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ー光ー 第二章 悪神との戦い
第三十四話 帰還
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「おかえりなさい...!!」
城に到着し、馬車から降りた三神に向かって、天万姫は走ってきた。城の扉から、天万姫以外に、天宇軒、天浩然、天語汐、天李偉、天李静もゆっくり歩いて来た。
「母上...!」
「おーっと危ない!」
天万姫は天光琳を抱きしめようとしたが、天俊熙が間に入ったため、天万姫は止まった。
「光琳はまだ怪我が治りきっていないんです。抱きしめると痛すぎて死んじゃいますよ」
天俊熙は苦笑いしながら言った。
「それはいけないわね......俊熙、ありがとう」
「いえいえ」
天光琳は怪我が治りきっていないことを忘れていた。天俊熙が止めてくれなかったら、危ないところだった...と思った。
「母上、父上、無事に皆帰りましたよ」
天麗華は食料を馬車から下ろす手伝いをしながら言った。宿では女将さんが沢山料理を作ってくれたため、持って行った食料は一つも食べなかった。そのため行きと変わらない量だった。
「本当に良かったわ...心配だったの......」
天万姫は天麗華に抱きしめながら言った。
「私も早く会いたかったわ...」
天麗華はやっと家族にあえて安心した。
そんな二神を眺めていた天俊熙と天光琳も、温かい気持ちになった。
「俊熙、光琳無事で良かった。おかえりなさい」
天語汐は天万姫のように抱きしめたりしなかったが、二神の肩に手を置き、微笑みながら言った。
「俊熙~、おかえり~!!あー...光琳も」
「おかえり」
天李偉と天李静も二神の方まで走ってきた。そしてゆっくりと天浩然も歩いてきている。
「「ただいま」」
天俊熙は笑顔で、天光琳は苦笑しながら言うと、天李偉は天俊熙の手を掴んだ。
「心配で全然眠れなかったんだからね!」
「ごめんごめん」
二神は改めて無事に帰ってこれて良かったと思った。
天家は九日ぶりに集まることが出来た。
天宇軒は相変わらず黙ったままだが、三神の無事を喜んでいるだろう。
「光琳、貴方は荷物を下ろす手伝いをしなくて良いから、部屋に戻って休みなさい」
天光琳が手伝おうとしたため、天麗華は止めた。重い荷物ばかりなので、怪我が治りきっていない天光琳には難しいだろう。
「わかりました...」
天光琳は手伝いたかったのだが、確かにこの状態では無理かもしれない...と思い、素直に城の入口へと向かった。
城へと続く階段を上る途中、天宇軒が腕を組みながら立っていた。
そして天宇軒とすれ違ったところで、天宇軒はやっと口を開いた。
「まだ修行と稽古はするなよ」
「あ...はい......」
伝言で伝えられたのに、ここでも言われるとは......。天光琳は分かってるよ...と心の中で思った。天光琳は天宇軒に会釈をし、ゆっくり歩いて城へ入っていった。
✿❀✿❀✿
久しぶりに部屋に戻った天光琳は、ベッドの近くにある窓を開けた後、寝慣れてるベッドに座り、傷が痛まないようにゆっくりと体を倒した。
(あぁ~帰れた!!)
天光琳は安心した。正直、生きて帰って来れないかと思っていた。まさかこのベッドでまた寝れるとは。天光琳は嬉しくなった。
今はとても静かで時計の秒針の音は大きく聞こえる。しかし、出発前の不安でたまらない時に聞いた音とは違う音のように感じる。
時計の針は午後二時半を指している。
(夕食まで結構時間あるし...老師に挨拶でもしに行こうかな)
そう思い、ゆっくり起き上がった。......が。
(いや......休めって言われたんだった。今行ったら絶対に怒られる......)
天光琳はまた体を倒した。
(老師には、治ったら直ぐに挨拶しに行こう)
天光琳は明日には完全に治って欲しい...と思った。
外から荷物を下ろしている天麗華たちの声が聞こえる。
天光琳は目を閉じながら、会話を聞くことにした。
『俊熙、麗華、貴方たちも休みなさい。疲れているでしょう?』
『そうよ、ここは私たちがやるから』
二神の母、天万姫と天語汐が言っている。
『ありがとうございます。ではお言葉に甘えて、そうさせていただきますね』
『ありがとうございます。母上、万姫様』
(二神も休めるようで良かった...。あの時、姉上と俊熙にも休まなくて良いのか聞けば良かったな......)
