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7話・見つかったキス
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次の日、より親密になったアシュリーとエイプリルはほぼ一日中を一緒に過ごした。
朝のうちにジャンの元にフェアリーたちからの情報があるか尋ねに行き、それ以外はほとんどエイプリルの部屋で話をしたり、昨日書庫で借りた本を読んだりしていた。
ふたりはくちびるを重ねあう感触にのめり込み、目が合えばくちづけた。
エイプリルは体の調子も良いようで、顔色に赤みが差していたのでより美しく見えた。
昼食も部屋ではなく皆とダイニングで取ると言い、グレンと入れ替わりに王都に戻っていた父以外の家族そろっての食事は、たいそうランディス夫人を喜ばせた。
昼食の後、グレンから贈られたというエイプリルの温室を見せてもらうことになった。東屋のような小さな温室だが、可愛らしい花々が所狭しと植えてある。
「素敵だわ」
そう言うと、エイプリルは嬉しそうにしている。
エイプリルは少し疲れたように見えたが、部屋には戻りたがらないので温室のすぐ隣の日陰にあるベンチに2人ならんで座った。足元には芝生が広がっており、ここに直接座っても気持ちよさそうな場所だ。
ふと触れた手をエイプリルがそっと握ってくれたその時、アシュリーはまた体の中に火の魔法が灯ったように感じた。
エイプリルの目を見る。そのまま引き寄せられるようにくちづけた。
ちゅっ、ちゅっ
(ああ、気持ちいい……)
触れ合うくちびると握られた手だけに感覚が集中している。
空いた手をそっとエイプリルの太ももにのせてみたが、何かが違う。エルナンとのベッドでのキスを思い出す。あごに手を添えられた時に感じた官能……。
そっと真似してエイプリルの頬をなでるようにしたあと、あごに手を伸ばしてみる。
(あ……これもいいわ)
布越しでない直接の接触こそがアシュリーに快感を与えてくれると気づいた。フェアリーにはない実体の感触……。
(これなのね)
服なんて邪魔でしかないわ、アシュリーはそんなことを考えている。もっと快感が欲しい……。
エルナンとのベッドでのキスをまた思い出し、くちびるを食むように動かしてみる。
「ん……」
エイプリルが身をよじりながらも気持ちよさそうにし、アシュリーの快感も高まって夢中になっていた。その時——。
ドサドサッ……!!
大きな物音がしたので飛び上がりそうになって振り向くと、ディーンが尻もちをつき仰天してこちらを見ており、彼が抱えていたらしい書類ファイルが足元に散乱している。
「ディーン……!!」
アシュリーも驚いたが、エイプリルはそれ以上に驚き、真っ赤な顔で立ち上がると逃げ出してしまった。アシュリーは追いかけようかと思ったが、転んでいるディーンのことも放っておけず、ふたたびディーンの方を見た。
「君たちは一体何を……」
動揺しているディーンを助け起こそうと近づくアシュリー。だが、呆然としているディーンは腕を引かれても力が入らず、逆にアシュリーがディーンの上に倒れ込んでしまった。
「あっ……!」
ディーンはハッとして立ち上がろうとしたが、アシュリーはここで離してはいけない気がしてディーンの胸にしがみついた。
「やだ!!」
「な、何を……」
「お願い、逃げないで!……ディーン……寂しかったよ……。どうしてあたしのこと忘れちゃったの……。忘れないでいてくれたら……」
(こんなことにはならなかったのに……)
ついディーンのせいにしてしまうアシュリー。こんなのは言いがかりだとわかっているけれど、つい自分のことがかわいそうに感じて泣き出してしまう。
ディーンは泣いているアシュリーを突き放せず、転んだままの体勢で動けない。諦めて大の字になると、ぽつりぽつりと口を開き始めた。
「忘れたわけじゃない……」
「え……?」
「夢か、エルナンとふたりで想像した話を現実と思い込んでただけ……かと思っていた。花園でフェアリーと遊ぶ夢だ……。美しい少女だった。僕が花園で見つけたんだ。薔薇の茂みの中で……。目があった時、ひと目で恋してしまった。」
ディーンも話しながら虚ろな目で記憶を探っているようだった。
「……そうか、あのフェアリーが君だったんだな……」
そう言うと、ディーンは視線を下ろし、まっすぐにアシュリーの目を見た。
「ディーン……!!嬉しいよ」
アシュリーの目から、また涙があふれだす。
ううっ、ううっと泣きじゃくるアシュリーをなぐさめようと、おずおずと頭を撫でてくれる。少し落ち着いてくると、頭を撫でてくれる手がとても気持ちよくなってきた。
少し身を起こすとディーンと目が合った。
「ディーン……。私ディーンに触れたい……くちびるをつけたい……」
アシュリーは返事も待たず、驚いているディーンにのしかかるようにして、そのくちびるに自分のくちびるを押し当てた。
ディーンはしばらく固まったまま動かなかったが、そっと目を閉じアシュリーのキスを受け止めた。頬に当てられていたアシュリーの手をそっと取り、握りしめると横倒しになった。アシュリーは手のひらから快感が走るのを感じた。夢中でディーンのくちびるを食む。
