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〈悪役王子〉と〈ヒロイン〉花街編
【29】七日目――悪役王子様と、全部 −1− ★
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月下の一角獣のように美しい、銀色の髪。晴れた空の色の瞳。陽の光のような優しい眼差し。とろけるような甘い笑顔。「アリシア」と呼ぶ、声。
今宵の彼女のお客様は――
「……――フィリップ様」
「ああ。アリシア」
彼女の最愛のひと。幼き頃よりの婚約者。このミラフーユ王国の王太子――フィリップだった。前のようなお忍びルックではなく、今夜は王子らしさを隠さぬ豪華な姿で、彼は青楼ファリィサを訪れた。
(ああ、そうなのね。貴方様は、この国の未来の王であるだけでなく、きっと)
彼が纏っている衣装は、見慣れた形と見慣れない色をしていた。祝祭の日の王子の礼服のように華やかな装飾をなされていながら、その色はしっとりと暗い。それは喪に服すときのような色合いでありながら、質感はそれよりもっと艶めいていて美しい。
他に見覚えのあるもので例えるならば、彼は、王子様らしくも魔王様らしくもある衣装を纏っていた。
アリシアの薄紅の髪を指に絡ませながら、彼は彼の声で彼女に囁く。
「今夜の役は、僕――〝悪役王子フィリップ〟だ。騎士、魔法士、富豪、魔王とは違って、ヒロインの婚約者であっても攻略対象ではない男」
「悪、役」
「異世界のオトメゲームの中では、たったひとつのエンディングでしか生き残れない、悲しい悪役。婚約者への想いを拗らせ、彼女への重すぎる愛に心を病み、他の男の影をちらつかせた彼女を時に殺す。――ねえ、アリシア。僕はね」
彼女の髪から細首へと指を滑らせた彼は、震えた手付きで、アリシアの喉元に触れた。怯えているようだった。
「きみを殺さないように、すっごく頑張ったんだよ……」
「っ、フィリップ、さま」
首を絞めてもいない、絞められてもいない、それなのに苦しそうな息をする彼を見て。堪らずアリシアは彼に触れ返す。彼を抱き返す。
アリシア・テリフィルアの胸に響く鼓動を、肌のやわらかさと熱を、彼女の無事を、生を、フィリップに感じてほしかった。
彼はアリシアの首元に顔を寄せ、すんと小さく息を吸う。彼女の匂いを嗅いで言う。
「いっぱい頑張った僕に、ご褒美ちょうだい?」
「ええ、もちろんです。フィリップ様……貴方様は、殿下は、何をお望みですか」
「きみのすべてを。きみとすべてを」
「…………御心のままに」
熱と切なさのこもったフィリップの声に、アリシアの何かの箍が外れた。すべてを彼に捧げたいと心の底から願った。今ここで処女をも差し出せと、心の中の悪魔が囁く。
(ああ、この夜を越えたなら、もう堕ちてしまっても構わないわ。だって、彼も――)
――ふたりの夜が始まった。
ベッドの上でキスを交わしながら、フィリップはアリシアのナイトドレスを器用に脱がしていく。
彼を最初に迎えた晩のように、シュルリ、シュルリと衣を剥がれ、一糸まとわぬ姿にさせられ。
「ん……っ」
フィリップの温かな手は、アリシアの双丘をふにふにと揉みはじめた。
「今日も可愛いよ」
と彼は彼女の膨らみに口づけ、ちゅうっと肌を吸う。いくつものキスの痕を咲かせていく。
「にゃっ、にゃ」
「本当に可愛い……」
「はぅん」
右の先端を咥えられ、アリシアの身体はぴくんと跳ねた。ねっとりと熱い舌で舐められ、歯の先で小さく噛まれ、また色めいた声を上げてしまう。
「あぁっ、ああ、あぁん」
「ちょっと焦らしてみようか。こっちも舐めてあげるね」
「にゃぅんっ、んにゃ、はぁあん」
さらに弱い左の乳嘴を食まれて、彼女の蜜壺はきゅんきゅんと動きはじめた。もうこんなに感じて、とアリシアは自分の身体の変化にまた驚く。
しかし彼はそこで彼女を果てさせてくれることはなく、寸前で胸への愛撫をやめてしまった。
