【完結】辺境に飛ばされた子爵令嬢、前世の経営知識で大商会を作ったら王都がひれ伏したし、隣国のハイスペ王子とも結婚できました

いっぺいちゃん

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第70話 刃の影

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議会の緊張が続く王都の夕刻。
マリエールと王子は護衛隊と共に宿舎へ戻る道を歩いていた。
石畳の路地には灯火がともり、冬の冷気が漂っている。

ノラが不安そうに囁いた。
「お嬢様……議会の皆さまの目、まだ鋭かったですね」

マリエールは帳面を抱え、静かに答える。
「ええ。でも、確実に揺らいでいます。
敵は必ず焦りを見せるはず……」

その言葉が終わるか終わらぬかのうちに、夜気を裂く鋭い音がした。

「伏せろ!」
ジークフリートが叫び、剣を抜いた瞬間、闇の中から矢が雨のように降り注いだ。

◇ ◇ ◇

護衛たちが盾を構えて矢を防ぎ、大剣の男が前に立ちはだかる。
次の瞬間、影のような刺客たちが屋根から飛び降り、刃を振り下ろしてきた。

「辺境の娘を仕留めろ!」

王子は即座に剣を抜き、刺客の刃を受け止めた。
火花が散り、鋼の音が夜空に響く。

「……やはり来ましたか」
蒼い瞳が冷たく光る。

◇ ◇ ◇

マリエールは帳面を地面に押さえつけ、必死に声を張った。
「護衛隊、陣を組んで! 敵を川沿いに押し出して!」

彼女の指示に応じ、護衛たちが連携して動く。
ジークフリートが剣を振るい、カティアの矢が影を射抜き、大剣の男が前線を押し広げる。

王子もまた流麗な剣技で刺客を斬り払い、マリエールの前に立ちはだかった。
「王族たるもの、自らの身くらい守れぬようでは務まりません。
ですが……貴女を守れるのなら、それ以上の喜びはありません」

その言葉と共に、刺客の頭目を一閃で打ち倒す。

◇ ◇ ◇

刺客たちは次第に押し返され、やがて夜の闇に散り散りに逃げ去った。
残されたのは倒れた数人の影と、黒い布に刺繍された紋章――議会の重臣の家紋。

◇ ◇ ◇

マリエールは帳面を開き、震える手で書き込んだ。
――「暗殺未遂」
――「証拠:家紋」
――「黒幕=議会重臣」

灰色の瞳が揺るぎない光を帯びる。
「……これで、逃れられません。
必ず――真実を突きつけます」

王子は血に濡れた剣を布で拭いつつ、淡く微笑んだ。
「鈴の花を摘もうと伸ばした手が、今度こそ毒に蝕まれるでしょう」

◇ ◇ ◇

宿舎に戻った一行は、次なる決戦の準備を始めていた。
議会の影はすでに正体を晒しつつあり、最終的な対決の時は刻一刻と近づいていた。
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