巻き込まれて異世界へ ~なぜだか関わった人の運命変えてます~

桜華 剛爛

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第10章 女神の修行・・・。

10-7 90階層のボス?

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 それで結局は、ここは59階層なので90階層のボス部屋の前に転移する事にしたのであった。



 まあ、実際に決められた階層は、各10階層のボス部屋の扉の前だけだし、何故かこの時点では、100階層から下には転送出来ない状態で、行けないようになっていた。
「フィーナ様、結局・・・なんで100階層から下には行けないんですかね?説明書には何か書いてなかったんですか?」
「う~ん、それがね、なんか別の操作端末でロックが掛けられてるみたいなんだよね。操作端末ってのが、どこかにあるみたいなんだけど?・・・ん、あれ?」
 操作端末ねぇ・・・ん、あっ!?

 俺もある事を思い出し、フィーナ様も何かを思い出したように俺の方に視線を向けてきた。

「フィーナ様っ!このタブレット端末がその操作用の端末って事じゃないんですか?」
 ユウマは自分が持っていたタブレット端末を取り出して、フィーナ様に手渡した。

「あっ、やっぱりそっかぁぁ!今、ユウマさんと話してる時に思い出したよ。さっきの部屋にあった、あのマジックタブレットだよね」
 フィーナ様は俺からタブレット端末を受け取り、それを操作しだした。すると顔を上げて首を横に振って、タブレット端末を俺に戻してくれた。

「う~ん?これで間違いないみたいだけど・・・肝心な部分が操作できないわ。その部分が開けない、多分このタブレット自体にロックが掛かってるみたいだわ。それに他の機能も確認は出来るけど操作までは出来ないわね」
「そうですか。まあ、このダンジョンの地図は見れるから問題ないか・・・それに、急いで下に行く予定も無いですから、いんじゃないですかね」
「えっ、ユウマさん、それマップが見れるの?」
「ええっ、見れますよっ、ほら・・・」
 タブレット端末のマップ部分の画像を出し、フィーナ様にみせた。

 そこには全体マップと、詳細マップの2つが画面上に映し出されていた。全体マップでは90階層の部分が赤く点滅しているし、詳細マップには90階層とその上下の部分が映しだされていた。
 それでその映しだされている部屋の真ん中に紅い点1つと青い点4つが映しだされている。画面をスライドしていくと、俺達の通ってきた階層は薄い青色になっているが、60階層から89階層は灰色の状態であった。
 ついでに言うと、91階層は薄い赤色で表示され、それから下は灰色の状態であったのだ。

 なるほどね、このタブレットでマップの部分は操作できるけど、その他は操作不能でどの道100層から下への移動は無理だったのである。

 まあ、実際に当初の目的であるフィーナ様の予見の能力は、ほぼ完璧以上の性能で習得してる事だし、未来視なんて便利な能力も取得して・・・しかも、先程新たな能力を手に入れたそうだ。
 それは今迄は未来視の能力を使っても、誰かがその行動を起さないと、その先の未来は変わらず解らなかったらしいのだが、先程の宝箱の件の時からどうも状況が変わり、フィーナ様が頭の中でその行動の先を考え、行動させたらその先の未来が解るようになったそうだ。

 まあ、その、少し欠点もあるみたいだ。それはそうやって見た未来はホンの数秒先で、あくまで結果だけが同じだったようである。俺が個人的に行なった事は、その未来視では見えなかったそうだからであった。

 それで俺とフィーナ様の2人で話して出口側に向かって歩いている間に、リンカとシルフィーの2人で90階層のボスと戦闘を行なっている状態だ。

 それでその戦闘を行なっているリンカとシルフィーは、よほど楽しいのかニコニコと笑顔をみせながら、相手であるゴーレムを攻撃し続けている。
「あははっ、このゴーレムすごいよユウ君!ホントに攻撃を与えると貴重な鉱石を色々と落すよ」

「ホントですね。ここまで色々と高級な鉱石を落すゴーレムも珍しいですね。でも、ちょっと様子が変ですね?」
 リンカとシルフィーが、この90階層のボスであるゴーレムと戦闘を行ない、殆ど一方的にゴーレムを痛め付けている。

