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或る男の渇望 4
しおりを挟む「――ッ!!」
衝撃、としか言いようのない圧迫感と快感に、一葉の身体は幾度も痙攣し、小刻みに震えた。熱に灼かれるような痛みと、切り裂かれるほどの衝動が重なり合い、頭の奥まで白く塗り潰されていく。行為は始まったばかりだというのに、一葉の思考は幸助で満たされる。
まだ馴染まぬうちから、幸助は抑えきれない激情に突き動かされ、腰を前後に揺らし始めた。ギリギリまで引き抜いたかと思えば、次には奥底まで突き上げる。律動に合わせて布団が乱れ、散らばった原稿が床で舞い上がった。
「っあ! アアッ! あっ……あぁあっ!」
「っ、は……ッ、かず……はっ、一葉ッ!」
「ああっ、んぁあっ!」
幸助は掠れた声で想い人の名を呼び、その度に抽挿を深める。吐き出す言葉は熱に乱れ、途切れ途切れでありながら、想いの丈だけは一葉に確かに伝わってきた。自分の想いも幸助の想いも、強引に貫かれた微かな痛みさえも、快感に変わっていく。
「これはっ……お前の、ためにっ……お前だけの……っ!」
心も体も、自分の色に染め上げたい。
奥の奥まで暴き、一葉を俺一色にしてしまいたい。
俺は一葉に奪われ、囚われた。
お前だけが俺を満たす。お前だけが俺を生かす。俺の一葉。俺だけの。
――お前も、同じだといいのに――
「かずはっ……かずはっ! 誰にも……っ、読ませないっ!」
その必死な声に、一葉の胸は灼けつくように熱を帯びた。原稿さえも「奪われたくない」と思うほど、自分だけを欲している。自分だけが、幸助を満たせる。そう思うと、一葉の中が、幸助をきゅうっと締め付けた。
閉め切った部屋には二人の熱と匂いが充満し、幸助の切羽詰まった声と、一葉の切なげな喘ぎ声、そして二人の気持ちを表すかのような激しい突き上げの音が響き続けた。それは狭い空間を圧迫し、互いの思考をさらに追い込み、二人を快楽の奥深くへと堕としていく。
二人の肌には、じんわりと汗が浮かぶ。額から頬を伝う滴が布団に染みを作り、空気は蒸すほどに熱い。散らかった原稿が、一葉の濡れた肌に張り付き、濡れた空気に未だ乾ききらぬインクが汗に溶けて滲んだ。大切にすべきはずの一葉への想いを綴った紙束に構う余裕など、今の幸助にはなかった。ただ、愛しい男の中に己の想いを刻み込むことしかできない。
「おま……えの、ための……ッ! お前だけのっ――ッ!」
「は、ンぁああっ! ああっ! も、だめっ! こ、すけぇっ……!」
幸助は一葉の両腕を強く掴み、引き寄せながら深く深く抉り自身の想いを込めて打ち込んでいく。根元まで到達しきれていなかったものを、今度こそ奥底まで――とばかりに。彼はさらなる奥を目指し、一葉の両腕を離すと膝を抱え、体重をかけ、抱き締めながら突き進む。
「――ッ!!」
一葉は涎を垂らし、目を大きく見開いたまま息を止めて絶頂に達した。奥で締め付けが強まり、きゅうっと幸助を咥え込む。ガクガクと痙攣を繰り返し、意識が飛ぶほどの快感に頭の中が真っ白になる。
「かず、は……」
「っ……っ!」
蕩けた表情の一葉に、幸助は堪え切れず、再び腰を打ち付けた。あまりに気持ちよく、我慢などできるはずがない。一葉にこんな顔をさせるのは自分だけだ。
「一葉……っ、かずは……お前だけの……っ!」
荒い呼吸、迸る熱情。
まだ絶頂の余韻に浸る一葉の身体は、次なる快感を受け止めきれず震え続ける。それでも、幸助の律動は止まらない。突き上げられる度に、また新たな波が押し寄せ、一葉を飲み込んでいく。
「ああっンっあぁあっ! 待っ……てっ! ああ! まだっ……!」
「一葉っ……かずはっ!」
声を上げながら、一葉は脚を跳ね上げ、幸助を締め付ける。だが、それは逆に彼をさらに深く誘い込む。
「んぁあっ! こうすけぇっ! ああ――っ!」
重なった声と共に、一葉は再び快感の淵へと堕ちていった。
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