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セカンドストーリー
十六章 不思議な夢
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エミリーと話、シャルロットと出会ったその日の晩。リリアーナは不思議な夢を見ていた。
「なんか、薄暗くて気持ち悪い森ね……」
目を開けるとそこは光が差し込まない薄暗い森の中で、何処を見ても木ばかりの場所。
「とりあえず適当に歩いてみよう」
何時までもこんな所に突っ立ていても仕方ないと考えた彼女は適当に歩き出す。
「あ、家がある」
暫く薄暗い森の中を歩いていると前方に古びたお屋敷が佇んでいるのが見えてきた。
「誰かいるかもしれないし、とりあえず入ってみよう」
こんな薄暗い森の中にいるよりも屋敷にいたほうがマシだと思い、そちらへと近づき不気味な洋館の古びた扉に手をかける。
「お邪魔します。……誰か居ませんか?」
錆び付いた音を立てて引き開けた扉の奥には明かりは灯っておらず、薄暗いエントランスが出迎えてくれるだけで、怖気づく心に喝を入れて誰かいないかと尋ねる。
「……」
「人だわ。あの――」
すると目の前の暗がりに黒いローブで顔を隠した人物が立っていることに気付き、ようやく人に出会えたと思い声をかけた。瞬間視界が歪み一気に意識が薄れていく。
(亜由美、亜由美。何時まで眠っていますの。遅刻しますわよ)
「っ!?」
もう一人のリリアの声に驚き目を開けると、そこは見慣れた自分の寮の部屋の中で先ほどまで夢を見ていたことが分かる。
(随分とうなされていたようですけれど、怖い夢でも見ましたの?)
「リリアは見てないの? 薄暗い森の中で古びた洋館が佇んでいて誰かが立っている夢」
もう一人の自分の言葉に彼女は見ていなかったのかと不思議に思いリリアーナは尋ねた。
(私は見ていないわよ。でも……)
「?」
急に黙り込んでどうしたのだろうと怪訝そうな顔で待っていると、何かを考えこんでいたもう一人のリリアがまた話し始める。
(普段は亜由美と全てを共有していますので、貴女が見た夢を私も一緒に見るのですわ。ですが、今回は途中で何か強い力により弾かれましたの)
「強い力にはじかれた? 何で……」
彼女の言葉にリリアーナは驚いてしまう。
(それは分かりませんわ。ですが、急に弾かれて気が付いたら私だけ夢から目覚めていましたの。これは、何かありそうですわね。次に同じことが起こった時は亜由美と波長を合わせて弾かれないようにして見ますわ)
「ただ不思議な夢を見ただけよ。そこまで気にする事は無いわ」
(そうですわね。……私の考えすぎかしら?)
もう一人の自分の言葉に彼女は気楽そうに気にするなと話す。それに心からリリアの声が返ってきた。
「って、急いで支度しないと皆が迎えに来るよ」
(亜由美がお寝坊さんなのがいけないのですわよ)
時計の時刻を確認しベッドから飛び起きるリリアーナにもう一人の自分が呆れかえった声で呟く。
それから何とか皆が迎えに来る前に支度を済ませると、学校へと向けて登校する。
それから一日授業を受けている間に今朝見た夢の事なんてすっかり忘れてしまうのであった。
(やはり、気にしすぎたのかしら?)
「何が?」
寮へと戻って来ると心からリリアが呟く声が聞こえてきてリリアーナは問いかける。
(いいえ。何でもありませんわ。それよりも亜由美。最近寝坊する日が増えてましてよ。私らしからぬその様子に呆れて物も言えませんわ)
「う……す、すみません」
もう一人の自分が気にするなと言うと取り繕う様に少しご機嫌斜めな声で話す。それに彼女は慌てて謝った。
(謝る時は何とおしゃるんでしたっけ?)
