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キオン編
鋭い針には、 七
しおりを挟むまったく、油断ならない。
以前よりのよしみで格安で借りている、客室の中でも最上な部屋。
すでに敷かれていた布団の上、涙と嗚咽をこぼすキオンの姿を椅子に腰かけて見下ろしながら、ヒメロスは次々と溢れて止まない怒りに燃えていた。
ヒメロスがキオンたち冒険者が一泊することになったこの宿の高級部屋に宿泊していたのは偶然だった。ただ、鉱岩蜂の雄が出現したこと、そして、その討伐者の中に可愛がっているキオンも含まれていたことは知っている。労いと称し、この部屋に連れこんでたっぷりと愛を注ぎこむ予定だった。
計画が狂ったのは、初めてのセックスの時に彼の体にこっそりと仕込んだ闇の魔術・マーキングによって、キオンが冒険者や鉱山夫たちと次々セックスをし始めたことに気づいた時だった。
キオンは鉱岩蜂の雄に刺され、毒を抜かないままこの宿の源泉に浸かってしまったらしい。それがどのような効果をもたらすのか、ヒメロスは知っている。
鉱岩蜂の雄の毒は、この街に引かれた湯の成分に反応する。そのままでは無害に等しいのだが、湯を浴び、肌から浸透した成分と結合すると女性向きな状態に変容するのだ。
最も顕著な効果は母乳を作り出すこと。そして、男の性的興奮を煽り、理性を鈍らせ本能を引き出すフェロモンを分泌する。
母乳を吸われながら胎内に精液を注ぎ満たされる。その方法に間違いはない。ないからこそ、余計に苛立ちがおさまらない。
彼の、キオンの体を暴き、ペニスを突き立て、熱くて気持ちいい中を子種で満たしていいのはヒメロスだけである。彼の体が毒に蝕まれたなら、解毒に尽力するのもヒメロスの役目だ。
それなのに。淫らな雰囲気に覆われていた露天風呂で見た光景が脳裏を過ぎる。ヒメロス以外の男たちに股を開き、受け入れ、気持ちよさそうに喘いでいたキオン。中出しされて、胸を吸われて、蕩けた声で礼を言う姿。あの場にいた者全員を皆殺しにしなかった自分を褒めてやりたいくらいに嫉妬と憤怒で気が狂いそうだった。
「ヒ……、ヒメロス、さん……っ! も、むり……ッ」
ヒメロスの意識を現実に引き戻したのは、涙に濡れたキオンの声だった。人好きのする笑みを浮かべ、しかしその目は笑っていないことを自覚したままヒメロスは口を開く。
「ほら、もっと頑張らないと。早くしないと、俺以外の男の精子で赤ちゃんができてしまうよ? そんなの、キオン君も嫌だろう?」
「ひっく……、い、やです……」
母乳を分泌させているとはいえ、鉱岩蜂の毒に赤子を孕ませる効果まではない。だが毒のことを詳しくは知らないらしいキオンは、ヒメロスのからかいをいとも簡単に受け入れ、真実だと思ってしまう。出逢った時から変わらない素直で無垢な部分は愛らしいと思えるのと同時に、他人につけこまれやすいという不安と苛立ちをヒメロスにもたらす。
ヒメロスの眼下でキオンは敷布団に仰向けになり、自ら両膝を立てて大きく左右に開いていた。両手は後孔に伸ばされ、片手の指で孔を大きく拡げ、もう片手の指を中に突っこんでいる。忙しく動く指が掻き出すのは露天風呂で散々注がれた男たちの体液。一体どれほどの量を出されたのか。掻いても掻いても白濁がどろりどろりと垂れていた。
敷布団には大きな水溜りができている。漂う精臭。もうそろそろか、とキオンの下腹部を見て思う。本当に子を孕んだかのごとくぷっくりと小さく膨れていたそこは、元の薄さに戻りつつあった。
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