11 / 11
後日談2
しおりを挟む
「いらっしゃい!」
小原田さんは元気よく、ほわほわした笑顔で迎えてくれた。
「こんばんは、小原田さん。お邪魔します。これ、食後のデザートにでも。」
「わー!美味しそう!ありがとうございます!」
今回は小さめのフルーツゼリーにしてみた。ドーナツ型で、蜜柑やキュウイ、パイナップルが入っている。また、エディブルフラワーが鮮やかで美しい。可愛くて、思わず買ってしまった。リビングに行くと、ある程度準備は終わっていた。
「じゃ、配膳しちゃうから待っててね!」
その言葉よりしばらくして、ぱたぱたと可愛い足音をたてて小原田さんはビーフシチューと共にやってきた。
「ありがとう。リビング模様替えしたのね…わ、美味しそう!」
「でしょ!美味しそうでしょ!リビングは、胡桃さん、こういうの好きかなって。」
そう、昨日とは打って変わって、私好みのカントリー風の可愛い部屋へと大変身を遂げていたのだ。まさか昨日今日でここまで変わるとは…驚きだ。て、あれ。スルーしたけど!
「小原田さん!今!」
「僕達、恋人でしょ…?会社はともかく、プライベートは名前呼びたくて…」
顔が見えないけど、耳が赤くなっている。それを見た瞬間、猛烈にむず痒い気持ちが湧き上がってきて、私まで赤くなってしまう。
「そ、そうよね…ええ、恋人だもの…」
もじもじ、ゆらゆら。なんとも言えない沈黙がおりた。先に耐えられなくなったのは、小原田さんだ。
「え、えーと!とりあえずビーフシチュー食べましょう!!」
「そうね!!冷めちゃうもの!」
そうして、2人でいただきますをしてビーフシチューを一口。瞬間…口の中がパラダイスになった。
「お、おいしっ…!?!?」
「すごい…すごいおいしい…」
甘く煮とけた野菜、柔らかでジューシーなお肉…そして、その全てが溶け出たルー。美味しすぎた。
「はー!ご馳走様でした!」
「美味しかったですね!」
ビーフシチューをたらふく食べて、食後はお茶とフルーツゼリーを食べた。
ちらり、と隣に座った小原田さんを見てみる。どう見ても挙動不審である。すると、ふいに目を上げた小原田さんと目が合った。
「胡桃さん!!お誕生日おめでとうございます!!」
ばっと、どこからともなく出てきたプレゼントの箱を差し出された。開けてみると、中には可愛いネックレスが入っていた。淡いピンクのダイヤの桃の花がついたネックレス。
「えーと、本当は全部自力でやりたかったんですが、胡桃さんと料理したくて!エプロン姿がどうしても見たくて!もしかしたら、こんなチャンス二度と来ないかもとか思ったら…」
「そうだったんですか。え、もしかして、この部屋は…!」
ぐるりと見渡す。どこもかしこも可愛い。手がこんでいて、一朝一夕に出来るものでは無いとわかるものばかりだ。
「はい。胡桃さんの誕生日なので、好きな物でいっぱいにしたくて…」
どうしよう。嬉しい。こんな事されたの、初めて…嬉しくて涙が後から後から出てくる。小原田さんの優しさが、愛情が染み渡るように感じられた。
「ごめんなさい、すごく嬉しくて…幸斗さん、ありがとうございます。大好きです。」
「僕もです。僕も胡桃さんが大好きです。」
そっと引き寄せられ、抱きしめられた。その背に手を回す。そこにはもう、迷いはない。こうして、人生最高の誕生日は甘く閉じた。
小原田さんは元気よく、ほわほわした笑顔で迎えてくれた。
「こんばんは、小原田さん。お邪魔します。これ、食後のデザートにでも。」
「わー!美味しそう!ありがとうございます!」
今回は小さめのフルーツゼリーにしてみた。ドーナツ型で、蜜柑やキュウイ、パイナップルが入っている。また、エディブルフラワーが鮮やかで美しい。可愛くて、思わず買ってしまった。リビングに行くと、ある程度準備は終わっていた。
「じゃ、配膳しちゃうから待っててね!」
その言葉よりしばらくして、ぱたぱたと可愛い足音をたてて小原田さんはビーフシチューと共にやってきた。
「ありがとう。リビング模様替えしたのね…わ、美味しそう!」
「でしょ!美味しそうでしょ!リビングは、胡桃さん、こういうの好きかなって。」
そう、昨日とは打って変わって、私好みのカントリー風の可愛い部屋へと大変身を遂げていたのだ。まさか昨日今日でここまで変わるとは…驚きだ。て、あれ。スルーしたけど!
