巻き込まれて異世界へ ~なぜだか関わった人の運命変えてます~

桜華 剛爛

文字の大きさ
62 / 557
第3章 街まで移動、転移しないで護衛延長かもしれない

3-24 ギルドマスターからの試験結果?

しおりを挟む



「おお、そんなに汚れてるか?まあ、良いんじゃないか・・・がっははは・・」
「そんな訳にはいかないでしょ!本当にもう大雑把なんだから・・はぁ」
 豪快に笑うグラントを、フィリアは冷たい目で見つめて答えため息をはいた。
 
「もう!しょうがないわね。ちょっと待ててね、あなたたち」
 フィリアがそう言って扉を開けてから秘書のヨーコに声をかけた。

「ねー!ヨーコ!お願いがあるの!ちょっとこっち来てちょうだい」
「なに、おねーちゃん!」
 フィリアがヨーコを呼び寄せ、ヨーコがギルドマスターの部屋の扉から中を覗いた途端。

「えっ!おねーちゃん!何でみんなボロボロで汚いの?おまけにギルドマスターまで?」
「えっと、ねっ!かくがくしかじかで色々あってね、この子達の昇格に相応しいかの試験をしてたの!」
「えっ!ギルドマスター直々に?普通試験官の係員がする事でしょう、何でまた」
 秘書のヨーコが何気に信じられない言葉を言ったような気がしてみんなが一斉に声をだした。

「「「えっ!えええ・・・!そっ、そうなんですか?」」」
「ええ、そうよ普通は、試験官が戦闘を見てから、その人に合った訓練方法や能力判定を行うの。そして場合によっては試練と言う名の修行、探索クエストをさせるのよ。でも今までギルドマスターが試験官をやったなんて聞いた事無いわ」
 ヨーコが冷やかな目でグラントを見た。

「うっ!えーとな、俺が暇だったのと面白いやつらが来たから、がっははは・・」
「もうー、おねーちゃんも、何で止めなかったのよ!」
「えっ!私ここの責任者じゃないし、私も実際この子たちの本気の戦闘を見てみたかったから、あえて止めなかったのよ。もっとも本音は、面白そうだったからかな♪」
 などと、とんでもない新事実を聞かされた。

 それから、秘書のヨーコが、みんなに向け生活魔法の【清浄化クリーンアップ】の唱えた。
 すると先程まで汚れていた服や体が一瞬で綺麗になったので、ヨーコにお礼を言った。

「それではあらためて、俺はここトライア冒険者ギルドのギルドマスターのグラント・フルフロートだ」

「そして私はシルフォード公国の冒険者ギルド、ギルドマスターのフィリア・フィーリスよ、よろしくね!あっ、ちなみの私がここにいるのは、妹のヨーコを迎えに来たの!」

 フィリア曰く、今まで不在だったトライアのギルドマスター付きの秘書が新しく見つかったので、ヨーコがシルフォードのギルドに戻れる事になっていた。

 そして、たまたまギルドマスター恒例会議が2日前にトライアの街でありヨーコと一緒に戻ろうと考えていたら、今日まで申し送りで時間がかかって明日戻る事になっていたと説明をしてくれた。

「まっ!かたい挨拶は良しとして、お前たちは全員合格だ!昇格は認めよう」
 ユータたちは、全員でやった!と声を上げ一同によろこんだ。

 そして、その光景を微笑ましく見ていたユウマに向けて、グラントが少しお願いがあるのだがと言葉をかけて来た。

「ユウマすまんが、コイツらの昇格は認めるが・・」
 ユウマが、もしかして俺は不合格なのではと考えたがどうも様子が違うようだ。

「いやいや、お前は文句なしの合格だ。何せ俺を非公式とは言え倒したんだからな!ただな、どうもコイツらは合格とは言ったが現状危なっかしい。でだコイツらの面倒をお前がみてやって欲しいんだが?どうだ!」
「えっ!でも俺っ?」
「ああ!お前の事情はフィリアにおおまかに聞いてる。それをふまえてのお願いしたい。もちろん断ってもかまわん」

