セーラーキャプチャー

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これぞ『セーラーキャプチャー』‼…か?

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 世界各地…と言うより、日本各地で起こった異世界転移…
 そこで拉致された十二歳から十八歳の少女たちは異世界で起きた世界の歪を解消するために、異世界に点在するダンジョン攻略の任務を、世界の狭間で出会った女神から要請された。その要請に応じる者、危険な事案には関わりたくないと拒絶する者と意見が分かれるも、概ね、ダンジョン攻略に賛同。行動を開始する。

 …後に、その異世界で彼女達は着ていた制服から、こう呼ばれる。
 『セーラーキャプチャー』と…

「この辺だよね?」
 短剣を腰に二本携え、頭にバンダナを巻いた背の低い少女が、地図と周囲の地形を照らし合わせながら、後ろの二人に問う。
「いや、地図を見るのはあんたが一番上手いんだから」
「私たちに聞かれれも、何とも…」
 しかし、後ろの二人…一人は片手に諸刃の剣を持って、肩に担ぐ背の高い少女と、もう一人の異形の杖を持ったメガネの少女が、夢も希望もない言葉を返す。
「あーもー‼平地のマッピングなんて、あたしの権能にはないのに‼」
 持っている地図を破きそうな勢いで、バンダナ少女が天に向かって叫ぶ。
 …御存じの通り、彼女達が『セーラーキャプター』の一パーティである…

 この世界に舞い降りて、まず彼女達は人里に向かった。事前の女神さまからの情報で転移先は小規模の街の近くとなった。街に入る為に必要な手続等は、神託を受けた神殿の厚意で事なきを得たが、肝心の攻略すべきダンジョンの情報が小規模の一地方都市では得られず、数週間の足止めを余儀なくされた。が、ダンジョン攻略ムリ派の活躍により、世界各地にある不思議空間の情報を掴み、各地に派遣される事となった。無論、この三人も派遣されたパーティである。

「お?」
 岩山の一面を拾った棒で突くバンダナ少女が声を挙げる。
「どしたの?」
 剣の少女が、バンダナ少女の肩越しに除くと、
「当たりだ」
 ただの木の棒が岩に突き刺さっているように見える。何度か見た事のある幻術だ。
「あああ…でもダメだ」
 だが、同じ場所にバンダナ少女が手を置いても、見た目の岩肌のままに押し返される。
「『魔法使い』ちゃん、お願い‼」
 バンダナ少女が後方の杖の少女…『魔法使い』に声を掛けると、
「はいはい~‼」
 軽い口調で、バンダナ少女の元に駆け寄る。
「これって、知能を持ってない奴なら、入れるんだけどなぁ…」
 穴があるらしい場所を眺め、剣の少女がぼやく。
「実際。知能って、どの程度なんだろ?」
 幻術の範囲を探る為、バンダナ少女が木の棒で周囲を探る…どうやら、幅三メートル、高さ二メートル程のドーム状の様だ。
「ん~…本部からの情報じゃ、脳のある生物までで、神経反射しかしてない生物は阻まれるとか…」
 バンダナ少女が示した領域より若干、大きい領域を杖でなぞる『魔法使い』。そのラインが光の軌跡となり反対側の地面に到達すると、
「幻よ、消えろ‼」
 杖の先で地面を叩き、一喝。
 三人の目の前の岩肌が、霧の様に剥がされ、闇の空間に変わる…
「ダンジョンに入る前から、コレ?」
 今度はバンダナ少女がぼやきつつ、入口に持っていた木の棒を放り込む…罠は仕掛けられていない様なので、そのまま、先行…
「それより、さっきの魔法の詠唱。もっとカッコ良くならない?」
「効率優先‼」
 後の二人もバンダナ少女に続く…

 現状、『セーラーキャプター』は、三つのダンジョンを攻略していた…と言っても、女神さまに指定されたダンジョンの攻略は一つだけで、残りの二つは世界の歪とは関係のないダンジョンだったのだが、見付かったダンジョンが小規模村落の近くにあった為、周辺住民の安全を考慮し、ダンジョン機能を縮小させるに留める事になった。何しろ、その集落にとっての貴重な収入源であり、祭事等に必要な聖地でもあると言う事情があったから…とは言え、集落に危険が及ぶまでにダンジョンが成長していたのも事実…集落の人々の了承を得ての攻略となった…ちなみに、その攻略を担当したのが。現在、ここにいる三人組である…

