その吸血鬼、返品します!

胡桃澪

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彼の愛した彼女について。

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「雫は俺のだからな」
「私は誰の物でも無いですよ……」

 こんなにガンガン来られると、どうしたら良いか分からない……。

「……なんか、ムカつくんだよな」

 えっ?

「朝倉くん?」
「そうだ、月宮さん。やっぱり校外学習の件、考え直して貰えないかな? 黒月と一緒なら安心でしょ?」
「へ?」
「校外学習とは何だ? 雫」
「えっと、学校の皆でお出かけする行事」
「お出かけ! 俺、ランドとやらに行きたいぞ! 雫! 先程、インターネットの広告で見た!」
「そうそう。ランドだよ、今年の校外学習は」
「雫!!」

 響斗くんは瞳を輝かせて、私の手を取る。

「そ、そんな顔されても……」
「行こうよ、月宮さん。俺は一緒に行きたいな」
「へ?」

 朝倉くんは優しく微笑みながら言う。

「う、うん! い、行ってみようかな」
「俺が誘った時より乗り気……」

 響斗くんは唇を尖らせている。

 おまじないは間違えちゃったけど、朝倉くんと話せるかも、校外学習で。

 昼休みになると、私はお弁当を持って教室を出る。

 響斗くんはクラスの女子と話していたし、今が一人になるチャンス!

「ふぅ。避難できた! 家でも学校でも響斗くんに振り回されてるなぁ、私」

 私は中庭へ。

 ここ、意外と人来ないから落ち着くんだよね。

「さすがの響斗くんもここは分からな….…」
「俺がどうした?」
「きゃあああ!」

 いつの間にか響斗くんが私の隣にいた。

「ひどいなぁ。俺を置いてくなんて」
「どうして私の隣に?」
「ああ、まだ浮遊する能力が残ってたから飛んで探したら雫見つけた」
「ふ、浮遊? 見られたらまずいんじゃ」
「問題無い。コウモリに変身したからな」

 突然、響斗くんはコウモリに姿を変えた。

「こ、こ、コウモリ!?」
「まあ、人間の血も入ってるから能力が中途半端で30分しか持たないけど」
「なんか可愛いかも……」
「そうか! この姿ならこっそり雫のスカートの中に侵入……」
「そんな事したらにんにく投げつけますよ!?」
「冗談だって」

 彼はすぐに人間の姿に戻った。

 冗談に聞こえないんですよ!

「どうして私に構うんですか?」
「だって、一人は寂しいだろ?」
「私は今までずっと学校で一人で過ごしてたんです」
「一人は辛いぞ? 雫」
「私は……」
「ーー昨晩、静流の事を調べたんだ」
「えっ?」
「大企業の令嬢だったからな。インターネットですぐ出てきた。結婚式の晩に亡くなったらしい。川に身を投げて」
「そんな……」
「俺が静流を一人にしたんだ」

  静流さんは響斗くんを失って本当に辛かったんだ。

「私のベッドに入って来たのって……」
「そのニュース記事を見たすぐ後だ。情けない話だろ? 一人で寝る事が難しくなった」
「響斗くんは……何も悪くないです。悪いのは二人を引き離そうとした人達。だから……」
「雫は優しいな」
「今も……辛いですか?」
「大丈夫。雫がいてくれるから」
「私は静流さんの代わりにはなれませんよ?」
「そんな風には見ていないよ。雫は雫だろ?」

 どうして響斗くんといると、暖かい感じがするんだろう。他のクラスメイトとかとは違う。違和感……。

「お弁当、食べましょう?」
「ああ。お義母さん特製! 俺としては雫の手作りが良かったけど」
「けど、吸血鬼って人間と同じ食事もするんですね?」
「俺の場合はハーフだから。血が主食なら人間の食事はおやつって感覚だな。血を吸わない日が続いたら流石に死ぬかもしれない。一回人間の食事だけにして暫く血を抜いてみたらひどい痙攣と過呼吸になった」
「ハーフでもそうなんですね」
「魔界で少量の血清を買って少し摂取したから今は問題無いが……」
「わ、私はあげませんよ?」
「吸うだけなのに! 別にその後はやましい事なんてしないぞ? 多分」
「今、最後に小声で多分って仰りましたよね!?」
「嫌だなぁ。空耳だよ、空耳」

 血を吸わせるなんて私にはとても無理!

 血清がなくなったらまた買って来てもらうしかないな。

「とにかく、自分の食事は自分で何とかしてください!」
「雫は意地悪だなぁ。ちょっとチクッとするだけなのに」
「は、破廉恥です! 昨日だって夢の中で静流さんが……」

 着物脱いでたし。

「ああ、吸わせるついでにその後色々していたからな」
「そ、そういうの……私には無理ですから。ほ、他を当たってください!」
「良いの? 俺が他の女の子とそういう事しても」
「えっ」
「良いのかな? 雫」

 何で今一瞬、もやっとしたんだろ。

「わ、私としては問題ありません」

 私が好きなのは朝倉くんだもん!

「お兄さん泣いちゃう」
「し、知りません」
「けど、朝倉はやめておけ」
「へ?」
「あいつは奴と同じ匂いがした」
「奴?」
「とにかく気をつけろ」
「あ、朝倉くんは悪い人じゃないです! 響斗くんみたいに破廉恥な所無いし」
「破廉恥….…」

 やっぱり破廉恥な人より優しくて真面目な人の方が安心するもん!

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