「いや、断ってもかまわんって。この子たちの目の前で言います普通。はあ、まあ、でも今俺フリーじゃ無いんで依頼者に相談してからで良いですか?」

「うん!そうかそれでかまわん。取り合えず前向きに考えてくれ」
 グラントにそう言われたが、とうのユータたちは何故か目をキラキラさせて期待の眼差しをユウマに向けていた。

 でも一旦保留となった途端に、みんなが「ええっ!」とうなだれてしまった。

「ユウマ、その件だけど私からもお願いするわ。できるだけ前向きに考えてお願い」
 フィリアからも、再度ユータたちの面倒を看てくれとお願いされた。


しおりを挟む
感想 798

あなたにおすすめの小説

妻からの手紙~18年の後悔を添えて~

Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。 妻が死んで18年目の今日。 息子の誕生日。 「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」 息子は…17年前に死んだ。 手紙はもう一通あった。 俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。 ------------------------------

ありふれた聖女のざまぁ

雨野千潤
ファンタジー
突然勇者パーティを追い出された聖女アイリス。 異世界から送られた特別な愛し子聖女の方がふさわしいとのことですが… 「…あの、もう魔王は討伐し終わったんですが」 「何を言う。王都に帰還して陛下に報告するまでが魔王討伐だ」 ※設定はゆるめです。細かいことは気にしないでください。

「俺が勇者一行に?嫌です」

東稔 雨紗霧
ファンタジー
異世界に転生したけれども特にチートも無く前世の知識を生かせる訳でも無く凡庸な人間として過ごしていたある日、魔王が現れたらしい。 物見遊山がてら勇者のお披露目式に行ってみると勇者と目が合った。 は?無理

魅了が解けた貴男から私へ

砂礫レキ
ファンタジー
貴族学園に通う一人の男爵令嬢が第一王子ダレルに魅了の術をかけた。 彼女に操られたダレルは婚約者のコルネリアを憎み罵り続ける。 そして卒業パーティーでとうとう婚約破棄を宣言した。 しかし魅了の術はその場に運良く居た宮廷魔術師に見破られる。 男爵令嬢は処刑されダレルは正気に戻った。 元凶は裁かれコルネリアへの愛を取り戻したダレル。 しかしそんな彼に半年後、今度はコルネリアが婚約破棄を告げた。 三話完結です。

過程をすっ飛ばすことにしました

こうやさい
ファンタジー
 ある日、前世の乙女ゲームの中に悪役令嬢として転生したことに気づいたけど、ここどう考えても生活しづらい。  どうせざまぁされて追放されるわけだし、過程すっ飛ばしてもよくね?  そのいろいろが重要なんだろうと思いつつそれもすっ飛ばしました(爆)。  深く考えないでください。

転生ヒロインは不倫が嫌いなので地道な道を選らぶ

karon
ファンタジー
デビュタントドレスを見た瞬間アメリアはかつて好きだった乙女ゲーム「薔薇の言の葉」の世界に転生したことを悟った。 しかし、攻略対象に張り付いた自分より身分の高い悪役令嬢と戦う危険性を考え、攻略対象完全無視でモブとくっつくことを決心、しかし、アメリアの思惑は思わぬ方向に横滑りし。

心が折れた日に神の声を聞く

木嶋うめ香
ファンタジー
ある日目を覚ましたアンカーは、自分が何度も何度も自分に生まれ変わり、父と義母と義妹に虐げられ冤罪で処刑された人生を送っていたと気が付く。 どうして何度も生まれ変わっているの、もう繰り返したくない、生まれ変わりたくなんてない。 何度生まれ変わりを繰り返しても、苦しい人生を送った末に処刑される。 絶望のあまり、アンカーは自ら命を断とうとした瞬間、神の声を聞く。 没ネタ供養、第二弾の短編です。

婚約破棄の後始末 ~息子よ、貴様何をしてくれってんだ! 

タヌキ汁
ファンタジー
 国一番の権勢を誇る公爵家の令嬢と政略結婚が決められていた王子。だが政略結婚を嫌がり、自分の好き相手と結婚する為に取り巻き達と共に、公爵令嬢に冤罪をかけ婚約破棄をしてしまう、それが国を揺るがすことになるとも思わずに。  これは馬鹿なことをやらかした息子を持つ父親達の嘆きの物語である。

処理中です...