「にゃ……?」
「今日は僕色に染まってね」
アリシアから離れたかと思うと、フィリップは空中で手のひらをサッと動かし、何かをする。
「きゃ!?」
その一瞬で――彼女の胸の先には、富豪様との夜のように宝石の花が装着されていた。魔法士様の魔法のようにベッドから生えた植物は、彼女の耳と手首に絡まっていた。そのすべての花は空色を、フィリップの瞳の色をしている。
「あ、あぁ……」
「こうして花に囲まれていると、小さい頃のことを思い出さない? 初めて出会った日に、僕が花の腕輪を贈ったこと。きみも覚えてる?」
「ひゃ、はい。覚えて……おります」
「ん。嬉しい。大好き」
「にゃあぁっん……!」
宝石の花が魔力で震えはじめ、アリシアの胸をぷるぷると繊細な力で刺激する。その石を固定する鎖は銀色で、フィリップの髪を思わせた。
花をつけた魔法植物は、まるで耳飾りのように彼女にくっついている。多肉植物のような葉は耳朶を舐めるように責め、蔓は耳の中をくすぐった。
また、幼き頃に贈られた花の輪のように愛らしい見た目をした植物の葉は、彼女の手首を触れないか触れないかのあの絶妙な加減で撫でていた。
「はぁ、あぁ、やあぁん」
気持ちよさに喘ぐアリシアをころんと押し倒し、フィリップは彼女の脚を大きく開かせる。「アリシアのおまんこは可愛いね」と騎士様のような言葉を吐いたかと思えば、あの夜のように彼女の秘処をぺろりと舐めた。
「ひゃあっ」
焦らすように、花びらを一枚ずつ愛でるように陰唇を食み、まだ今夜は吹かされていない潮の穴をこちょこちょと舌先で弄る。
「らめぇ、しょこ、されたらっ、漏らしちゃうぅ」
「ふふ、してもいいんだよ? 全部やわらかくて、舐めているだけで気持ちいい……。よければ、あとで飲ませてね」
「飲ま……??」
「ああ、そうだ、可愛いおまんこへのご褒美に輪をあげよう」
「ふゃ……っ!」
アリシアの目にも見えるように腰を上げさせ、まる見えにさせ、彼はその花芽をくりくりと舌で転がす。幼馴染のユースタスの顔をして舐められた時も恥ずかしかったが、今はもっと恥ずかしかった。あの時よりも敏感な身体になった自覚があるからかもしれない。
今宵の彼女のお客様は――
「……――フィリップ様」
「ああ。アリシア」
彼女の最愛のひと。幼き頃よりの婚約者。このミラフーユ王国の王太子――フィリップだった。前のようなお忍びルックではなく、今夜は王子らしさを隠さぬ豪華な姿で、彼は青楼ファリィサを訪れた。
(ああ、そうなのね。貴方様は、この国の未来の王であるだけでなく、きっと)
彼が纏っている衣装は、見慣れた形と見慣れない色をしていた。祝祭の日の王子の礼服のように華やかな装飾をなされていながら、その色はしっとりと暗い。それは喪に服すときのような色合いでありながら、質感はそれよりもっと艶めいていて美しい。
他に見覚えのあるもので例えるならば、彼は、王子様らしくも魔王様らしくもある衣装を纏っていた。
アリシアの薄紅の髪を指に絡ませながら、彼は彼の声で彼女に囁く。
「今夜の役は、僕――〝悪役王子フィリップ〟だ。騎士、魔法士、富豪、魔王とは違って、ヒロインの婚約者であっても攻略対象ではない男」
「悪、役」
「異世界のオトメゲームの中では、たったひとつのエンディングでしか生き残れない、悲しい悪役。婚約者への想いを拗らせ、彼女への重すぎる愛に心を病み、他の男の影をちらつかせた彼女を時に殺す。――ねえ、アリシア。僕はね」
彼女の髪から細首へと指を滑らせた彼は、震えた手付きで、アリシアの喉元に触れた。怯えているようだった。
「きみを殺さないように、すっごく頑張ったんだよ……」
「っ、フィリップ、さま」
首を絞めてもいない、絞められてもいない、それなのに苦しそうな息をする彼を見て。堪らずアリシアは彼に触れ返す。彼を抱き返す。
アリシア・テリフィルアの胸に響く鼓動を、肌のやわらかさと熱を、彼女の無事を、生を、フィリップに感じてほしかった。
