【完結】辺境に飛ばされた子爵令嬢、前世の経営知識で大商会を作ったら王都がひれ伏したし、隣国のハイスペ王子とも結婚できました

いっぺいちゃん

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第72話 最後の抵抗

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王都・中央議会。
裁定の場に緊張が張り詰めていた。

壮年の貴族――黒幕は、顔を紅潮させ、汗を滴らせながら吠える。
「黙れ……黙れええっ! 貴様ら、全てが罠だと言っているのだ!」

議員たちが一斉にざわめく。
「証拠が揃っている……」
「もはや言い逃れはできまい……」

追い詰められたその瞬間、黒幕は袖に隠していた短剣を抜き放った。
金属の閃きが、議場の光を弾く。

「貴様らごとこの場で葬り去れば、真実など闇に消える!」

◇ ◇ ◇

ノラが悲鳴を上げた。
「お嬢様!」

だがその刃が振り下ろされるより早く、鋭い剣閃が走った。
王子の剣が黒幕の短剣を弾き飛ばし、床に火花を散らす。

「――ここは裁定の場。刃を振るう時点で、あなたは自ら罪を認めたのです」

蒼の瞳が冷たく光り、王子の声が議場全体に響いた。

◇ ◇ ◇

なおも黒幕は叫び、護衛に命じる。
「何をしている! この場を奪え!」

議会の扉が乱暴に開かれ、数人の私兵がなだれ込んだ。
だがジークフリートが剣を抜いて立ちはだかり、大剣の男が無言で前に進む。
「ここは通さねぇ!」

矢の音が響き、カティアの矢が私兵の腕を正確に射抜いた。

◇ ◇ ◇

議会は修羅場と化した。
だがマリエールは帳面を胸に抱き、毅然と声を張り上げる。
「皆さま、これが真実です!
国を裏切っていたのは辺境ではない――
己の利欲のために議会を操り、国を乱そうとしたこの者です!」

彼女の声は震えながらも力強く、議員たちの心を揺さぶった。

◇ ◇ ◇

やがて私兵たちは護衛隊に押し返され、黒幕は王子の剣に膝をついた。
短剣を奪われ、荒い息を吐きながらもなお叫ぶ。
「なぜだ! 私が守ってきた秩序こそ、この国を保つ力だった!
辺境ごときが栄えるなど、あってはならぬのだ!」

◇ ◇ ◇

マリエールは静かに彼を見下ろした。
灰色の瞳が冷たく揺らめく。
「……それは秩序ではありません。
ただの私利私欲です。
――そして、国を蝕む毒こそ、あなたなのです」

議場が静まり返った。
鈴の花の香りのようなその声は、重く真実を告げていた。

◇ ◇ ◇

議員たちは次々と立ち上がり、声を揃えた。
「もはや明白だ!」
「断罪せよ!」

黒幕はうなだれ、抵抗の力を失った。

◇ ◇ ◇

王子は剣を収め、深く息を吐く。
「これで……終わりです」

マリエールは帳面に最後の一行を書き記した。
――「黒幕=断罪」
――「辺境=潔白」

灰色の瞳が静かに光を帯びる。
「鈴の花は……踏まれてもなお咲き続けるのです」
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