 それにこのゴーレムは以前ユウマが見た事があるゴーレムとは、大きさと質が少し違っていた。だが、間違いなくあの時と同じ様に、色々な純粋の高級鉱石を落しているのであった。

 それにこのボス部屋の出口のところには、他のボス部屋と違い出口の大扉が無い状態であった。
「しかし、なんでこの階層のボス部屋には、出口側に大扉が無いのかな?他のボス部屋には必ず1度入ったらその部屋から出られないように強固な大扉が絶対にある筈なのに・・・ねえ、ユウマさん」
 うん?確かにフィーナ様が言うように、この部屋に入った時にも思ったが、なんでここだけ出口側の大扉が無いんだろう?それにこれじゃ、この部屋の大ボスであるゴーレムと戦う必要も無いように思える。まあ、ここまで貴重で高級な鉱石を落すなら戦い続けるよな。結構弱いしこれだけ簡単に鉱石を落すなら・・・。

「あっ!?そういう事か、フィーナ様!俺ある事が解りましたよ」
「えっ、どうしたんですか、ユウマさん?」
 ユウマは何故この部屋の出口側に大扉が無いのかが、なんとなく理解が出来た。それはこの部屋のゴーレムが逃げ出す為だと言う事が解った。
 ただ、何でなくなった大扉が、普通なら時間が経つと再生するはずなのに、この部屋の大扉がなんで再生していないかは、現状解らなかったのである。

「ちょっと待っててくださいね。フィーナ様。リンカ!シルフィー!そいつを絶対にこっち側、出口に向かわせるなよっ!」
 何故俺がリンカとシルフィーにそのような指示を出したかと言うと、以前、時の女神である我が妹ティナの話を思い出したからであった。
 それは、ある程度攻撃を加え続けると、何故かゴーレムが逃げ出したと言う事を聞かされていたからである。最初は『そんな馬鹿な!』と半信半疑だった。
 だが、この状況なら間違いなく逃げ出せる。何せこの出口の大扉が無かったら・・・うん、間違いなく逃げていくな。多分相手をしないでも追いかけて来るだろうな。

 実際なんでここだけ、大扉が再生しないのかは不思議ではあるが、とりあえずリンカ達に戦闘を任せた状態で、出口側の大扉を今から製作する事にした。多分、出口側に大扉がないと、また同じようにゴーレムが逃げ出す事が起きると思ったからである。

 結果的に大扉を新しく造ったが・・・呆気なくゴーレムに破壊されてしまい。逃げられそうになってしまった。
「ユウ君・・・何がしたかったの?大扉を新しく作っても、意味無いじゃん。壊されてるし意外に脆かったね」

「・・・・・」
 まあ、確かにリンカの言うとおり、せっかく他の階層のボス部屋にあったのと同じ様な感じで大扉を鉄と木材を使用して瞬時のウチに造り出したのに、ゴーレムがリンカとシルフィーの拘束を解いて突然逃亡をはかった。
 ・・・だが、大扉を呆気なくこちらに来たゴーレムに破壊されてしまった。一旦何が起こったか解らなかったが、大扉を壊された瞬間、なんとなく頭にきたのでその一旦立ち止まったゴーレムの足を思いっきり破壊してやった。

「ふふふっ、残念でしたね。ユウマ様!でも、何故、このゴーレムは逃げ出したのでしょうか?しかも、せっかくユウマ様のお造りになった強固な大扉を、一瞬のウチに破壊して・・・それに何かを取り込んでいたように見えましたけど?」
「えっ、どう言う事、シルフィー?」
「ほら、残骸が木材しか御座いませんもの。あれだけの質量があったのにその他の物が見当たりませんよ?」

 シルフィーに言われて、周囲に落ちている残骸を見てみた。
「へっ?マジで・・・・あっ、ホントだ!鉄や鋼で造った部分が無い」
 
 確かにシルフィーが言う様に、俺がかなり頑丈に造った大扉が破壊された割には、その周りに散らばってる残骸は、木材の部分だけであったが、その他の鉄や鋼を利用した部分がまったく残ってなかった。しかも、先程足を破壊したそのゴーレムの周りには、何故か大量の上質な鉄鉱石類が転がっていた。