彼はアリシアの首元に顔を寄せ、すんと小さく息を吸う。彼女の匂いを嗅いで言う。
「いっぱい頑張った僕に、ご褒美ちょうだい?」
「ええ、もちろんです。フィリップ様……貴方様は、殿下は、何をお望みですか」
「きみのすべてを。きみとすべてを」
「…………御心のままに」
熱と切なさのこもったフィリップの声に、アリシアの何かの箍が外れた。すべてを彼に捧げたいと心の底から願った。今ここで処女をも差し出せと、心の中の悪魔が囁く。
(ああ、この夜を越えたなら、もう堕ちてしまっても構わないわ。だって、彼も――)
――ふたりの夜が始まった。
ベッドの上でキスを交わしながら、フィリップはアリシアのナイトドレスを器用に脱がしていく。
彼を最初に迎えた晩のように、シュルリ、シュルリと衣を剥がれ、一糸まとわぬ姿にさせられ。
「ん……っ」
フィリップの温かな手は、アリシアの双丘をふにふにと揉みはじめた。
「今日も可愛いよ」
と彼は彼女の膨らみに口づけ、ちゅうっと肌を吸う。いくつものキスの痕を咲かせていく。
「にゃっ、にゃ」
「本当に可愛い……」
「はぅん」
右の先端を咥えられ、アリシアの身体はぴくんと跳ねた。ねっとりと熱い舌で舐められ、歯の先で小さく噛まれ、また色めいた声を上げてしまう。
「あぁっ、ああ、あぁん」
「ちょっと焦らしてみようか。こっちも舐めてあげるね」
「にゃぅんっ、んにゃ、はぁあん」
さらに弱い左の乳嘴を食まれて、彼女の蜜壺はきゅんきゅんと動きはじめた。もうこんなに感じて、とアリシアは自分の身体の変化にまた驚く。
しかし彼はそこで彼女を果てさせてくれることはなく、寸前で胸への愛撫をやめてしまった。
「にゃ……?」
「今日は僕色に染まってね」
アリシアから離れたかと思うと、フィリップは空中で手のひらをサッと動かし、何かをする。
「きゃ!?」
その一瞬で――彼女の胸の先には、富豪様との夜のように宝石の花が装着されていた。魔法士様の魔法のようにベッドから生えた植物は、彼女の耳と手首に絡まっていた。そのすべての花は空色を、フィリップの瞳の色をしている。
「あ、あぁ……」
「こうして花に囲まれていると、小さい頃のことを思い出さない? 初めて出会った日に、僕が花の腕輪を贈ったこと。きみも覚えてる?」
「ひゃ、はい。覚えて……おります」
「ん。嬉しい。大好き」
「にゃあぁっん……!」
宝石の花が魔力で震えはじめ、アリシアの胸をぷるぷると繊細な力で刺激する。その石を固定する鎖は銀色で、フィリップの髪を思わせた。
花をつけた魔法植物は、まるで耳飾りのように彼女にくっついている。多肉植物のような葉は耳朶を舐めるように責め、蔓は耳の中をくすぐった。
また、幼き頃に贈られた花の輪のように愛らしい見た目をした植物の葉は、彼女の手首を触れないか触れないかのあの絶妙な加減で撫でていた。
「はぁ、あぁ、やあぁん」
気持ちよさに喘ぐアリシアをころんと押し倒し、フィリップは彼女の脚を大きく開かせる。「アリシアのおまんこは可愛いね」と騎士様のような言葉を吐いたかと思えば、あの夜のように彼女の秘処をぺろりと舐めた。
「ひゃあっ」
焦らすように、花びらを一枚ずつ愛でるように陰唇を食み、まだ今夜は吹かされていない潮の穴をこちょこちょと舌先で弄る。
「らめぇ、しょこ、されたらっ、漏らしちゃうぅ」
「ふふ、してもいいんだよ? 全部やわらかくて、舐めているだけで気持ちいい……。よければ、あとで飲ませてね」
「飲ま……??」
「ああ、そうだ、可愛いおまんこへのご褒美に輪をあげよう」
「ふゃ……っ!」
アリシアの目にも見えるように腰を上げさせ、まる見えにさせ、彼はその花芽をくりくりと舌で転がす。幼馴染のユースタスの顔をして舐められた時も恥ずかしかったが、今はもっと恥ずかしかった。あの時よりも敏感な身体になった自覚があるからかもしれない。
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