灯り売り

風太

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灯り売り

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「初めて笑ったぞ!」

 この街に来て初めての笑顔。これに彼はびしょ濡れのまま大喜び。少女は未だくすくすと笑いがこらえられないようでした。彼はそのまま大喜びのパッと咲いたような笑顔で少女に話しかけます。

「何が面白かったでしょう!?」

「ふふっ…だって…おじさんが失敗して…慌ててて…おじさんのほんとが出た気がして…そしたらなにか可笑しくなっちゃって…ふふっ…ふふふっ…」

 彼は驚きました。なんと少女は見抜いていたのです。彼の笑顔がつくられていたことに。彼も人々に取り入るために笑顔をつくっていたのではありませんでしたが、自分を見抜かれたようで驚きが隠せません。

 おそるおそる彼は少女に聞きました。

「もしかして…怖かったですか?」

「…ちょっと。でもいまあんまり怖くないよ。ごめんなさいちゃんとショーを見てあげなくて。」

「…なんと優しい人でしょうっ!そんなあなたのためにもう一度ショーをやりたくなりました!ご覧頂けますか?」

 芝居がかった少しわざとらしい口調ではありましたが、しかし彼は今度はほんとうの笑顔でまたパフォーマンスを再開します。
 
 人々が通りすぎていったときとあまり変わらないパフォーマンスでしたが、ほんとうの笑顔で行う彼のパフォーマンスはとても楽しそうなかがやいたパフォーマンスに変わって行くのでした。

 そんなパフォーマンスを見て人々の反応は変わりはじめます。

 大人はまだ彼に冷たい目線を送っていましたが少しずつ、彼のパフォーマンスに子どもたちが集まってきたのです。

 そして時間が経つうちに子どもたちに連れられて大人たちも少しずつ彼のまわりに集まりはじめました。

 彼がパフォーマンスを見せるとその輝きに、子どもたちの眼がきらきらとかがやき、子どもたちは楽しそうにはしゃぎはじめるのです。

 そうすると、連れられてきた大人たちもつられて笑顔になっていきました。


 こうして彼のパフォーマンスによりこの街のこころに小さな灯りが灯されたのです。 
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