セーラーキャプチャー

o2ca

文字の大きさ
33 / 48

腐った『作家』の使い方

しおりを挟む
 王都の方で問題が起きたらしい。と、『第二王子』から手紙が届いた。あまり、考えたくないが、我々『セーラーキャプチャー』の仕業だろう。
 お手紙の内容は符丁を交えて届けている手紙…そこの符丁以外の部分…符丁の方に気を取られてそっちはノーマークだったが、改めて確認すると文章の内容が腐ってました。
「どういうつもりだ?『作家』?」
 書いた人間に問い詰めました。
「いやぁ、普通に書いても面白くないしさぁ」
 面白くする必要はないんだよ‼巡回地域内の店の安売り情報とか、肉の値段が上がったとか、ミーコの子供の成長記録とかで良いんだよ‼もっと言えば、前に送った手紙の間の天気の話で充分なんだよ‼
「それでは、あたしの創作意欲が…」
 …満たさなくて良い…今度からこっちの指定した内容で符丁を組め…
「別にいいけど、続きを希望している貴族のお嬢様及びご婦人への対応は?」
 …こいつ、人気が出る事、分かって書きやがったな…‼…向こうの符丁を解析している方が敵味方問わず貴族のお嬢様だって分かった途端に第二王子の手紙はいつ来るか?って聞いて来たからな…‼…それに書き上げるのが無茶苦茶早い。あらかじめ書き溜めているのか?分かっていると思うが、『第二王子』含む王宮に送る手紙の便箋は指定されているから貴重なんだよ。無駄に出来ない事は分かっているのか?
「そこは下書きがあるから、それに符丁を当て嵌めれば…」
 お前、ウチですいている紙を他で宣伝してないよな⁈お前が下書きで使っている紙だって、この世界ではオーバーテクノロジーの産物なんだからな‼それと紙は使い過ぎるなよ?原材料を運び込むのは『空間収納』で何とかなるが、紙をすく機械の問題があるコトは知っているな⁈音は何とか魔法で防音できるが、それなりに熱を発するんだ‼夏の暑い時に紙すきした時の事を思い出せ‼不意に紙がなくなると、あんな事態になるんだぞ‼
「では、続きを待ち侘びている王宮の女性達は、どうすれば良いのだ⁈」
 我慢してもらえ‼…と言いたいが、それではボイコットが置き兼ねん。止むを得ないから、『第二王子』に本を作れる所を探してもらうから、そこに原稿を送れ。
「さすが『マネージャー』‼話が分かる‼愛してる‼」
 お前の様な腐った『作家』に好かれたくない‼それと『第二王子』から苦情だ‼
「え?何?」
 この街の『代官』様との絡みを止めろ‼
 …こうして、とある町の禁断の情事を描いた小説が王都で大ヒットする…まぁ、禁書になるのも時間の問題だろうな…公的圧力パブリックプレッシャーで…

 我々の象徴とも言える『セーラー服』だが、この世界には未だに存在していない。確か、収音の為に幅の広い襟を付けたと言うのが始まりだったかな…?こっちの世界の海兵さんは未だに普通の詰襟らしい。うん。『第二王子』の護衛さんはそうだった。色的な違いはあるらしいが、見た目としてはその程度。機能性と言うよりは他との区別化が重視されているみたいだ…あ、一応、騎士団も詰襟だけど、それは式典の時だけで常態勤務時は割とファッショナブルらしい…こっちの世界基準だけど…
「ついに現れたか」
 『プレジデント』さんが机に肘を置いて口許を隠す様に手を組む。そう、某国民的アニメの司令官風に重厚な雰囲気を醸している‼声は似せようと頑張っているけど無理があるな…見た目もあるけど、可愛さが際立っている…
「我々の予想より随分と遅かったですな」
 『会計』さんも副指令?っぽいカンジで合わせる…でもダメだ‼あの人らしい飄々とした感じが出ていない‼どうしても有能秘書官臭が強過ぎる‼これなら体内細胞擬人化アニメの制御系と言った方が分かり易い‼
「何、それだけ我々の認知度が高まり善良性が示せただけの事」
「正義の味方…ですか?」
「フッ。そんなモノは時勢によって変わる」
 …あの…いい加減、もう良いですか?エヴァン〇リオンごっこは…
「違う‼ヱヴァン〇リヲンだ‼」
 違いが分かりません。
 実は、最近、他の巡回地域で我々『セーラーキャプチャー』の偽物が出現したらしい。
我々の巡回地域でなら周知の事なのだが、明らかに偽物と分かる特徴があるらしい…いや、服の生地が荒いとか髪の色が派手だとか、そんな事ではなく、一目瞭然な違い‼
 男がセーラー服を着ているって事。しかもミニスカートで。
 まぁ、何の目的でそんな事をしているのか?は、分かっている。単純に、我々の評判を落とす事みたいだ。ただ、やっている事がせこい。露店や商店の商品をタダで持ち去って『セーラーキャプチャー』に付けておけ‼と高笑いで立ち去ったり、他のお客さんと揉めては『セーラーキャプチャー』に敵うと思ってんのか‼と凄んだり、店員の態度が気に入らないと喚いて店内を破壊し『セーラーキャプチャー』に逆らうと、こういう目に合うんだ‼と大威張りしたり…
「まだ、目立った行動をしているだけマシだな」
 そう。『怪盗セーラーキャプチャー参上』なんてメッセージカード置いて宝飾品を盗んだり、『セーラーキャプチャー』を名乗って強盗に押し入ったりしないだけ、まだマシだ。いや、それも時間の問題かな?
「冒険者ギルドの方でも手を回してくれている様だが、後手に回っているみたいだな」
 それに向こうもワザとこちらの巡回地域で問題を起していない。問題を起しているのは街の中心部を中心にした百八十度反対側のエリアで、完全にあたし達の行動範囲の外。『忍者』さんが情報収集の為に変装して行く様なエリアだ。
「で、我々は変態狩りをしなくて良いのか?」
 『ギルドマスター』に止められているし、出向いたら問題になる。
「確かにぁ…」
「騎士団には頼んでいるのか?」
 無理ですよ。あいつら偽物の親玉からたんまり貰ってますから。
「うわ~。既に買収済みかぁ」
 こうなると我々の清廉潔白振りが仇になりますねぇ。
「誰だよ‼貴族や騎士団に賄賂贈るのは止めようって言ったのは⁈」
 『プレジデント』さん、あなたです。そんな金あるなら、皆で美味しいモノでも食べたいとか言いましたよね?
「そ、そうだったか?覚えてないが?」
 まぁ、皆、外食は基本してないし、拠点のご飯は美味しいですけど。
「じゃあ、美味しいご飯を食べられる環境を整備しようとは思わないか?」
 …何か、悪巧みしてます…?
「要は、我々でなければ良いのだろ?」
 あ、ああ。そうですね。でも、人員はどうします?
「そこをやり繰りするのが『マネージャー』の仕事じゃないか」
 …ったく、しわ寄せはいつも中間管理職に来るんですよねぇ…

