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或る男の渇望 6
しおりを挟む「一葉……っ、かずはっ……!」
幸助の律動は止まらなかった。荒々しさと愛おしさが交互に入り交じり、押し寄せては引き、また深く沈み込む。その動きは、落ち着きを取り戻しつつあった一葉の熱を再び呼び覚ます。
何度も体位を変え、浅く擦り上げ、次には底の奥底まで抉り込む。布団は汗で湿り、散らばった原稿が肌に張り付き、インクの匂いと二人の熱気が混ざり合って、息苦しいほどの空気を作っていた。
「んぁあっ……アアッ! こうすけっ、あっ! こうすけぇっ!」
一葉の白い喉が反らされ、涙が頬を伝う。口元から零れる涎は枕を濡らし、燃え立つ快感に顔も身体も赤く染まっていく。その姿を目にした幸助は、もはや理性を手放さずにはいられなかった。
一途に求める――それだけしかできない。
熱に浮かされるほどの欲望と、どうしようもない焦燥と渇望。愛する人が目の前で自分だけに身を委ねている。その事実が、幸助の奥底を焼き尽くしていた。
――この肌に滲む汗のように、インクのように。俺の言葉で、その体を染めてしまえたら。
「あっ……ああっ……んぁっ、こ……すけぇっ……!」
「一葉……っ、かずはっ! 愛してるっ!」
幸助の吐いたその言葉に、一葉の体が大きく跳ねる。ぎゅうっと締め付けられ、幸助の胸を強烈に揺さぶった。
「また……イったのか……? 可愛いな、一葉……愛してるッ!」
荒い呼吸に混じる囁き。熱と愛情に溶けた声。
――俺の一葉。俺だけの、一葉。
幸助は一葉の身体を抱え上げ、その重さを抱き締めながら下から突き上げる。何度も、深く、深く。熱を刻み込むように。
「ひっ! これ、ああっ、だめっあっ、ああ――っ!」
一葉は壊れたように何度も絶頂に達する。背中が反り、痙攣を繰り返すたびに、その内部は幸助を締め上げ、さらに彼を昂らせる。
苦しいほどの快感。それでも――
――幸助が、求めてくれる。この身体で、幸助が気持ちよくなれるなら。幸助が満足してくれるなら。それだけで、嬉しい。
一葉は朦朧とする意識の中でそう思い、必死に伸ばした腕を幸助の首に絡め、強く抱き着いた。
「一葉……っ! お前を、俺に……くれっ!」
吐き出すような幸助の声は、渇望そのもの。突き上げはさらに激しくなり、汗が滴り、散らかった原稿を濡らしていく。
一葉はその言葉に震えながらも、必死にしがみついた。
「お前だけが……っ、俺を掻き立てるんだ……!」
「こ、すけ……っ、いいよ……! こうすけが……したいように……っ、ああっ! 俺を、愛してっ――!」
涙と涎に濡れた顔で必死に訴える一葉。その姿は幸助を限界まで追い込む。絶対に、離さない。
「かず、は……ッ! 俺の、一葉っ……!」
幸助は激しく抱きながらも、一葉を布団の上にそっと寝かせ、乱れた髪を指で梳くと、彼の手を握り込んだ。そしてそのまま、殊更激しく腰を打ちつける。
「こう、す……ッ! アッ――っ!!」
「かず、は――ッ!!」
二人の叫びが、重なり、夜を切り裂いた。
互いの体温が絡み合い、汗と涙と愛のすべてが混じり合う。
もはや何の区別もなく、ただただ、求め合って繋がる。
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