「申し訳ございません。以後気を付けますわ」
しかし更に不機嫌そうな声が返ってきてリリアーナは言い方を変えて再度謝る。
(宜しい。これからもお嬢様らしい言葉遣いを心がけるように。いいですわね)
「はい」
腕を組んでいる様子が直ぐにイメージできるほどの圧力を感じながら彼女は返事をして冷や汗を流した。
そしてその夜はリリアーナは今朝見た森の中の光景とは全く違う楽しくて明るい夢を見る。
(亜由美の見る夢といえば訳の分からないおかしなものばかり……それなのに昨夜見たものは到底亜由美が見そうにない夢でしたわ。……やはり気になりますわね)
リリアーナを通して夢を見ながら心の中にいるもう一人の彼女が思案する。
(……それに、あのはじき出された時に感じた不思議な力。逆らおうとしても抗おうとしても押し返されてしまったあの力の正体は一体……)
目の前でぬいぐるみが踊り出す様子に楽しむリリアーナの様子を心の中から見詰めながらさらに深く考え込む。
(今の状況では何一つ掴めませんわ。それに……どうにも引っかかるのが、亜由美の世界でのゲームの内容。確かメラルーシィさんも似たように不思議な夢を見ていた。セカンドストーリーの内容と被るような気がしますわ)
そう亜由美がやっていた乙女ゲームの世界での主人公であるメラルーシィもセカンドストーリーで不思議な夢を見ているシーンがあるのだ。
その夢は深い森の中に洋館が佇んでいて、そこで顔が分からない少年にも少女にも見える人物がお母さんとお父さんに叱られているという内容であった。
不気味な薄暗い森に古びた洋館それはまさにゲームの世界に出てきた場面と同じであったような気がするとリリアは思ったのである。
(……私は心配ですわ。もし、ゲームと同じように進んでいくのであれば亜由美、貴女は……)
呟きを零すと共に目の前の光景が切り替わり、亜由美としての記憶を基に作られた夢の世界へと変わっていった。
病院の清潔だけれどもどこか冷たいイメージを与える光景に顔がよく見えない医者や看護師。恐らく亜由美の両親であろう人物達が彼女へと語り掛けている。その内容は「病気はすぐに良くなるよ。だから治療を頑張ろうね」と励ます言葉ばかりだ。
これが夢ならばせめて楽しい夢にすればいいのに。こういう所は亜由美としての記憶が邪魔をするのだろう。
(亜由美のいた世界……私にはなじみがなさすぎますけれど、きっと亜由美はつまらない人生を送ったのでしょうね。病気でずっと家か病院で寝たきりの生活。友達も作れずにただ死を待つだけの人生ってどのような感じだったのでしょう。せめて、私と生きる人生は幸せであってほしいですわ)
その光景を共に共有し見ているリリアが叶うのであればと願いを込めて呟いた。
ゆっくりとだが確実にリリアーナはセカンドストーリーの道を歩み始めているようである。
「なんか、薄暗くて気持ち悪い森ね……」
目を開けるとそこは光が差し込まない薄暗い森の中で、何処を見ても木ばかりの場所。
「とりあえず適当に歩いてみよう」
何時までもこんな所に突っ立ていても仕方ないと考えた彼女は適当に歩き出す。
「あ、家がある」
暫く薄暗い森の中を歩いていると前方に古びたお屋敷が佇んでいるのが見えてきた。
「誰かいるかもしれないし、とりあえず入ってみよう」
こんな薄暗い森の中にいるよりも屋敷にいたほうがマシだと思い、そちらへと近づき不気味な洋館の古びた扉に手をかける。
「お邪魔します。……誰か居ませんか?」
錆び付いた音を立てて引き開けた扉の奥には明かりは灯っておらず、薄暗いエントランスが出迎えてくれるだけで、怖気づく心に喝を入れて誰かいないかと尋ねる。
「……」
「人だわ。あの――」
すると目の前の暗がりに黒いローブで顔を隠した人物が立っていることに気付き、ようやく人に出会えたと思い声をかけた。瞬間視界が歪み一気に意識が薄れていく。
(亜由美、亜由美。何時まで眠っていますの。遅刻しますわよ)
「っ!?」
もう一人のリリアの声に驚き目を開けると、そこは見慣れた自分の寮の部屋の中で先ほどまで夢を見ていたことが分かる。
(随分とうなされていたようですけれど、怖い夢でも見ましたの?)
「リリアは見てないの? 薄暗い森の中で古びた洋館が佇んでいて誰かが立っている夢」
もう一人の自分の言葉に彼女は見ていなかったのかと不思議に思いリリアーナは尋ねた。
(私は見ていないわよ。でも……)
「?」
急に黙り込んでどうしたのだろうと怪訝そうな顔で待っていると、何かを考えこんでいたもう一人のリリアがまた話し始める。
(普段は亜由美と全てを共有していますので、貴女が見た夢を私も一緒に見るのですわ。ですが、今回は途中で何か強い力により弾かれましたの)
「強い力にはじかれた? 何で……」
彼女の言葉にリリアーナは驚いてしまう。
(それは分かりませんわ。ですが、急に弾かれて気が付いたら私だけ夢から目覚めていましたの。これは、何かありそうですわね。次に同じことが起こった時は亜由美と波長を合わせて弾かれないようにして見ますわ)
「ただ不思議な夢を見ただけよ。そこまで気にする事は無いわ」
(そうですわね。……私の考えすぎかしら?)
