インフィニット・ファンタジアライフ

桜華 剛爛

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5:不思議な少女?

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「さて、どうしたものかな・・・持ち物があんまり無い。というよりどうやって、ここで待つかな・・・いや、ここで待たなくてもいいのか?」
 そう思い湖のほとり方まで歩いていき、向こう側の岸に見える森を見てみたのだ。

ー☆ー☆ー

 俺がいるところから見える湖の向こう側に見える森の場所は、薄暗く、とても嫌な感じのする場所であった。
「いやいや、ここはこんなに明るいけど、あの向こう側の森・・・何、滅茶苦茶暗いんですけど・・・。しかも、遠巻きで見てもなんか嫌な感じがするし、変なのがいるっぽい?なんだあれは・・・?あれ、そういえば・・・」

 森の奥の方を覗き込んでいて、少し違和感を覚えた。
 何故その様な違和感を覚えたかと言うと、生前は眼鏡をかけていた。しかも超が付くほどのド近眼で牛乳瓶の底のようなレンズの眼鏡をかけていたのだ。

 それなのに今は眼鏡をかけていない、それどころか裸眼でかなり遠くまで見えたのであった。

「すげえ、眼鏡無しで滅茶苦茶遠くまで見えてるぞ・・・そういえば、エナジー様達が若返らせるって言ってたよな。どれだけ若返ってるんだろう。鏡、鏡・・・ああ、そうか、そんな物無かった。それならば」
 そう思い湖の水面を覗き込んでみた。しかし、そこには自分が思っていた顔は無く、女の子と言ってもおかしくない顔立ちの少年がいた。

 ヒビキは自分顔だとは思えず、その場で唖然としたて、自分の手でその顔を撫でたのであった。

「・・・・はっ?誰だよこいつ・・・!? おいおい、もしかしてこれが俺かよ。・・・エナジー様、フレイヤ様・・・誰がどう見たって完全に別人じゃねえかよ。・・・まあ、ここには知り合いなんていないから、どうでもいいのだけど。流石にこれはやりすぎのような気がするよ・・・」

 ここで愚痴を言ったからと言っても、恐らく変更なんかは出来ないだろうし・・・まあ、変な姿じゃないし問題ないから諦めよう。

「しかし・・・この姿はいいとして、今後の事を考えないと・・・俺の自分の荷物とかは・・・うん、ないな、しかも、この世界の事も解らんからな・・・あっ、そういえばさっきの娘は、さっきの娘に聞けば何か解るかも・・・」
 さっきまでこちらを警戒していた娘の事を思い出して、その娘に尋ねようと周囲を探してみた。

「あれ?さっきまであの樹の陰に隠れていたはずだけど・・・どこに行った?おおーい・・・」
 実際にこの湖にあるここの島は、然程さほど大きくないし隠れられる場所も殆ど無い、それでも先程の少女は見付からず諦めて上の方を見上げて見た。
 すると樹の上に先程の少女が登っていて、しかもちょうど俺が見ている時に、足を滑らせて俺の方に向って落ちてきたのである。

「うおい、何であんなとこに登ってんだよ。しかもこっちに落ちてきてるし・・・あ、ああ、あっ、助けないと、ここに落ちたら大怪我どころじゃすまないし、ここで死なれたら困る。何とかして助けないと」
 無理だとは思いつつオロオロしながら、助けようと必死に上を確認して、落ちてくる少女をキャッチしようと両手を伸ばし構えた。するとちょうど俺の両手に収まる寸前のところで、少女の背中に羽が出てきてフワッと浮きあがり、そのまま俺の両手の中にゆっくりと降りてきた。

 はぁ?どうなってんだよ。滅茶苦茶焦ったのに、なんだよこれは・・・。

 その少女は余程、俺に構ってもらったのが嬉しかったのか、俺が両手を挙げた状態の中に収まり、俺がその状態で固まって考え事え事をしていると、そこから抜け出し何故か肩車をさせられた状態になってしまった。

 そこから何故かその子は終始笑顔で頭に抱き付き、こちらを覗き込まれる状態になってしまった。

「あのさ、お前なんなの?背中に羽があるのもそうだけど、何であんなとこに登ってるんだよ。しかも・・・・まあ、いいんだけどね。それよりもさぁ、お前なんて名なの?ちなみに俺はヒビキ、一条いちじょう ヒビキって言うんだけど・・・・・解るかな俺の言葉・・・」
 少女に名前を聞くために俺自身の名前を名のって教えてみた。すると少女が首を傾げ答えてきた。

 もしかしたら言葉が通じないとかだったら、それが一番困るのだけど・・・。

「ヒビキ?・・・ヒビキッ、ヒビキ!ヒビキィィ」
「いや、俺の名前はいいんだけど、お前の名は?」
「ん?・・・アクア解んない」
 可愛らしく首を傾げているのだろうか、俺の頭の上で考え込んでいる。

「えっ、解んないって、アクア言ってるじゃん。それ名じゃないのか」
「アクア?・・・ん、アクア?かな。よく解んない」
 再び少女は、自分でアクアと言いながら首を傾げて考え込んでいた。

 どうやら言葉は通じたのだが、この娘が俺の質問をよく理解してないみたいだった。

「まあいいや、俺はこれからお前の事をアクアって呼ぶからな。それでいいか」
「うんうん、ヒビキ、アクアと家族♪」

 いきなり家族認定ですか、もしかしてこの娘は羽があるから親に捨てられたとか・・・。まあ、そんな事はどうでもいいや、とりあえず今後どうするか考えないと、とりあえずアクアに聞いてみようかな。
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