 ダンジョンの中は入口から十メートル程は岩肌むき出しの洞窟だったが、奥に進むに連れて、明るさが増し、目が眩むほどの光のカーテンを抜けると、一面の草原になった…これが本来攻略すべきダンジョンの特性であり、彼女達の目の前の草原は世界の歪みが引き寄せたどこか別の異世界の草原である。
「さぁて。探索を始めますか」
 何の気なしな剣を持った少女の一歩。既に、バンダナ少女は前方二メートル程の草原を歩いている。
「草原地帯は罠が少なくて、助かるねぇ」
 『魔法使い』も後に続く…
「その代わり、敵には遭遇するけど」
 と、その場に立ち止まるバンダナ少女。腰の二本の短剣に手を掛ける。
「早速、遭遇戦‼」
 バンダナ少女の脇を抜け、剣の少女が得物を構える。
 彼女達の前には中型犬程の大きさで、額に一本の角を生やした兎の姿…ホーンラビットと呼ばれる個体で、特定ダンジョンのみならず、一般的な草原にも生息している獣類である。ただ、特定ダンジョンに生息している個体は気性が荒く、有無を言わさぬ攻撃性を持っており、この気性は特定ダンジョンに生息する全ての生き物、魔獣、魔物に見られる特性である。しかも、特定ダンジョンのモノは他の生息域に住む同種に比べ、身体が大きく、運動性も高い事から、一般の狩人や兵士では相当危険なモノとなっている。
 その危険生物が、彼女達の前に三匹…敵意剝き出しで、後ろ脚でバンバンと地を蹴っている…対する、少女たちは既に臨戦態勢。剣の少女は正中に剣を構え、バンダナ少女は二本の短剣を逆手に持ちつつ、前に向けている…と、二匹のホーンラビットが奇声を挙げ、額の角で二人を貫かんと突進する。
「甘い」
 先に接敵した剣の少女がそのまま剣を横に薙ぐと、薙いだ線に沿って両断。
「あー‼素材取り扱い‼」
 その少し後方で、バンダナ少女が急所を突いている。
「残りお願い‼」
 と、剣の少女と、バンダナ少女が左右に一歩後退。開いた道には残りのホーンラビットと『魔法使い』が直線に並んでいる。
「ハイハイ~‼」
 明るく答えて、杖をホーンラビットに向ける『魔法使い』。杖に嵌め込まれた宝珠の一つが光り、その先から三個ほどの石礫が現れる。その間に残るホーンラビットが剣の少女の一メートル前まで迫るが、標的は魔法使いのまま、突進。
「えい‼」
 と、『魔法使い』が声を挙げると、バンダナ少女を通過した辺りで、高速の石礫がホーンラビットの頭蓋を突き破って、貫通。その場で転がり、『魔法使い』の前で停止…
「他いないか」
 周辺を警戒しつつ、バンダナ少女は剣を収め。一息…
「いえ~い‼」
 手を挙げる『魔法使い』。剣の少女も手を挙げている。
「仕方ないなぁ…」
 …三人のハイタッチの音が場に響き渡る…

 …この様に、我々はこちらの世界の皆様方では攻略不可能なダンジョンの調査、攻略を得意とした魔獣・魔物駆除のプロフェッショナル集団です。女神さまの加護・権能を授かった我々は、一般冒険者や私設傭兵団、宮廷魔術師を凌駕する能力を有しており、人々を害する魔物・魔獣の駆除が専門ですが、ダンジョン外の害獣駆除も請け負っております。どうか、ダンジョン攻略は『セーラーキャプター』にお任せ‼

「何だ?これは?」
…目の前で披露された映像をご出演頂いた三名にご覧いただいた結果の第一声が『剣士』ちゃんのこの言葉だった…
「あたし、印象悪くな~い?」
 短剣二刀流のバンダナ少女こと『スカウト』ちゃんが上目遣いで文句を垂れる。
「現実に即しておりませんね」
 『魔法使い』ちゃんがメガネを直しつつ、知的な雰囲気で語り出す。

 いや、実際、彼女達のパーティは戦力や魔獣・魔物の討伐率がウチでトップだし、ちょっと間違えたけど、ダンジョンも攻略してたし…
「だからと言って、こんな茶番を我々がやる必要はないでしょう?」
 ごもっともなご意見‼
「まさか、これ、公開してないよね?」
 試写なので、この場に居る私たちと、映像編集に携わった者しか、見ていないはず…
「信用できるメンバー?」
 …そう言われると、自身はないけど…ユー〇ューバー志望だし…
「うわぁ、撮ったら公開するが、ポリシーの連中じゃん」
 それは偏見だよね?
「前の世界で、不細工に撮られたから、警戒してんの‼」
 大丈夫‼さっきのでは、皆、可愛く見えてるから‼
「………」
 いや、黙って俯かないで。外見を褒められて恥ずかしがらないで‼

 …異世界に拉致されたあたし達は、世界の狭間の女神さまに、異世界の特定ダンジョンの攻略を依頼された…未だに、進行状況は芳しくないが、それなりに頑張っている…
 あたし達はチーム『セーラーキャプチャー』。
 …あたしは、皆から『マネージャー』と呼ばれている…
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