「ん……んっ……」
(あたし…ディーンに会いに来てよかった……。もし戻れなかったとしても……)
朝のうちにジャンの元にフェアリーたちからの情報があるか尋ねに行き、それ以外はほとんどエイプリルの部屋で話をしたり、昨日書庫で借りた本を読んだりしていた。
ふたりはくちびるを重ねあう感触にのめり込み、目が合えばくちづけた。
エイプリルは体の調子も良いようで、顔色に赤みが差していたのでより美しく見えた。
昼食も部屋ではなく皆とダイニングで取ると言い、グレンと入れ替わりに王都に戻っていた父以外の家族そろっての食事は、たいそうランディス夫人を喜ばせた。
昼食の後、グレンから贈られたというエイプリルの温室を見せてもらうことになった。東屋のような小さな温室だが、可愛らしい花々が所狭しと植えてある。
「素敵だわ」
そう言うと、エイプリルは嬉しそうにしている。
エイプリルは少し疲れたように見えたが、部屋には戻りたがらないので温室のすぐ隣の日陰にあるベンチに2人ならんで座った。足元には芝生が広がっており、ここに直接座っても気持ちよさそうな場所だ。
ふと触れた手をエイプリルがそっと握ってくれたその時、アシュリーはまた体の中に火の魔法が灯ったように感じた。
エイプリルの目を見る。そのまま引き寄せられるようにくちづけた。
ちゅっ、ちゅっ
(ああ、気持ちいい……)
触れ合うくちびると握られた手だけに感覚が集中している。
空いた手をそっとエイプリルの太ももにのせてみたが、何かが違う。エルナンとのベッドでのキスを思い出す。あごに手を添えられた時に感じた官能……。
そっと真似してエイプリルの頬をなでるようにしたあと、あごに手を伸ばしてみる。
(あ……これもいいわ)
布越しでない直接の接触こそがアシュリーに快感を与えてくれると気づいた。フェアリーにはない実体の感触……。
(これなのね)
服なんて邪魔でしかないわ、アシュリーはそんなことを考えている。もっと快感が欲しい……。
エルナンとのベッドでのキスをまた思い出し、くちびるを食むように動かしてみる。
「ん……」
エイプリルが身をよじりながらも気持ちよさそうにし、アシュリーの快感も高まって夢中になっていた。その時——。
ドサドサッ……!!
大きな物音がしたので飛び上がりそうになって振り向くと、ディーンが尻もちをつき仰天してこちらを見ており、彼が抱えていたらしい書類ファイルが足元に散乱している。
「ディーン……!!」
アシュリーも驚いたが、エイプリルはそれ以上に驚き、真っ赤な顔で立ち上がると逃げ出してしまった。アシュリーは追いかけようかと思ったが、転んでいるディーンのことも放っておけず、ふたたびディーンの方を見た。
「君たちは一体何を……」
動揺しているディーンを助け起こそうと近づくアシュリー。だが、呆然としているディーンは腕を引かれても力が入らず、逆にアシュリーがディーンの上に倒れ込んでしまった。
「あっ……!」
ディーンはハッとして立ち上がろうとしたが、アシュリーはここで離してはいけない気がしてディーンの胸にしがみついた。
「やだ!!」
「な、何を……」
「お願い、逃げないで!……ディーン……寂しかったよ……。どうしてあたしのこと忘れちゃったの……。忘れないでいてくれたら……」
(こんなことにはならなかったのに……)
ついディーンのせいにしてしまうアシュリー。こんなのは言いがかりだとわかっているけれど、つい自分のことがかわいそうに感じて泣き出してしまう。
ディーンは泣いているアシュリーを突き放せず、転んだままの体勢で動けない。諦めて大の字になると、ぽつりぽつりと口を開き始めた。
「忘れたわけじゃない……」
「え……?」
「夢か、エルナンとふたりで想像した話を現実と思い込んでただけ……かと思っていた。花園でフェアリーと遊ぶ夢だ……。美しい少女だった。僕が花園で見つけたんだ。薔薇の茂みの中で……。目があった時、ひと目で恋してしまった。」
ディーンも話しながら虚ろな目で記憶を探っているようだった。
「……そうか、あのフェアリーが君だったんだな……」
そう言うと、ディーンは視線を下ろし、まっすぐにアシュリーの目を見た。
「ディーン……!!嬉しいよ」
アシュリーの目から、また涙があふれだす。
ううっ、ううっと泣きじゃくるアシュリーをなぐさめようと、おずおずと頭を撫でてくれる。少し落ち着いてくると、頭を撫でてくれる手がとても気持ちよくなってきた。
少し身を起こすとディーンと目が合った。
「ディーン……。私ディーンに触れたい……くちびるをつけたい……」
アシュリーは返事も待たず、驚いているディーンにのしかかるようにして、そのくちびるに自分のくちびるを押し当てた。
ディーンはしばらく固まったまま動かなかったが、そっと目を閉じアシュリーのキスを受け止めた。頬に当てられていたアシュリーの手をそっと取り、握りしめると横倒しになった。アシュリーは手のひらから快感が走るのを感じた。夢中でディーンのくちびるを食む。
「ん……んっ……」
(あたし…ディーンに会いに来てよかった……。もし戻れなかったとしても……)
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