捨てられΩはどう生きる?

枝浬菰文庫

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大峰稚里

そうだ、全部壊しちぇばいいんだ

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 薬品を作る大峰家に産まれてきたのはαの一人息子だった。


 大峰稚里15歳
 中学生を卒業したと同時に大峰家のトップになった。


 勉強も性的勉強も全て大峰家のトップである父親だった。
 αとしての威厳も大峰家としての威厳も全て父親に教わった。


 だから苦しかった。
 嬉しいことも楽しいことも全部壊された。
 まるで僕がαとしての性でしか見られていないそんな気がしたから。

 

 とある日、父親と研究施設に訪れ、とある薬品が完成したのだ。
 それがαからΩにバース性を返る薬だった。


 もちろんこれは一般には売れない、だから特別な相手のみに高額な値段で提供した。

 とある人はレイ●のために気に食わないαをΩに変えていたことや。
 ずっと好きだったα同士の恋人をΩに変えることや。
 使い方は人それぞれだった。それに薬品の効果が消えるように作っていたから大峰家の薬品とは気がつかれることはなかった。

 そして父親は何を思ったのかそれを僕に飲ませた。そして僕はみるみるうちにαからΩへとバース性を変えることになった。



 だから最初に殺したのは父親だった。憎い……僕の人生を全て奪った。
「へぇー人間ってこんなに簡単に殺せちゃうんだ」

 首が胴体と離れコロコロと転がった先には母親がいた。
 育ちがよかった母は父親の命令にすぐに従っていた。

 それも気持ちが悪かった。

 だから、僕の腕のナイフは母の心臓を抉っていた。


「どうして?」
「なぜそう問いかけるのか?」


 母親も体を痙攣させもう目を覚ますことなんてできない。


「稚里様」
「ああ、大峰家は僕のものだ、幸せ? 全部壊してやる」

 大峰家にも反発組は存在していた。父親から学んだことを全て活かせば簡単に乗っ取ることは可能だった。

 Ωになったからと言えど、中学を卒業後飛び級して薬品の専門学校に入学した。
 誰も僕には近づかない、飛び抜けて成績もよく年齢不相応な学校生活をしていた。


 


 そしてあの男、琥珀慎二が僕に目をつけた。
 僕よりも強いα、威厳も父に少し似ていた。

 僕は嫌いだった。
 でも彼が企てることは嫌いではなかった。


 高額な薬品だが週1で購入しては気に食わないαをΩに変え、まるで遊びのように悲惨な光景を見ていた。
 きっとこれが王としての地位なのかもしれない。


「ねぇ琥珀さん、僕と結託してもっと楽しいことをしないか?」
「楽しいこと? 例えば?」
「そうだね、世の中のαをΩにしちゃうとか」


「ふん、つまらん遊びだ」
 琥珀は立ち上がりこちらに来て僕の顎をとった。
「え?」

 αの目つきが僕を捕らえる。
「お前の目的は全部壊すことだろ、なら幸せ同士をぶっ壊すのが一番の楽しみじゃないか?」


 僕よりもすごいことを考えた。でも目的にあっている。ぞくぞくと胸の内側から楽しさが込み上がってきた。
 早く見たい、琥珀慎二が企てる計画を。
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