天光琳は両手で顔を隠し、自分だけ城に戻ったことを後悔した。
『貴方たちも休んできていいわよ』
『え?...ですが私たちは......』
『うんん、しっかり休みなさい。城に残っていた護衛神にも
手伝って貰うから気にしなくても大丈夫よ』
『......!!...ありがとうございます...!』
天万姫は護衛神に話しているようだ。
桜雲天国では護衛神たちは家族のように接しているため、無理をさせたりはしない。
......しかし中には天光琳を馬鹿にしている者もいるのだが...。
天光琳が玉桜山で荷物を代わりに持とうか聞いた護衛神も、実は天光琳の悪口を言っていた。天光琳はそれを聞いたことがあり自分を嫌っていると知っていたのだが、天光琳の性格上、助けない訳にはいかなかった。これで天光琳を馬鹿にすることが無くなると良いのだが......。
五分後、荷物を全て下ろし終えたらしく、外は静かになった。
天光琳はずっと目を閉じて外から聞こえる会話を聞いていたため、いつの間にか眠りについてしまった。
外からくる風が心地よい。風によって、天光琳の髪の毛が揺れる。
すると一枚、桜の花びらが風に乗って窓からヒラヒラと入ってきた。
そして眠っている天光琳の手のひらにふわりと落ちた。
それに気づくことなく天光琳は日が暮れるまで眠り続けた。
城に到着し、馬車から降りた三神に向かって、天万姫は走ってきた。城の扉から、天万姫以外に、天宇軒、天浩然、天語汐、天李偉、天李静もゆっくり歩いて来た。
「母上...!」
「おーっと危ない!」
天万姫は天光琳を抱きしめようとしたが、天俊熙が間に入ったため、天万姫は止まった。
「光琳はまだ怪我が治りきっていないんです。抱きしめると痛すぎて死んじゃいますよ」
天俊熙は苦笑いしながら言った。
「それはいけないわね......俊熙、ありがとう」
「いえいえ」
天光琳は怪我が治りきっていないことを忘れていた。天俊熙が止めてくれなかったら、危ないところだった...と思った。
「母上、父上、無事に皆帰りましたよ」
天麗華は食料を馬車から下ろす手伝いをしながら言った。宿では女将さんが沢山料理を作ってくれたため、持って行った食料は一つも食べなかった。そのため行きと変わらない量だった。
「本当に良かったわ...心配だったの......」
天万姫は天麗華に抱きしめながら言った。
「私も早く会いたかったわ...」
天麗華はやっと家族にあえて安心した。
そんな二神を眺めていた天俊熙と天光琳も、温かい気持ちになった。
「俊熙、光琳無事で良かった。おかえりなさい」
天語汐は天万姫のように抱きしめたりしなかったが、二神の肩に手を置き、微笑みながら言った。
「俊熙~、おかえり~!!あー...光琳も」
「おかえり」
天李偉と天李静も二神の方まで走ってきた。そしてゆっくりと天浩然も歩いてきている。
「「ただいま」」
天俊熙は笑顔で、天光琳は苦笑しながら言うと、天李偉は天俊熙の手を掴んだ。
「心配で全然眠れなかったんだからね!」
「ごめんごめん」
二神は改めて無事に帰ってこれて良かったと思った。
天家は九日ぶりに集まることが出来た。
天宇軒は相変わらず黙ったままだが、三神の無事を喜んでいるだろう。
「光琳、貴方は荷物を下ろす手伝いをしなくて良いから、部屋に戻って休みなさい」
天光琳が手伝おうとしたため、天麗華は止めた。重い荷物ばかりなので、怪我が治りきっていない天光琳には難しいだろう。
「わかりました...」
天光琳は手伝いたかったのだが、確かにこの状態では無理かもしれない...と思い、素直に城の入口へと向かった。
城へと続く階段を上る途中、天宇軒が腕を組みながら立っていた。
そして天宇軒とすれ違ったところで、天宇軒はやっと口を開いた。
「まだ修行と稽古はするなよ」
「あ...はい......」
伝言で伝えられたのに、ここでも言われるとは......。天光琳は分かってるよ...と心の中で思った。天光琳は天宇軒に会釈をし、ゆっくり歩いて城へ入っていった。
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久しぶりに部屋に戻った天光琳は、ベッドの近くにある窓を開けた後、寝慣れてるベッドに座り、傷が痛まないようにゆっくりと体を倒した。
(あぁ~帰れた!!)
天光琳は安心した。正直、生きて帰って来れないかと思っていた。まさかこのベッドでまた寝れるとは。天光琳は嬉しくなった。
今はとても静かで時計の秒針の音は大きく聞こえる。しかし、出発前の不安でたまらない時に聞いた音とは違う音のように感じる。
時計の針は午後二時半を指している。
(夕食まで結構時間あるし...老師に挨拶でもしに行こうかな)
そう思い、ゆっくり起き上がった。......が。
(いや......休めって言われたんだった。今行ったら絶対に怒られる......)
天光琳はまた体を倒した。
(老師には、治ったら直ぐに挨拶しに行こう)
天光琳は明日には完全に治って欲しい...と思った。
外から荷物を下ろしている天麗華たちの声が聞こえる。
天光琳は目を閉じながら、会話を聞くことにした。
『俊熙、麗華、貴方たちも休みなさい。疲れているでしょう?』
『そうよ、ここは私たちがやるから』
二神の母、天万姫と天語汐が言っている。
『ありがとうございます。ではお言葉に甘えて、そうさせていただきますね』
『ありがとうございます。母上、万姫様』
(二神も休めるようで良かった...。あの時、姉上と俊熙にも休まなくて良いのか聞けば良かったな......)
天光琳は両手で顔を隠し、自分だけ城に戻ったことを後悔した。
『貴方たちも休んできていいわよ』
『え?...ですが私たちは......』
『うんん、しっかり休みなさい。城に残っていた護衛神にも
手伝って貰うから気にしなくても大丈夫よ』
『......!!...ありがとうございます...!』
天万姫は護衛神に話しているようだ。
桜雲天国では護衛神たちは家族のように接しているため、無理をさせたりはしない。
......しかし中には天光琳を馬鹿にしている者もいるのだが...。
天光琳が玉桜山で荷物を代わりに持とうか聞いた護衛神も、実は天光琳の悪口を言っていた。天光琳はそれを聞いたことがあり自分を嫌っていると知っていたのだが、天光琳の性格上、助けない訳にはいかなかった。これで天光琳を馬鹿にすることが無くなると良いのだが......。
五分後、荷物を全て下ろし終えたらしく、外は静かになった。
天光琳はずっと目を閉じて外から聞こえる会話を聞いていたため、いつの間にか眠りについてしまった。
外からくる風が心地よい。風によって、天光琳の髪の毛が揺れる。
すると一枚、桜の花びらが風に乗って窓からヒラヒラと入ってきた。
そして眠っている天光琳の手のひらにふわりと落ちた。
それに気づくことなく天光琳は日が暮れるまで眠り続けた。
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