もう一人の自分の言葉に彼女は気楽そうに気にするなと話す。それに心からリリアの声が返ってきた。
「って、急いで支度しないと皆が迎えに来るよ」
(亜由美がお寝坊さんなのがいけないのですわよ)
時計の時刻を確認しベッドから飛び起きるリリアーナにもう一人の自分が呆れかえった声で呟く。
それから何とか皆が迎えに来る前に支度を済ませると、学校へと向けて登校する。
それから一日授業を受けている間に今朝見た夢の事なんてすっかり忘れてしまうのであった。
(やはり、気にしすぎたのかしら?)
「何が?」
寮へと戻って来ると心からリリアが呟く声が聞こえてきてリリアーナは問いかける。
(いいえ。何でもありませんわ。それよりも亜由美。最近寝坊する日が増えてましてよ。私らしからぬその様子に呆れて物も言えませんわ)
「う……す、すみません」
もう一人の自分が気にするなと言うと取り繕う様に少しご機嫌斜めな声で話す。それに彼女は慌てて謝った。
(謝る時は何とおしゃるんでしたっけ?)
「申し訳ございません。以後気を付けますわ」
しかし更に不機嫌そうな声が返ってきてリリアーナは言い方を変えて再度謝る。
(宜しい。これからもお嬢様らしい言葉遣いを心がけるように。いいですわね)
「はい」
腕を組んでいる様子が直ぐにイメージできるほどの圧力を感じながら彼女は返事をして冷や汗を流した。
そしてその夜はリリアーナは今朝見た森の中の光景とは全く違う楽しくて明るい夢を見る。
(亜由美の見る夢といえば訳の分からないおかしなものばかり……それなのに昨夜見たものは到底亜由美が見そうにない夢でしたわ。……やはり気になりますわね)
リリアーナを通して夢を見ながら心の中にいるもう一人の彼女が思案する。
(……それに、あのはじき出された時に感じた不思議な力。逆らおうとしても抗おうとしても押し返されてしまったあの力の正体は一体……)
目の前でぬいぐるみが踊り出す様子に楽しむリリアーナの様子を心の中から見詰めながらさらに深く考え込む。
(今の状況では何一つ掴めませんわ。それに……どうにも引っかかるのが、亜由美の世界でのゲームの内容。確かメラルーシィさんも似たように不思議な夢を見ていた。セカンドストーリーの内容と被るような気がしますわ)
そう亜由美がやっていた乙女ゲームの世界での主人公であるメラルーシィもセカンドストーリーで不思議な夢を見ているシーンがあるのだ。
その夢は深い森の中に洋館が佇んでいて、そこで顔が分からない少年にも少女にも見える人物がお母さんとお父さんに叱られているという内容であった。
不気味な薄暗い森に古びた洋館それはまさにゲームの世界に出てきた場面と同じであったような気がするとリリアは思ったのである。
(……私は心配ですわ。もし、ゲームと同じように進んでいくのであれば亜由美、貴女は……)
呟きを零すと共に目の前の光景が切り替わり、亜由美としての記憶を基に作られた夢の世界へと変わっていった。
病院の清潔だけれどもどこか冷たいイメージを与える光景に顔がよく見えない医者や看護師。恐らく亜由美の両親であろう人物達が彼女へと語り掛けている。その内容は「病気はすぐに良くなるよ。だから治療を頑張ろうね」と励ます言葉ばかりだ。
これが夢ならばせめて楽しい夢にすればいいのに。こういう所は亜由美としての記憶が邪魔をするのだろう。
(亜由美のいた世界……私にはなじみがなさすぎますけれど、きっと亜由美はつまらない人生を送ったのでしょうね。病気でずっと家か病院で寝たきりの生活。友達も作れずにただ死を待つだけの人生ってどのような感じだったのでしょう。せめて、私と生きる人生は幸せであってほしいですわ)
その光景を共に共有し見ているリリアが叶うのであればと願いを込めて呟いた。
ゆっくりとだが確実にリリアーナはセカンドストーリーの道を歩み始めているようである。
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