クイーンズ・メモリー!   ☆大魔王は勇者がお気に入り☆

桜華 剛爛

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第一章:第二節

3:飢饉を起した男は?

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 そうそいつは、今回の飢饉を起こした人物その本人であった。
『このままではやりたい放題していた事が明らかになり、最悪死罪になってしまう。いかんぞ、いかん。何とかしないと』
「おい、このままじゃやばいぞ!」
「ああ、どうにかしよう」
 その魔王候補の男と数人の者は自分達が、今回の飢饉を起こした張本人で、このままでは今まで隠してきた事が、すべてばれてしまうと考え、如何どうにか打開策が無いかとキョロキョロと周りを見渡していた。

 最初は言葉で誘導して、今の体制を変えようと試みたが、現魔王様達が先頭に立って調査を始めれば直ぐに全てが公になってしまうと、考え違う行動を考えていた。
「おい、あれを利用すれば俺達は逃げだせるんじゃ無いか?」
「おお、そうだな。親方」
『・・・・』

 するとそいつは、今この場で特にこの謁見の間に全く関係無い者が、まだ横で椅子に座っている事に気が付いた。しかもそこにいるのは人族であり、しかも3人とも女で、2人は少女でもう1人はか弱そうな女性がいるだけで、先程まで周りにいた親衛隊も今は各入口に散らばっていた事に気が付き、その飢饉を起した人物達は、醜悪に顔をにやつかせていた。
『チャーンス!この女達を人質に逃げ出そう、今の我の力なら逃げれさえすれば・・・』

 そうこの時飢饉を起した人物達は、つるし上げられれば恐らく死罪は免れず、二度と蘇える事が出来ないだろうと考えていた。
 魔族は比較的に死んだとしても、魂、アストラル体が無事ならば蘇える事は可能である。

 ただ、力は大半は失われてしまうだが、復活すれば如何どうにかして年月をかければ力を取り戻す事が出来ていた。
 それにこの飢饉を起した首謀者の魔王候補の男は、現魔王の4人うち3人なら1対1で戦えば倒せる自信が有ったのだ。
 これは、あくまで自信だけで有ったが、それでも良いとこまではいくだろうが、倒す事は流石に無理である。

 実際にその実力は現魔王4人がいなければ、5本の指に入る実力は有ると思われる。まあ、何も無く順調に行けば魔王になってもおかしくなかったのだが、性格と民の信頼が薄いので魔王にまでなれずにいた。

 それは今回の飢饉も実際には救えた民を、救わず自分の言う事を聞かないと言う理由で見捨てたのだった。

 この飢饉を起した魔王候補の男とその取り巻きの部下達は、魔王4人と親衛隊達に気が付かれない様にそっと今いる場所からばれないように少女達の方へと近づいていった。

 魔王であるルイザが、最後だと言う様に声を出した。
「なお、正直に出てまいれば。死罪だけで済ませよう。ただ拷問を受けて貰った後でだがな」
 冷たい目で、その飢饉を起した首謀者である魔王候補の男がいたであろう場所に、ルイザが視線を向けたと同時にその男は動いていた。

「ふはははっ、そのガキをよこしやがれ!」
「ははっ、お頭やっ!?」
「「「・・・!?」」」
 そう言って1人で座っていた、レイカをその男の部下が掴もうとしたが、何故かその男達は宙を回っていた。

「なっ・・・なにぃぃぃ!?」
 この時、レイカに向かってきた魔王候補の男とその部下達を、横でセリカを抱えて座っていたマリアが、レイカを掴もうとしていた男達の手を、払いのけ吹き飛ばしていた。

 そのマリアは寝ているセリカを椅子に降ろし、吹飛ばした男達の前まで行き、冷たい視線を送っていた。
「あなたはその薄汚い手で、レイちゃんに何をしようとしたのですか?」
 この時のマリアは、冷たい視線を向けると共に、とんでもない殺気をその吹飛ばした男達に向けていた。

 それで吹き飛ばされた男達と魔王候補の男は、何がおきたか解らず少女達の方を向き、吹き飛ばした本人マリアを見上げたいた。
「なんだこの女は何をした。このままじゃ捕まってしまう。如何にかしないと・・・」
「なっ、何なんですかお頭?この人族の女は?」
「「「うっ、ひっえぇぇ!」」」
「「だから、やめようって!?」」
 その様に男達は声をあげあせっていた。

 この場にいた全員も、今魔王候補の男とその取り巻きの部下達が飛ばされた方を見て、各出口にいた親衛隊達もそちらに向かおうとした時、目を覚ましたセリカが椅子から降りて無防備にもマリアのところに歩きだした。
「ふぁぁっ、なぁぁに、どうしたの?マリアお姉ちゃん」

 そうこの時何故かセリカは魔王候補の男の近くに歩いて来ていたのだ、そのセリカの行動にマリアも気が付くのがおくれた、そのスキに魔王候補の男の方が先に気が付き捕まえた。

「きゃっ・・・」
「はははっ!俺はついてる。このガキを人質にして逃げ失せてやる。ほら、そこをどけこのガキを殺されたいか!それとお前たちも立て、チャンスだ。これは俺達にとっての好奇だ」
 捕まったセリカは、何が起こったか解らず目を白黒させ呆けていた。

 事態が急変してしまったが、この事に皆動けずにいると、セリカを人質に取った魔王候補の男とその部下達は、ここにいる皆を下がる様に指示を出し。
『やった、これで逃げられる。このガキを盾にすれば・・・・』
「お前たち!逃げ場を確保しろ」
「「「「へいっ、お頭」」」
 そう思いながら部下達と共に出口へと後ずさりしだしたのだが、そこは親衛隊が一番多い場所だったので、その場を諦め周囲を見渡し、先程エリザが出て行った扉に視線を移した。

 するとそこからただならない、気配と強い魔力の持ち主が近付いて来ているのが解り、そして扉が開いたのであった。
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