鬼使神差〜無能神様が世界を変える物語〜

天楪鶴

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ー光ー 第二章 悪神との戦い

第三十三話 安静に

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「はい、ご馳走様でした」


 天麗華は天光琳の口を拭きながら笑顔で言った。


「穴があったら入りたい...」

「穴があってもその体じゃ、入れないだろ」


 天光琳は両手で顔を隠しながら言うと、天俊熙は笑いながら言った。


「うぅ...確かに......」


 天光琳がそう言うと天麗華はふふっと笑った。


「昔は『姉上、あーんして!』って言ってたのに」

「だって今はそんなことしてもらう年齢じゃないですし......」


 天光琳は小さい頃、食事をする時は天麗華の隣に座っていて、苦手な食べ物は天麗華に食べさせてもらっていた。
 天麗華に食べさせてもらうと、なんでも食べることができた。

 しかし、五歳になってから、現在食事部屋で座っている席に固定されてしまった。

 そのため、天麗華に食べさせて貰うことは無くなり、一神で好き嫌いせずに食べれるようになった。
 席が固定されたのも、それが目的であるのかもしれない。


「でも今の貴方の状況だと仕方ないことだわ......」


 先程まで笑顔だった天麗華は少し暗い顔をした。


「もしあの時、貴方が私たちを守っていなかったら、私たちは命を落としていたかもしれない......貴方は私たちの命の恩人よ」

「...俺たちを守ってくれてありがとう...。でも、もう無茶はしないでくれ......」


 二神は天光琳が自分たちを庇ったことにより、命を落としてしまわないか心配でたまらなかった。

 天麗華は天光琳の頭を撫でた。


「...でも......僕はいつも姉上に迷惑を掛けてる......。俊熙には何度も助けて貰っている......お礼なんていらないですよ」

「迷惑...?」


 天麗華は撫でていた手を止めた。


「迷惑なんてかかっていないわよ...?」


 天麗華は微笑んだ。


「え...だって......僕が天国の評価を下げてる分を......姉上が頑張って上げてくださっているじゃないですか......。僕が神の力を使えれば、姉上は頑張らなくても済むのに......」

「......!?」


 天麗華は目を大きく見開いたあと、下を向いた。どうしたのだろうか。


「姉上...?」

「......あ、ごめんなさい。いいえ、全然迷惑ではないわよ。好きで人間の願いを沢山叶えているのだから」


 天麗華はパッと顔を上げ、いつものようにまた微笑んだ。


「貴方は気にしすぎよ。助けてくれて本当にありがとう」


 そう言いながらまた頭を撫で始めた。
 天光琳は口をふくらませた。


「頭は撫でないでください...」


 しかし実際はそんなに嫌ではない。恥ずかしいだけなのだ。そのため、天麗華は頭を撫でるのを辞めなかった。


「それに...お前が俺に何度も助けて貰った...って言ってるけど、俺はお前の命を助けたことは一度もない。お前は凄いよ、ありがとう」


 天俊熙は天麗華の後ろに立ち、天光琳の目を見ながらそう言った。

 天光琳は二神からお礼を言われ、恥ずかしくなったため掛け布団で顔をズバッと隠した。

 しかし傷が掛け布団で擦れ、痛みが増してしまった。


「いたぃ......」


 掛け布団で隠れたまま、小さな声で言った。


「大丈夫!?」「大丈夫か!?」

「大丈夫です......」


 天光琳は顔を少しだけ掛け布団からだした。
 天麗華と天俊熙はホッと息を吐いた。



 扉をノックする音が聞こえた。
 天浩然だろう。

 天俊熙は扉を開けた。


「父上、おはようございます」

「おはよう......ん?」


 部屋に入った天浩然は天光琳の方を見た。


「......光琳!目覚めたのか!!」
「はい、おはようございます」


 天浩然は天光琳の近くまで早歩きで行った。


「万姫様が心配していたぞ、良かった...」


 天浩然は天光琳が目覚め安心した。


「母上が......じゃあ、早く帰らなきゃ...」

 天光琳がそう言うと、天麗華は首を横に振った。


「その状態で帰るのは危ないわ。傷口がまた開いてしまうかもしれない。後三日ぐらいは様子を見ないと...」

「馬車の中は結構揺れるからな、痛くてたまらないと思うよ」

「そっか...」


 天俊熙もそう言うと天光琳は残念そうな顔をした。もし途中で傷口が開いてしまった場合、直ぐに手当をしなければいけない。

 しかし、街がない山ばかりのところで傷口が開いてしまった場合、手当をするのが難しい。それに、またいつあの悪神が現れるか分からない。この状態で戦うのは無理だろう。

 そのため、治ってきてからではないと帰ることが出来ないのだ。


「早く帰りたいな...」

「万姫様は早く会いたいと言っていたぞ」


 天光琳はボソッと呟き、それを聞いていた天浩然は言った。
 天万姫たちがここへ来ない理由は、危ないからだ。
 悪神は天光琳を狙っていることが分かった。

 しかし、悪神は天俊熙と天麗華のことを邪魔だと言っていた。そのため、天家も狙われる可能性はゼロではない。

 城は丈夫な造りになっていて、結界が張ってある。護衛神も沢山いて安全な為、できるだけ城にいた方が良いだろう。

 ...たが、城に戻れない三神は危険な為、護衛神数名はこの宿に残っている。

 更にここへ来る天浩然にも護衛神は数名ついている。しかし、王、天宇軒がいる城に残る護衛神の数を少なくする訳には行かず、天浩然と一緒に来る護衛神の数は少なく、危険すぎる。なので天万姫たちを連れてくることは出来なかった。


「まぁしばらくゆっくり休め。天光琳だけではなく、二神もだぞ」


 三神は頷いた。
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