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キオン編
それは加護ではなく、 六
しおりを挟むヒメロスの腰が激しく振り立てられた。前に。後ろに。上下に。左右に。回すように。
荒々しい腰使いの振動に、キオンのペニスがぶるんぶるんと大きく揺れる。前立腺を押されてせり上がった少量の精液が、ピッ、ピッと振るい落ちた。
なに、これ。硬く、熱く、中を穿つ逸物の一種暴虐的な動きに、キオンの意識は散っては呼び戻され、また散っては呼び戻された。
脳髄を直接叩き壊すような強すぎる悦楽の波が、キオンの思考力をどろどろに溶かす。背筋を伝い、腰から脳へ行ったり来たりするゾクゾクが止まらない。
あつい。くるしい。きもちいい。辛うじて形を保った三つの言葉が順番にぐるぐると回る。やがてくるしいはなくなり、あついも消え。残ったのは。
「はっ……、キオン君、どうだい? こんなに気持ちいいの、初めてだろう?」
「きもちいい、ああっ、きもち、んぁっ!……はあっ、はあっ、やぁっ、きもちいぃの、またくるぅーっ!」
「そうだろう、そうだろう。俺も気持ちいいよ。……キオン君、わかるだろう? 君のために作られた精液をたっぷりと注ぎたくて、俺のモノがこんなにも荒ぶっている」
「あっ、あぁん! あっ、あっ、あっ」
「ほら。求めてごらん。精液をたっぷりと注がれて、種をつけられたいって。永遠に俺の性奴隷になるって、さ!」
「ああ、あうぅっ! ぁ、あー……っ」
大ぶりな律動を繰り返していたヒメロスが、逸物を根元まで埋めこんでからの小刻みな動きに切り替える。そうするとより一層悦楽の質が深まり、もう何もわからなくなった。
「ちょ、ぅだい……っ、きもちぃの、もっと……! ヒメロスさぁん──っ!」
「……」
「きもちぃの、もっと、ほしぃよぉ……っ!」
「…………キオン君にはまだ早かったかな?」
女のように精液を欲しがる淫猥な言葉が聞きたかったが、次に持ち越すことにする。片手でシーツを、もう片方の手で己のペニスを握りしめ、ほしい、ほしいと啼き叫びながら覚えさせられたばかりの手淫の感覚を追う淫乱な姿でも十分に楽しめた。
お気に入りの無垢な痴態は、思った以上にヒメロスの欲を煽っていた。こんなに熱が入ったのは久しぶりだ。我慢に我慢を重ね、すでにたくさんの先走りに塗れた己の逸物が解放の瞬間を待ち望んでいる。
「さあ、いよいよだ。俺の精液、すべて余さず受け入れるんだよ……っ」
「ひ、ぁ、あ、────~~~~!!!」
最後に大きく引いた腰を、力の限りぶつけた。
今までの中で最も奥深くに先端を喰いこませ、迸る精液を思いのままにぶちまける。
びしゃりと粘膜に叩きつけられ、空洞を満たしていく白濁でも感じるのか。キオンは声なき声を上げて、やがて完全に沈黙した。完全に気を失ったらしい。頬を軽く叩いても、腰を軽く揺さぶっても反応がない。
「まったく、気を失うなと言ったのに」
何度も絶頂に追いやられたキオンとは異なり、ヒメロスが達したのはまだこの一回だけだ。お気に入りを貪れる機会を得た逸物は、当然たった一回で満足するような大人しい代物ではない。
「まあ、今のうちにマーキングを施しておけるからいいがな」
ヒメロスはキオンの下腹部に手をあて、小声で呪文を呟く。ぽうっと小さな魔法陣が肌に浮かび、やがて吸いこまれて消えていった。
「これで君は、俺のモノだ……。どこに隠れようとも、誰と浮気しようとも、絶対に逃がさない……」
マーキング。どんなに離れていても対象者の動向をつぶさに知ることができる、闇の魔術。
弛緩したキオンを抱き上げ、膝の上に座らせた。自重によって性器が彼の体内の奥深くまで呑みこまれていく。
押し出されたのか、細かく泡立った少量の精液が結合部の隙間からつう、とこぼれ落ちた。
片手を背中に回して支えにし、もう片方の手で顎を上向かせる。口づけを落としながらゆさゆさと腰を揺り動かし、笑みを湛えた冒険者ギルドエースの顔は、慈愛の皮を被った狂気に彩られていた。
キオンがヒメロスに連れられて去っていく様子をたまたま目撃した冒険者二人は、うわ、と顔をしかめあった。
「久しぶりに見たな、ヒメロスの悪癖……」
「ああ……。あの新米冒険者もかわいそうに。ありゃ、きっとこの先まともな恋愛なんてできやしないぞ……」
「前に執着されてた子なんて、散々弄ばれたあげく捨てられて、自殺までしたもんな……。あの子もそうならないといいんだが……」
冒険者、見習い、街人問わず憧れと尊敬を抱かれる有名な美丈夫、ヒメロス。
実は愛欲に関する悪評があることを、経歴の長い冒険者だけが知っている。
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