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番外編
本編第八章 主と護衛兵その一 淡い恋心
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これは神子達と別れた後かんざし屋へと向かった弥三郎について亜人が主の後を追いかけた時のお話。
「どれにしようかな……ねえ、亜人。これなんか神子様に似合うと思わない?」
「神子様はどれをつけてもお似合いになると思われますが。ですが弥三郎様。なぜかんざしを神子様にあげようとお考えなのですか」
棚に並ぶかんざしを見ながら彼が問いかけると亜人がそれに答えた後疑問を口に出して尋ねた。
「男が女の人にかんざしを選んであげる理由なんて一つしかないと思うけど」
「まさか……弥三郎様は神子様の事がお好きなのですか?」
頬を赤らめ話された内容に彼が盛大に驚いて聞き返す。
「神子様に初めて会った時からぼくは神子様のこと好きになったんだ。だから他の人に取られたくない。こんな気持ちは初めてなんだ」
「弥三郎様は領家の跡取り息子なのですよ。いくら神子様の事が好きであったとしてもお父上様達が許すとは考えられません」
赤くなった頬を隠すことなく笑顔でそう言ってきた弥三郎へと彼が慌てて止めるように忠言する。
「神子様ともし正式に付き合えるようになったらちゃんと父上達を説得するさ。神子様に迷惑は絶対かけないようにする。それより亜人、そんなに必死になって否定するなんて、亜人らしくないね。いつもならぼくの気持ちをちゃんと理解してくれていて賛成してくれるのに」
「それは、神子様は今は神子様ですがもとは村娘です。由緒正しき領家の息子であられる弥三郎様と村娘であられた神子様が結ばれるなんてことはあってはならない事です。お父上様方もきっとそこを論点に話されることでしょう。ですからオレが今ここで否定するのは弥三郎様の未来のためであり、またお家のためであります」
意外だといった感じの彼の言葉に亜人が地位や立場を考えれば父親達が許してくれるとは思えないと説明した。
「神子様が村娘だろうが何だろうがそんなこと関係ない。好きになるのに地位や名誉なんか関係ないよ。そんなのが必要だって言うならぼくは夜逃げしてでも神子様と一緒になるよ」
「弥三郎様……貴方はそこまでするほど本気で神子様の事をお好きなのですね」
真面目な顔で話した弥三郎の言葉に彼が主の気持ちが本気であることを理解して呟く。
「うん。ぼくは神子様の事が大好きだよ。それより亜人は如何なの? 神子様の事好き」
「神子様のことは命の恩人として感謝する存在であり、弥三郎様と同じ様に守るべき存在。ただそれだけです」
彼が言ってきた言葉に亜人は怪訝に思いながらも真面目に答える。
「……そっか。なら亜人は神子様の事恋愛対象者として見てないんだね。なら亜人、ぼくの恋を応援して」
「弥三郎様……」
途端に笑顔になった弥三郎が微笑み応援してほしいと頼む。その言葉に彼は不思議な気持ちを抱きながら主の顔を見詰める。
「ぼくこんな気持ち初めてだから。誰かを好きになるって気持ちも女の人を好きになるって事も初めてなんだ。だから……この恋が上手くいくように応援してほしい」
「……」
笑顔で話す主の顔をじっと見つめたまま返事が出来ずにただ呆然と立ち尽くしていた。
「あ、この青色の玉飾りがついたかんざし神子様に似合いそうだな。おじさんこれ下さい」
「はい、毎度有難う御座います」
「……なんだ、この気持ちは?」
一つの素朴で可愛らしいかんざしを手に取ると、駆けて行ってしまった弥三郎の声をぼんやりと聞きながら、亜人は初めて抱いた感情に疑問で一杯になる頭を捻らせ考えた。その答えがわかるのはもう少し先になってからである。
「どれにしようかな……ねえ、亜人。これなんか神子様に似合うと思わない?」
「神子様はどれをつけてもお似合いになると思われますが。ですが弥三郎様。なぜかんざしを神子様にあげようとお考えなのですか」
棚に並ぶかんざしを見ながら彼が問いかけると亜人がそれに答えた後疑問を口に出して尋ねた。
「男が女の人にかんざしを選んであげる理由なんて一つしかないと思うけど」
「まさか……弥三郎様は神子様の事がお好きなのですか?」
頬を赤らめ話された内容に彼が盛大に驚いて聞き返す。
「神子様に初めて会った時からぼくは神子様のこと好きになったんだ。だから他の人に取られたくない。こんな気持ちは初めてなんだ」
「弥三郎様は領家の跡取り息子なのですよ。いくら神子様の事が好きであったとしてもお父上様達が許すとは考えられません」
赤くなった頬を隠すことなく笑顔でそう言ってきた弥三郎へと彼が慌てて止めるように忠言する。
「神子様ともし正式に付き合えるようになったらちゃんと父上達を説得するさ。神子様に迷惑は絶対かけないようにする。それより亜人、そんなに必死になって否定するなんて、亜人らしくないね。いつもならぼくの気持ちをちゃんと理解してくれていて賛成してくれるのに」
「それは、神子様は今は神子様ですがもとは村娘です。由緒正しき領家の息子であられる弥三郎様と村娘であられた神子様が結ばれるなんてことはあってはならない事です。お父上様方もきっとそこを論点に話されることでしょう。ですからオレが今ここで否定するのは弥三郎様の未来のためであり、またお家のためであります」
意外だといった感じの彼の言葉に亜人が地位や立場を考えれば父親達が許してくれるとは思えないと説明した。
「神子様が村娘だろうが何だろうがそんなこと関係ない。好きになるのに地位や名誉なんか関係ないよ。そんなのが必要だって言うならぼくは夜逃げしてでも神子様と一緒になるよ」
「弥三郎様……貴方はそこまでするほど本気で神子様の事をお好きなのですね」
真面目な顔で話した弥三郎の言葉に彼が主の気持ちが本気であることを理解して呟く。
「うん。ぼくは神子様の事が大好きだよ。それより亜人は如何なの? 神子様の事好き」
「神子様のことは命の恩人として感謝する存在であり、弥三郎様と同じ様に守るべき存在。ただそれだけです」
彼が言ってきた言葉に亜人は怪訝に思いながらも真面目に答える。
「……そっか。なら亜人は神子様の事恋愛対象者として見てないんだね。なら亜人、ぼくの恋を応援して」
「弥三郎様……」
途端に笑顔になった弥三郎が微笑み応援してほしいと頼む。その言葉に彼は不思議な気持ちを抱きながら主の顔を見詰める。
「ぼくこんな気持ち初めてだから。誰かを好きになるって気持ちも女の人を好きになるって事も初めてなんだ。だから……この恋が上手くいくように応援してほしい」
「……」
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「あ、この青色の玉飾りがついたかんざし神子様に似合いそうだな。おじさんこれ下さい」
「はい、毎度有難う御座います」
「……なんだ、この気持ちは?」
一つの素朴で可愛らしいかんざしを手に取ると、駆けて行ってしまった弥三郎の声をぼんやりと聞きながら、亜人は初めて抱いた感情に疑問で一杯になる頭を捻らせ考えた。その答えがわかるのはもう少し先になってからである。
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