「それでシルフィー!こいつが大扉を、触った時ってどうだったの?」
「えっ、はい、そのゴーレムが大扉に触れた時に、その扉からゴーレムに何かが吸い込まれていきましたよ。で、そのあとは皆さんが見ていた様に、簡単に大扉が吹き飛んだんですよ」
 シルフィーがそう教えてくれている間にも、そのゴーレムは自分の周囲に散らばった鉱石類には見向きせず、今は必死に自身に残っている右腕だけの力で逃げようとしている。どうやら転倒した時に左腕を破壊してしまったようだが、腕一本なので先程から一向に前へ進んでない。

 まあ、片腕だけでも階段まで行かれたら面倒なので、ゴーレムを前に行き部屋の中央まで蹴飛ばした。確かに破壊した足の部分は、かなりに数で上品質の鉄鉱石に変化してあったので、みんなまとめて回収しておいた。

「もしかして、こいつって、加工したモノを取り込んで、自身の身体にしてるのかな?」
「ん~そうみたいね。ユウマさん、ただ、どうやらこのゴーレムは魔力を通した物や、木材や岩は取り込めないみていよ。あと、加工前の鉱石も同じ様みたいね。ほら、今、ユウマさんが蹴飛ばして中央にいるけど、周囲に落ちてる鉱石類には見向きもしないもの、それに、近くに転がってるただの岩なんかも見向きもしてないですよ。ほら・・・」
 確かにボロボロになったゴーレムは、自身の周りに良質な鉱石や岩なんかが沢山あるのに、それらを取り込もうとはしていない。

「それでか、俺が造った鉄製の頑丈な扉は破壊された訳でなくて、重要な部分が取り込まれて残った木材部分だけになったから簡単に破壊されたのか・・・」
 それに、どうやらあいつ自身取り込めない物質があるようだ。
 なら石材と木材で扉を作り、金具部分は魔力を通したら破壊されないのではとユウマは考えた。

 それでユウマは試しにボロボロのゴーレムに、石で出来た加工品と加工した鉄の塊、それに魔力を流した間鉄鋼を、そいつに与えることにした。それで近くに置くと加工した鉄の塊には近付きその鉄の塊を取り込んで、なくなっていた左腕を復活させたまでを確認したのであった。

 ん・・・・なるほど、そうだったのか、それなら入口の扉は、木材と石材をメインにして、魔力を通した魔鉄鋼で枠や金具を使って造るかな。それに念の為、魔法で強度と秘密の対策を付与しておこうか・・・。

「ユウマ様?何かいいことでも思いついたのですか」
「うん、さっきので納得。それなら入口と同じ様に石材で加工したモノも利用した大扉にすれば、特に問題ないのかなっと思ってさ・・・」
 それで最終的に、入口と同じ様な大扉にしたが、もしもの時の為に石造りの大扉をもう一対造り、出口側の大扉を二重構造にした。最後に実験の為に瀕死のゴーレムに鉄鉱石を加工して鉄の塊を与え復活させると、両足が復活したと同時に慌てて出口の大扉の方へ逃げ出した。

「ありゃりゃ、足が治ったら一目散に逃げ出したぞ・・・」
「ねえ、ユウ君?ホントに大丈夫なのあの木製の扉で?」
「ホントですよ、ユウマ様。あの扉じゃ普通に力を入れたら破壊されるのでわ?」
 リンカとシルフィーは、頼りないただの木製の扉を、少し心配しているようだ。

「でも、ユウマさんだから、何か仕掛けがあるんじゃないかな」
 フィーナ様はユウマが何かしていると、考えているようである。



 先程まで俺のする事を、大人しく見ていてくれた3人だが、それぞれ言いたい事を言葉に出し、興味深々に慌てて逃げていくゴーレムを視線で追って何が起こるかを期待したのであった。


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