 …そして、数日後…
「おらあああ‼俺達は『セーラーキャプチャー』だぞおお!‼」
「この辺りを巡回してやってんだぁ‼金払え、金ぇ‼」
 …見た目、反社なミニスカセーラー服の三人組が露店商を脅している…街中だと言うのに、武器を抜き身で振り回している…それだけでも普通に取り締まりの対象だが、近くの騎士団は見て見ぬ振り…大店から賄賂を受け取るのに忙しい様だ。
「おい‼そこの娘共‼見ねぇ顔だなぁ⁈」
 威勢の良いチンピラがこっちに来てくれた。
「ん?誰の許可を得て商売してんだぁ?」
 え?商売なんてしていませんよ?
「何言ってんだよ?身体売ってんだろ?」
 いえいえ。この辺りは花街の外ですから…
「可愛がってやるって意味だろ?分かんだろ?」
 …ん~…どうする?
「え?やだ」
「あたしも」
 と言う訳で、さよなら。
「待てよ。ただで返せると思っているのか?」
 え?剣なんて向けて、どうすんの?
「金を置いてけよ‼商売できねぇぞ‼」
 何で、あたし達が商売女に見えるかなぁ?
「そんだけの上玉が揃ってんだ‼今度、店でも出すんだろ?」
「その宣伝も兼ねての顔見せか‼」
 …あ~…そういう事かぁ…
 あ~、あ~、ゲスい笑い方をして、そんな格好して、恥ずかしくないのかね?
「ねぇ。そろそろ」
「頃合いですね」
 ん。良いカンジに人が集まったか。
「で、金と身体、どっちを払う?」
 剣を持った偽物が、あたしの頬に剣を当てる。正直、威圧にもならん。なので、あたしはとびっきりの笑顔で答える。もちろん、カワイイ方でなく悪い方で。
「…どっちも払わねぇよ…」
「‼このぉ…」
 ああ、こいつ、脅し専門で殺しの経験はないのか。一旦、あたしの頬に当てていた剣を放しやがったからな。他の二人…『スカウト』ちゃんと『モンク』ちゃんは残りの二人を制圧しに動いているな。さて、あたしは…
「‼」
 いってぇ…さすがは男の馬鹿力だ。それなりの膂力はあったみたいだけど、あたしの身体を切り裂ける程ではなかったか…あ、剣が折れてる…ヤバ‼どっちに飛んだ⁈
「ヒ‼」
 男が悲鳴を上げるな‼その姿と相まってキショい‼それより、折れた剣先…そこか‼
「キャ‼」
 ナイス悲鳴‼お嬢さんの串刺しなんて見たくないからね‼コワい思いさせてごめんね‼
 剣先は、あいつの足の間に落とすから‼
「うわぁ‼」
 ヨシ‼上手く刺さった。残りの二人の無効化は…終わっているか…では、
「キャアアアアア‼変質者あぁあ‼」
 さすが『スカウト』ちゃん。声真似ナイス‼紛れるぞ‼
「筋書き通りに行きましたね?『作家』さん」
 少し離れた所で、『モンク』ちゃんが声を掛ける。あそこには、あたし達が巡回している地域の商人が仕入れをしている店があるからな。あたし達が女の子の集団だって、すぐに広まるだろう。『スカウト』ちゃんもご苦労さん。二人共、町娘の恰好似合ってるよ‼
 あ、『マネージャー』に抜けた二人の依頼受けてくれた礼をしないとな…
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