「小原田さん!今!」
「僕達、恋人でしょ…?会社はともかく、プライベートは名前呼びたくて…」
顔が見えないけど、耳が赤くなっている。それを見た瞬間、猛烈にむず痒い気持ちが湧き上がってきて、私まで赤くなってしまう。
「そ、そうよね…ええ、恋人だもの…」
もじもじ、ゆらゆら。なんとも言えない沈黙がおりた。先に耐えられなくなったのは、小原田さんだ。
「え、えーと!とりあえずビーフシチュー食べましょう!!」
「そうね!!冷めちゃうもの!」
そうして、2人でいただきますをしてビーフシチューを一口。瞬間…口の中がパラダイスになった。
「お、おいしっ…!?!?」
「すごい…すごいおいしい…」
甘く煮とけた野菜、柔らかでジューシーなお肉…そして、その全てが溶け出たルー。美味しすぎた。
「はー!ご馳走様でした!」
「美味しかったですね!」
ビーフシチューをたらふく食べて、食後はお茶とフルーツゼリーを食べた。
ちらり、と隣に座った小原田さんを見てみる。どう見ても挙動不審である。すると、ふいに目を上げた小原田さんと目が合った。
「胡桃さん!!お誕生日おめでとうございます!!」
ばっと、どこからともなく出てきたプレゼントの箱を差し出された。開けてみると、中には可愛いネックレスが入っていた。淡いピンクのダイヤの桃の花がついたネックレス。
「えーと、本当は全部自力でやりたかったんですが、胡桃さんと料理したくて!エプロン姿がどうしても見たくて!もしかしたら、こんなチャンス二度と来ないかもとか思ったら…」
「そうだったんですか。え、もしかして、この部屋は…!」
ぐるりと見渡す。どこもかしこも可愛い。手がこんでいて、一朝一夕に出来るものでは無いとわかるものばかりだ。
「はい。胡桃さんの誕生日なので、好きな物でいっぱいにしたくて…」
どうしよう。嬉しい。こんな事されたの、初めて…嬉しくて涙が後から後から出てくる。小原田さんの優しさが、愛情が染み渡るように感じられた。
「ごめんなさい、すごく嬉しくて…幸斗さん、ありがとうございます。大好きです。」
「僕もです。僕も胡桃さんが大好きです。」
そっと引き寄せられ、抱きしめられた。その背に手を回す。そこにはもう、迷いはない。こうして、人生最高の誕生日は甘く閉じた。
0
この作品の感想を投稿する
あなたにおすすめの小説
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
娼館で元夫と再会しました
無味無臭(不定期更新)
恋愛
公爵家に嫁いですぐ、寡黙な夫と厳格な義父母との関係に悩みホームシックにもなった私は、ついに耐えきれず離縁状を机に置いて嫁ぎ先から逃げ出した。
しかし実家に帰っても、そこに私の居場所はない。
連れ戻されてしまうと危惧した私は、自らの体を売って生計を立てることにした。
「シーク様…」
どうして貴方がここに?
元夫と娼館で再会してしまうなんて、なんという不運なの!
冷徹公爵の誤解された花嫁
柴田はつみ
恋愛
片思いしていた冷徹公爵から求婚された令嬢。幸せの絶頂にあった彼女を打ち砕いたのは、舞踏会で耳にした「地味女…」という言葉だった。望まれぬ花嫁としての結婚に、彼女は一年だけ妻を務めた後、離縁する決意を固める。
冷たくも美しい公爵。誤解とすれ違いを繰り返す日々の中、令嬢は揺れる心を抑え込もうとするが――。
一年後、彼女が選ぶのは別れか、それとも永遠の契約か。
極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です
朝陽七彩
恋愛
私は。
「夕鶴、こっちにおいで」
現役の高校生だけど。
「ずっと夕鶴とこうしていたい」
担任の先生と。
「夕鶴を誰にも渡したくない」
付き合っています。
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
神城夕鶴(かみしろ ゆづる)
軽音楽部の絶対的エース
飛鷹隼理(ひだか しゅんり)
アイドル的存在の超イケメン先生
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
彼の名前は飛鷹隼理くん。
隼理くんは。
「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」
そう言って……。
「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」
そして隼理くんは……。
……‼
しゅっ……隼理くん……っ。
そんなことをされたら……。
隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。
……だけど……。
え……。
誰……?
誰なの……?
その人はいったい誰なの、隼理くん。
ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。
その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。
でも。
でも訊けない。
隼理くんに直接訊くことなんて。
私にはできない。
私は。
私は、これから先、一体どうすればいいの……?
バッドエンド予定の悪役令嬢が溺愛ルートを選んでみたら、お兄様に愛されすぎて脇役から主役になりました
美咲アリス
恋愛
目が覚めたら公爵令嬢だった!?貴族に生まれ変わったのはいいけれど、美形兄に殺されるバッドエンドの悪役令嬢なんて絶対困る!!死にたくないなら冷酷非道な兄のヴィクトルと仲良くしなきゃいけないのにヴィクトルは氷のように冷たい男で⋯⋯。「どうしたらいいの?」果たして私の運命は?
【完結】退職を伝えたら、無愛想な上司に囲われました〜逃げられると思ったのが間違いでした〜
来栖れいな
恋愛
逃げたかったのは、
疲れきった日々と、叶うはずのない憧れ――のはずだった。
無愛想で冷静な上司・東條崇雅。
その背中に、ただ静かに憧れを抱きながら、
仕事の重圧と、自分の想いの行き場に限界を感じて、私は退職を申し出た。
けれど――
そこから、彼の態度は変わり始めた。
苦手な仕事から外され、
負担を減らされ、
静かに、けれど確実に囲い込まれていく私。
「辞めるのは認めない」
そんな言葉すらないのに、
無言の圧力と、不器用な優しさが、私を縛りつけていく。
これは愛?
それともただの執着?
じれじれと、甘く、不器用に。
二人の距離は、静かに、でも確かに近づいていく――。
無愛想な上司に、心ごと囲い込まれる、じれじれ溺愛・執着オフィスラブ。
※この物語はフィクションです。
登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。
今夜は帰さない~憧れの騎士団長と濃厚な一夜を
澤谷弥(さわたに わたる)
恋愛
ラウニは騎士団で働く事務官である。
そんな彼女が仕事で第五騎士団団長であるオリベルの執務室を訪ねると、彼の姿はなかった。
だが隣の部屋からは、彼が苦しそうに呻いている声が聞こえてきた。
そんな彼を助けようと隣室へと続く扉を開けたラウニが目にしたのは――。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる