予約がとれない男娼

枝浬菰文庫

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うそつき

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知ってる風景……知ってる場所に車は止まった。

どうして?

「柚月着いたよ、どうした?」

ドックン…………ドックン……いやだ、嘘なんで……先輩は……。

喉を締め付けられたような感じで苦しい。
思わず首に手をおいた。

「あ……あの僕……住所言ってないんですけど……」
「え?」

驚く先輩……。


ガチャっと助手席が空いた。
そこには蒼真がいた。

思わず彼の顔を見てしまい。

あ……そっか僕のこと……知ってたんだ。

じゃないとあんな……優しくなんてしてくれないよね。
車から降りた。

先輩も慌てて降りてきた。

「柚月……違うんだ!!」
なんでそんな大きな声で言うの、やっぱりそういうことなの?


「福田様ここでよろしいです」

福田……先輩の名前だ。 蒼真さんが知ってるってことはやっぱりそうなんだ。

喉をぎゅっと締め付けられた。

「柚月、待ってちゃんと話を……」
「うそつき!! 先輩は僕のこと知ってた、柚ってこと知ってて声かけて……僕の気持ちなんてなにも思って……ゲホゲホ……僕に投げかけてくれた言葉も全部……【うそ】なんでしょ」
涙がポタポタと落ちた。



自分が言った言葉にどんどん苦しめられる。
視界が暗く、深みに落ちたみたいに全身が重い。

「ちがっ!?」

「あんれ~なに言い争ってるの? って見てたら柚お帰り♡」

オーナーと白菊が出てきた。
オーナーはなぜかマスクをかぶっていた。


「はぁ…はぁ……」
オーナーがこっちに来て口元に指を置くと口内を犯してきた。
「んっ」

「あはっ、なになにこれ思った以上に面白い展開なんだけどぉぉぉ 福田様自分から墓穴掘っちゃうなんて最高すぎる」


「ち……違うんだ、柚月これは……」
と追いかけようとした蒼士を蒼真が止めた。

「柚……昨日サボったお仕置きともう一つお前また誰かに裏切られたな」
にやっと不吉な笑みを浮かべたオーナーになにも言い返せなくて。
涙だけが落ちていった。

「辻くん柚をお部屋まで連れて行ってあげて」
「御意」


僕は辻という黒服に建物内に入った。


「あーあ可哀想、柚やっと心開いたかと思ったのに……ふふっ」
「なにがおかしいんだよ!!」

「え? 全部だよ。まぁこっちとしては最近の柚は生ぬるかったからね、最高なパフォーマンスをしてくれてありがとうって感じなんだよね、柚が表舞台に立てるなんてそんなの俺が許すわけないじゃん」

「イカれてる」

「そうだよ、ぐちゃぐちゃにして赤く染まった地獄の海に縛り付けておくのが俺の計画なんだから」

「なんで、そこまで柚月を」

「それはね、今は言わないよ。 じゃぁ私は柚を慰めにでも行ってこようかな きっと壊れるまで抱いてくださいって懇願されるからさ♡」

「ふざけるな!!」と私は声を張り上げたが残念ながらオーナーと付き添いの男は建物内に消えた。

「ふぅーふぅーくそっ」
「あなたって人は下手くそなんですか?」

「は?」

蒼真という男にがっしりと体を抑えられていたがなにか言われたので反射してしまった。


「上手くやってくださると思ってました、こちらへどうぞ」
とそう言ってきたのでついて行った。

建物に入ると受付の人に
「会議室1借りるから、監視カメラオフにしておいて」
「そんなことできないです」

「お前新人か」
受付に入るとパソコンを少し弄っていた。

「こちらへ」
と言われついていく。

「お座りください」
「そ、そんな悠長なことしててもいいんですか?」

「はぁーあなたがあの人に立ち向かったところで良いように使われるだけですよ」
「え?」

「柚月の心は少しずつだけどあなたに向いていた、それをあの人が見逃すわけがない」
「というと?」

「うそつきなあなたと無理矢理でも性行為させられるってことですよ、それも柚月にとって最悪な方法で……。そんな姿あなたも見たくないでしょ?」

「ああ」

「まぁ柚を買い取ってくれませんか?」
「え?……それは可能なのか?」

「いちをは提示している額は5億です」

「……5億……そんな金額一生かけても体だけでは払いきれないだろう」
「ええ、その通りです、だから私たちは違う方法を考えました」
「私たち?」

「今の黒服メンバーはオーナーが集めた人たちです、過去のメンバー元オーナーだった人のメンバーが味方と思ってください、特に」
というと部屋に入ってきた1人の青年? いや年は私よりは上だ。

「初めまして小野寺拓巳おのでらたくみと申します」
ぺこりと挨拶をした。

「私は警視庁に勤め特に人○販売や借金を抱えた者たちが性奴隷として扱われる件について調査をしている者になります。 数日前から柚という少年の保護活動を行っています」
「柚月は……」
「ええ、あなたの元に行く、それは構いません、ですがお金のやり取りなくです」

「そんなことができるのですか?」

「それはあなたの心が柚月くんにちゃんと向いているかが最終的なところになりますが」
「さきほど、完全に振られてしまいましたが……私はそれでも柚月を私のところに迎えたいです」

「ええ、そういう方のほうがとてもいいでしょう、きっと彼も安心します」

「では……」


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