村娘から神子になったのでイケメン達に守られながら世界を旅します

水竜寺葵

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番外編

本編第十章 殿と兵士その二 主と従者ではなく一人の好敵手として

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 神子が一人で散歩に出ていった後喜一は宿として借りている家の中庭で池に泳ぐコイを眺めていた。

「いいな。お前達は何の心配もなくのんびり自由にただ泳いでればいいんだもんな」

「喜一殿」

そっと呟いた時誰かに声をかけられたので振り返る。そこには神妙な面持ちの隼人の姿があった。

「なになに、隼人君。そんな強い顔してまた小言? それなら俺聞く気ないよ」

「いえ、そうではありません。貴方にどうしてもお伝えしたい事がありまして、こうして声をかけさせて頂きました」

彼の異様な空気に怒られるのかと思った喜一が慌てて逃げようとする。それに違うと答えると静かな口調でそう言った。

「深刻な問題でも抱えてんの」

「以前貴方は私に神子様の事を好きではないのかと尋ねられましたよね。その言葉の意味をずっと考えておりました。そしてようやくその答えが分かりました」

「……」

何かあったのかと思い彼も真面目な顔で話を聞く態勢になる。次に隼人の口から語られた言葉に無言で彼を見詰めた。

「私も神子様の事を好いております。他の誰にもこの気持ちは負けは致しません。ですからたとえ相手がと……喜一殿、貴方であったとしても惚れた女を渡す気はありません」

「ふ~ん。ようやく気付いたか。お前が無意識に神子さんの事好きになってるって気付いてたからあの時ああ言ったんだが、そっか、やっぱりお前も神子さんのことが好きだったか」

語りきった隼人の言葉に喜一がやっぱりかって顔で頷くと腕を組みにやりと笑う。

「はい。貴方に言われた言葉を考えている間に自分の気持ちに気付きました」

「ははっ。上等だよ。上等! 真面目な堅物だと思ってたけど今のあんた良い顔してるぜ。だけどよ、今の話を聞いて余計に男として神子さんへの気持ちに火がついた。隼人、今日からお前と俺は殿と従者なんかじゃない。一人の女を振り向かせるために蹴落とし合う好敵手だ」

「望むところです。たとえ相手が貴方であったとしても私は負けるつもりはありませんよ」

彼が言った言葉に盛大に笑うと鋭く目を細めて宣言する。それに隼人も不敵に笑い答えた。

「よし、よく言った。そんじゃ、男同士譲れない戦いの開幕だな」

「はい。たとえ貴方であったとしても手加減しません。容赦なしに蹴落とします」

火花を散らし合いお互い不敵に笑い合う。静かに開戦が幕を開けた事を神子達が知ることはなかった。
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