目の前で始まった断罪イベントが理不尽すぎたので口出ししたら巻き込まれた結果、何故か王子から求婚されました

歌龍吟伶
恋愛
私、ティーリャ。王都学校の二年生。 卒業生を送る会が終わった瞬間に先輩が婚約破棄の断罪イベントを始めた。 理不尽すぎてイライラしたから口を挟んだら、お前も同罪だ!って謎のトバッチリ…マジないわー。 …と思ったら何故か王子様に気に入られちゃってプロポーズされたお話。 全二話で完結します、予約投稿済み

裁判を無効にせよ! 被告は平民ではなく公爵令嬢である!

サイコちゃん
恋愛
十二歳の少女が男を殴って犯した……その裁判が、平民用の裁判所で始まった。被告はハリオット伯爵家の女中クララ。幼い彼女は、自分がハリオット伯爵に陥れられたことを知らない。裁判は被告に証言が許されないまま進み、クララは絞首刑を言い渡される。彼女が恐怖のあまり泣き出したその時、裁判所に美しき紳士と美少年が飛び込んできた。 「裁判を無効にせよ! 被告クララは八年前に失踪した私の娘だ! 真の名前はクラリッサ・エーメナー・ユクル! クラリッサは紛れもないユクル公爵家の嫡女であり、王家の血を引く者である! 被告は平民ではなく公爵令嬢である!」 飛び込んできたのは、クラリッサの父であるユクル公爵と婚約者である第二王子サイラスであった。王家と公爵家を敵に回したハリオット伯爵家は、やがて破滅へ向かう―― ※作中の裁判・法律・刑罰などは、歴史を参考にした架空のもの及び完全に架空のものです。

二十年仕えた王女が私を敵に売った。それでも守ることにした

セッシー
ファンタジー
二十年間、王女殿下の護衛騎士として仕えた。その殿下が、私を敵に売った。 牢の中で事実を知り、一分考えて——逃げることにした。殿下の目的を、まだ果たしていないから。 裏切りの真相を確かめるため、一人王都へ戻る護衛騎士の話。

今更……助けてくれと……言われても……

#Daki-Makura
ファンタジー
出奔した息子から手紙が届いた…… 今更……助けてくれと……言われても……

まさか私が王族の一員であることを知らずに、侮辱していた訳ではありませんよね?

木山楽斗
恋愛
王城の使用人であるメルフィナには、ある秘密があった。 彼女は国王の隠し子なのである。 その事実は、半ば公然の秘密となっていた。公にされたことは一度もないが、嗅覚に優れた者達はそれを察知していたのだ。 しかし中には、そうではない者達もいた。 その者達は、メルフィナを一介の使用人として考えて、彼らなりの扱い方をした。 それは許されるものではなかった。知らぬうちに王家に牙を向けた者達は、その行為の報いを受けることになったのだ。

冤罪で辺境に幽閉された第4王子

satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。 「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。 辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。

【完結】前提が間違っています

蛇姫
恋愛
【転生悪役令嬢】は乙女ゲームをしたことがなかった 【転生ヒロイン】は乙女ゲームと同じ世界だと思っていた 【転生辺境伯爵令嬢】は乙女ゲームを熟知していた 彼女たちそれぞれの視点で紡ぐ物語 ※不定期更新です。長編になりそうな予感しかしないので念の為に変更いたしました。【完結】と明記されない限り気が付けば増えています。尚、話の内容が気に入らないと何度でも書き直す悪癖がございます。 ご注意ください 読んでくださって誠に有難うございます。

毒舌アイドルは毒の魔物に転生する。

馳 影輝
ファンタジー
毒舌を売りにして芸能界で活躍できる様になった。 元々はアイドルとしてデビューしたが、ヒラヒラの衣装や可愛い仕草も得意じゃ無かった。 バラエティーの仕事を貰って、毒舌でキャラを作ったらこれがハマり役で世間からのウケも良くとんとん拍子で有名人になれた。 だが、自宅に帰ると玄関に見知らぬ男性が立っていて私に近づくと静かにナイフで私を刺した。 アイドル時代のファンかも知れない。 突然の事で、怖くて動けない私は何度も刺されて意識を失った。 主人公の時田香澄は殺されてしまう。 気がつくとダンジョンの最下層にポイズンキラーとい魔物に転生する。 自分の現象を知りショックを受けるが、その部屋の主であるリトラの助言により地上を目指す。 ダンジョンの中で進化を繰り返して強くなり、人間の冒険者達が襲われている所に出くわす。 魔物でありながら、擬態を使って人間としても生きる姿や魔王種への進化を試みたり、数え切れないほどの激動の魔物人生が始まる。

処理中です...