クイーンズ・メモリー!   ☆大魔王は勇者がお気に入り☆

桜華 剛爛

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第一章:第四節

10:マリーとマリア?

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 だが目の前にいる邪心族達は、今迄倒した邪心族達と違いかなり強く統率が取れている、そのうえ更に強い邪気と闘気を持った邪心族がその後ろに現れ指揮していたのである。

「マリー様、先程のやつらは確かに強かったですけど、それでも私達が遅れを取るようなことが無く、そこまで大した事はなかったのですが、今私達が対峙してる者達は突然更に強くなった気がします。それにこの者達の後ろにいる禍々しく強い気を放ってるのは、どうやら他の者とは違い異質に感じますね」
 突然統率が取れて、強さを増した敵に対して愚痴をこぼし、その原因となった者の異質さを感じて話をマリーに投げかけた。

 しかし、マリーはこのマリアの言葉を、意識薄れる中で聞いていたため、良く理解しておらず、それに相手がヤバイ相手と感じてある決断をしたのであった。
「・・・はっ、そっ、そうね。あいつは余り良くない相手であるは、あいつは私に任せて・・・マリア!あなたはエリザ様の元に一旦引きなさい。そして出来る事なら・・・」
「いえ、それは出来ません。マリー様をお1人には出来ません。・・・それに私を見くびらないで下さい。私は引きませんよ。貴方と共に戦います」
 自分が弱い事はマリアも感じていたが、それでも日頃の鍛錬でかなり強くなったと思っていたが、今マリーを1人残して引く事は出来ないとも思っていたのである。
 それに先程の失態の事もあったので、この場は引けないと反抗したのであった。

「いえ、別に貴方の事を見くびっている訳じゃないわよ。ただ・・・このままじゃ先程現れた奴には、私達じゃ絶対に太刀打ちが出来ないの。だからせめてエリザ様達に逃げるように伝えて欲しいの。じゃないとこれまでのエリザ様の努力が無駄になってしまうわ」
 マリーとしては、この場で戦闘を続行しても勝ち目がないと悟り、マリアにエリザの事を連れてこの場より逃げて欲しいとお願いしたのだった。
 それは恐らくこのまま戦闘を行なった場合、間違いなく今回の和平会議の為に、エリザが施している封印を解いてこの戦闘を終らせる筈だと確信していたからである。
 それにもしそうなってしまうと、間違いなく今まで他の種族との和平協定を何らかの理屈をつけて他の種族がいちゃもんをつけてくるとも核心していたのであった。

 しかしマリアとしては違う考えを持っていた。それは先程マリーの様子がおかしいのに気が付いたのと、時々マリーの顔色が青くなって返事が遅れている事を心配していたのである。
 それで先程マリアは自分をマリーが庇ってくれた事を思い出して、もしかして先程の大丈夫と言ったのは嘘で、相当なダメージ受けているのではと思い思わず確認した。
「マリー様!もしかして先程、私を助けた時のダメージが激しいのでは、それで自分を犠牲にして、私をエリザ様の元に引かせようとしているのではないのですか?」
 敵との戦闘をしている中で、マリアが真剣な目でマリーに近付き目を見つめて尋ねてきたのでマリーは根負けして答えたのである。

「・・・・そっ、そうよ。貴方を庇った時に傷を負ったは、たぶん肋骨を5、6本逝っちゃってるわね。それにその折れた1本がたぶん・・・それに貴方が傷ついたらあの子達が悲しむもの、そんなの嫌だから・・・だからよ!」
「そっ、そんな、助けて貰っといて、こういうのはなんですが、マリー様が傷を負うのだって、あの子達が悲しみますよ。それにエリザ様も凄く怒ると思います。でも一番悲しむというより、アーくんが何しでかすか解りませんよ。最近のあの子は家族に対しての考えは異常ですから」
「ふふふっ、マリアはホント優しいわよね。正直に言うと私は人族を余り信用しないけど、貴方達は信頼してるし、確かにエリザ様は怒るわね。私にじゃなくて相手に対してね。それに、アーくん、いいえアレスもきっとね。でも、ごめんなさいアリア、先程の話しは無しで、もう既に遅いですから、どうやら今回は諦めるしかないみたいです和平交渉は・・・」
「ええ、そうですね。マリー様!もう、既に手遅れのようですね」
 そう2人で話しながら、敵の攻撃をかわしつつ、先程苦戦していた敵を倒していた。

 普通ならこの状況を見たら、絶対のピンチの状態であるのだが、時折笑顔を見せているので気が触れたかと戦っている相手は思っていたし、それとも別にこのピンチを回避できる秘策があるのだろうかと疑う者も数名いたが、このときの2人はまったく違う事をかんがえていたのである。

 それは何故かと言うと、先程2人で話している時に、後の方から巨大な気の持ち主が近付いてきたからであった。
 それにこの感じの気は間違いなく大魔王であるエリザ様だと思っていたのだ。そして、今回マリーとマリアは、自分達が不甲斐ないばかり、せっかくの封印を解いて自分達のために、こちらに向かって来てくれていると確信していたのであった。
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