鬼使神差〜無能神様が世界を変える物語〜

天楪鶴

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ー光ー 第七章 焦る仲間

第九十六話 毛布

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 次の日の朝食後、天光琳は天宇軒の部屋へ向かった。

 ノックをして入ると、天宇軒は疲れきった様子で書類を眺めていた。
 クマは昨日より濃くなっている。


「......父上......」

「なんだ」


 天宇軒は今にも泣きそうな声で天光琳が言ってきたため、天光琳の方をしっかり見た。


「......その......昨日......扇......壊しちゃって......」

「......扇を?」

「はい......ごめんなさい......」


 天光琳はビクビクと怖がりながら扇を見せた。
 扇は半分に割れている。
 天光琳はなぜ壊れたのか聞かれ、怒られることを予想し、全身が震えている。
 天宇軒はしばらく扇を見つめてから、口を開いた。


「.........た......か?」

「......?」


 天宇軒がボソッと小さな声で言ったため、天光琳は聞き取れず、聞き返した。
 しかし天宇軒は言い直してくれなかった。


「......しばらく扇は使わないだろう。その間に新しいものを用意する」

「......え......あ、はい!ありがとうございます......」


 怒られ無かったことに天光琳は驚き、一瞬固まった。
 天光琳が礼を言うと、天宇軒はまた書類に目を向けた。
 忙しそうだ。

 天光琳は車椅子をくるりと後ろに向け、部屋を出た。


 (......怒られると......思ってた......)


 天光琳はほっとして、部屋に戻った。



 ✿❀✿❀✿


「んー、やることが無い~~」


 天光琳はまたクルクルと回っている。
 今ある本は全て読んでしまった。全て最低でも二周は読んでいる。
 城の中にある図書室に行きたいのだが、五階にあるため、車椅子の天光琳にはいけない。
 城は階段しかないのだ。


「暇だ暇だ暇だー」


 天俊熙と天麗華は人間の願いを叶えに行っている。天李偉とは関わりたくないし、天李静とはあまり話さないため気まずくなるだけだ。

 天光琳は昨日の天俊熙のように外を眺めることにした。
 冷たい風が吹き、肌寒いが心地よい。
 そしてここからの眺めはとても良かった。


 (みんな楽しそうだなぁ......)


 街を見ると、親子が楽しそうに歩いていたり、小さい神が追いかけっこをしていたり。

 ぼーっと眺めていると眠たくなってきた。

 天光琳は車椅子の背もたれにもたれ、眠りについた。



 ✿❀✿❀✿



 目を開けると、外は薄暗くなっていた。
 座ったまま眠っていたため、背中や首が痛い。


「あれ?」


 天光琳にはクリーム色の毛布がかかっていた。
 シンプルなデザインで、端にはクマの刺繍がしてある。
 とても暖かくて、もふもふで心地よい。新品だろうか。
 天光琳はその毛布にくるまった。

  
「......それで......あ」

「...ん?......あ、光琳!おはよう」


 天麗華と天俊熙が帰ってきた。
 おはよう......ということは、天光琳が眠っていたことを知っている、なら一度帰ってきているのだろう。


「お...おはようございます。これは......姉上のですか?」


 天光琳は、毛布を持って、天麗華に見せた。


「いいえ......違うわ」

「えっ......じゃあ俊熙?」

「違うぞ?俺たちが帰ってきた時からかけてたから、てっきりお前のかと......」


 誰の毛布だろうか。
「......え、誰の?」と三神は声を揃えて言った。


「可愛いな、万姫様かな?」

「いいえ......母上は語汐様と出かけていて居ないから、母上では無いはずよ?」


 三神の頭の中にある人物が浮かんだ。

 "天宇軒"

 (いやいやいや、違うでしょ......こんな可愛い毛布を......それに僕なんかにわざわざこんなことしてくれるのかな......)


「だからと言って、俺の父上じゃないだろうし......姉様と李静も今いないし......宇軒様しか思いつかないんだが......」

「うーん......違う気がする......」

「そうね......父上は今忙しそうだもの。......一体誰が......」


 結局分からなかった。
 恐らく何者かが天光琳にあげるつもりでかけたのだろう。
 天光琳は有難く使わせてもらうことにした。




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