれに捕らえる事も可能らしい。

「・・・・って、モノらしいですね。まあ、悪い奴や魔獣モンスターを閉じ込めておけるみたいだね」
「ふーん、そうなんだ?なら、こっちの餅スライムは!」
「もっ、餅スライムって・・・リンカ、見たまんまじゃん。てっ、リンカも鑑定スキル持ってなかった?」
「えっ、私・・・持ってないよ鑑定スキル?」
 あれ、そうだったの?まあ、いっか・・・それなら、リンカ曰くこの餅スライムを鑑定しますか。

 鑑定スキルを使用して、目の前にいる魔獣モンスターの情報を確認して納得した。
「なるほど、なるほど・・・」
「それで、ユウ君なんだったの。この餅スライムは?」
「ああ、こいつは餅スライムじゃなくて・・・・」
 それで、今、目の前にはダンゴみたいな餅のようなスライムは・・・まあ、実はスライムではなく、ドッペルゴーレムと言って、そいつは見たモノと同じモノを、わずかな自分の魔力と自身の細胞、それ土と水で創りあげる特殊な魔獣モンスターであった。

 などと、みんなに説明をしたが、どうしてもホントの魔獣モンスターの名前には、若干違和感を覚えるが・・・まあ、能力を見ると何となく納得は出来るのであった。

 それでその後、よく観察すると餅のようなスライム状になった物体、いやいや魔獣モンスターは、まだ完全は死んではおらず・・・少しづつ元に戻ろうとしていた。

 なのでそれに気付いたフィーナ様が神気を流し込んで消滅させた。
「嫌なモンスターね。どうやらこの階層の土と、それに含まれてる魔素を、全て養分として取り込んでたようね。ほらリンカちゃんが壁越しに放ったところが物凄い空洞が出来てるもの。それにそのドッペルゴーレムにいた後ろの壁・・・完全に空洞になってるよ」
 まあ、確かにフィーナ様が言うように周囲のレンガ造りの壁の向こう側は空洞になってるけど、ただ不思議なのはそのそいつが創りあげた魔獣モンスターの残骸がなさ過ぎるのであったが、まあ、それは考える必要は無いか、恐らく時間がたったら元に戻るだろうし・・・。

「それでどうします。この鏡の中のこいつは?」
 俺がそう尋ねると、女性陣は『速攻壊して欲しい』し『見るのもいや!』と言われた。

 だが、この魔鏡の檻ミラーケイジは使えそうなので、ユウマは中にいるオークだけを始末しようと考えていた。
 これ結構便利そうなんだよな。中のこいつだけ、どうにかしたいけどな?

 ただ、どうやって鏡の中から出そうかと考えていたら、フィーナ様が教えてくれた。実は鑑定眼のスキルでは、そこまで詳しい説明が記載されていなかったのである。

「ユウマさん、ユウマさん!それは鏡だけ壊せは中の者も処分できるわよ。逆に鏡に魔力を流して鏡の部分を氷のように溶かせば外に出せるわよ。確か砕けても同じ事をすぐに行なえば、外に出せるはずよ。ただ、時間が経つと無理なはずよ」
 フィーナ様はいつの間にか自身の持つ、マジックタブレットを取り出し、魔鏡の檻ミラーケイジの使用方法を教えてくれた。

 それに追加で捕まえる時は、その人の魔力で新しい鏡の部分が精製されて鏡の牢獄を作るらしいので、この場で鏡の部分を破壊しても問題ないそうである。それにこの場で鏡を砕いたら、恐らくこの迷宮ダンジョンにすぐ吸収される筈だという事も説明してくれた。

 まあ、確かに無数のコピーオーク達の残骸である泥水が、すぐに消滅というよりその場に吸収されてる感じがあったからである。

 それに確かにフィーナ様が言うように、自分の【超級解析】のスキルを使用して確認した内容でも、同じような説明が出ていたので、すぐに鏡の部分を割る事にした。その時に鏡の中にいたオークは状況を理解したのか、それとも俺達の声を聞き理解したのか、鏡の中で慌て出し泣きながら暴れ回って、最後に何故か土下座をしていたが、魔獣モンスターある事と、先程まで血走った目をして、いかにもフィーナ様達をいやらしい表情で見ていたオークなので、情け容赦なく鏡は叩き割った。

 えっ、情けを掛けないのか?ですか、そんな事する筈ないじゃないですか、俺の目の前でいやらしい目で彼女達を視姦しようとしていた奴など・・・俺の目の前で微塵も残らないように粉々に粉砕してやりました。

 それであとは、フィーナ様がシルフィーに階段を壊した件なのだけど・・・階段を壊したら下にいけないと思っていたら・・・。
「フィーナ様、なんで先程、私に階段を壊すように申したのですか?」
「あっ、うん、あのね!実は・・・」
 フィーナ様の説明によると、どうやら理由は2つあるらしい。
 まず、1つはやはり今俺が砕いた鏡を、ドッペルゴーレムにみせないのと、それとこの下層、60階層にいる大蛇の魔獣モンスターに自身を擬態する未来視が見えたそうである。それに伴いこの階層は崩壊する最悪なビジョンが見えたそうだが、階段を封鎖する事でそれは回避できたらしいのであった。

 しかし、よく考えたらティナ達はどうやってここを乗り越えたが、不思議なのであるが・・・恐らく俺が最初に思っていたとおり、何も考えずに片側を塞いで素通りすれば、すぐに下にいけたが・・・まあ、もう過ぎた事なのでその事は考えないようにしよう。それにもう1つ階段を塞いだ理由があるらしいので・・・。

 それで、もう1つの理由とは・・・・。
「えっとね、この奥に転移魔法陣と同じ様な魔力を感じるのよ。恐らく普段は感じないのだろうけど、ここまでレンガの通路の向こう側が空洞だと解りたすいのよ。多分なんだけど、普通はこんな事ないんだと思うよ」

 フィーナ様の説明では、この59階層に転移魔法陣らしいものがあるらしい。まあ、正確には転移魔法陣に似た様な魔力の波動を感じるらしいのである。
 それでシルフィーに階段を破壊させると、その先に通路が出現する未来を、未来視で見て確認したらしいのであった。
 どうやらそこは、今迄の空間とは違う感じがすることも、教えてくれたのであった。

 現在その階段があった場所で、レンガで埋まった奥の方を覗き込むと、確かに奥に空間がある事が解り、その奥に向かう事にした。



 その結果・・・確かに階段の塞がった先に何か怪しげな通路が、確認できたのであった。


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