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或る男の渇望 5
しおりを挟むどれほどの時が流れたのか、もはや二人には分からなかった。
確かなのは――幸助の衝動が、決して途切れることはなかったということ。
幾度も一葉を突き上げ、何度も何度も絶頂へと追い上げる。汗に濡れた肌が布団に張り付き、散らばる原稿が震動に合わせてカサカサと音を立てた。その音すらも快感を引き起こす。
「かずはっ……っ! これは……お前のためだけに……ッ、書いて……っ!」
「あっ、あぁあっ! ああ――ッ!」
一葉の身体がビクン、ビクンッと跳ね、白い喉から切ない声が漏れる。痙攣を繰り返し、何度目か分からない絶頂を迎えてもなお、幸助は一葉の奥を攻め続けた。
結合部から響く水音と、打ち合わさる肌の音が夜の静寂を破って二人を煽り、追い立てる。そのリズムは狂おしいほどに甘く、一葉の鼓膜を震わせた。
「お前の、ためのっ! お前だけのっ――ッ! かずは……! 一葉っ!!」
幸助の律動はさらに激しさを増し、まるで言葉と衝動が同じ方向へ駆け出しているかのようだった。一葉は嬌声を上げながら彼を締め付け、また新たな絶頂へと追い込まれる。
「ひ、あぁあっ、ああ!! も……ッああっ!」
「一葉ッ……かずはッ! 俺の……俺だけのッ――ッ!」
突き上げるたび、一葉の奥が抉られる。その度に快楽は波となって押し寄せた。そして、さらに強く激しく一葉を突き上げると、ついに幸助は息を詰め、奥深くで熱を吐き出した。
「ひ、っ――ッ! あっ、あッ、アア――!!」
身体の奥に広がる熱。目の前が真っ白に弾け、一葉はきつく彼を締め付けながら痙攣し、突き上げられるまま上り詰めた刹那、息もできないほどの激しい絶頂に達した。そして、硬く勃ち上がった先端から白濁が迸り、二人の腹を濡らした。
***
荒い呼吸の合間に、幸助は一葉を抱き締めた。自身を中に収めたまま、壊れ物のように触れながら、けれど決して離すまいとする強さで。
部屋の中に響くのは互いの息遣いだけ。
「かず、は……」
耳元に顔を寄せ、囁きと共にそっと口付けを落とす。幸助の掠れた声に一葉の身体が反応して小さく震え、やがて徐々に落ち着きを取り戻していく。快楽の淵から浮かび上がるように、意識が少しずつ澄んでいった。
「一葉……この原稿は……お前だけの、ものだ……」
低く優しい声が胸を満たし、脳を揺さぶる。一葉は震える手を伸ばし、幸助の頬を撫でて慈しむように微笑んだ。
「……わか、ってる」
その笑顔に、幸助は目を瞠る。
そして次の瞬間、気が付いた。
一葉の汗に濡れた肌に、反転して写る自分が綴った幾つもの文字。彼のためだけに書き綴った想いたちが、まるで焼き付いたように刻まれているのだ。
それを目にした瞬間、幸助の胸に再び激情が湧き上がった。熱と想いと欲望が一気に込み上げ、一葉の中に収めた自身が、ずくんと大きく脈打つ。
「あっ!」
一葉が声を上げると、幸助は再び彼の脚を左右に大きく開かせた。
それに驚いたのは当然、一葉で。
「こ、幸助っ!?」
一葉の口から上ずった声が上がる。一度吐精したにもかかわらず、幸助のものはまだ硬く、一葉の中をみっちりと満たしている。いや、それどころか更に膨張し、熱も質量も増していた。
焦りと戸惑いの混じる声を掻き消すように、幸助は腰を押し出す。
「あっ! ちょっ……ああっ! 待っ……ンああッ!」
部屋の空気が再び熱を帯びる。一葉の口から艶やかな声がこぼれ、幸助の昂ぶりはさらに膨れ上がった。
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