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8.上手くいってなにより
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翌朝、やはり熟睡は出来なかったらしい皇子は眠たげな表情で帰って行った。
疲れたようにも見えるその雰囲気がなんとも気怠げで、昨日何かありましたと言わんばかりにも見えた。
これなら意外と騙せるのではないかとミアはほくそ笑んでいた。もちろん本人にはその旨は伝えなかったが。
その後、例の皇子の御付きの人等がそそくさと大仰にやって来て、恐る恐るシーツを確認して危うく飛び上がるほど喜んでいた。
ミアに向かって感謝の言葉を述べるのをミアは曖昧な笑みでそれとなく受け流していた。細かいところを尋ねられたら上手く返答する自信がなかったからだ。
これからもどうぞよろしくお願い致しますと頭を下げられれば頷くしかなく、御付きの人に促されたのか三日後に皇子はまたミアの部屋に現れた。
前回怖い事が無かった為か幾分か緊張が和らいだ様子の皇子に協力した手前帰れとも言えずミアは部屋に入れまた話をするだけの夜を過ごすことになった。
皇子の初めてのお気に入りだと城の中でも騒がれているらしい。ミアは興味がないため気にしていなかったが、皇子が定期的に御付きの人に勧められて部屋に現れるため、噂は本当なのだろうと思っていた。
皇子は今日もミアの元を訪れた。今夜で一体何度目だろうとミアはふと思った。すぐには思い出せない程度には皇子はミアの元に通っていた。
「そういえば、なんで短剣を持っていたんだ?」
何度も顔を合わせれば人見知りの皇子といえど慣れるようで至って普通に話せるようになっていた。
それどころか同じ寝台に寝転ぶ今も大きく動けば触れ合う程度には近くにいる。
慣れるのはいいことだとミアは内心満足気にしつつ、皇子の素朴な疑問に笑みを浮かべた。
「特にこれといった理由はありませんが、強いて言うなら護身用です。女の身は時々ひどく物騒なので」
「扱えるのか?」
「まあ、人並みかそれより少し上程度には。家では父の仕事の手伝いもしていたので、危険な事がないように少しは自分の身を守れるようになれと言われました。結構向いていたみたいで、楽しいですよ。体を動かすのは元々好きでしたし」
とはいえ危険物の持ち込みは許可されていないので秘密ですけど、と自分の懐を服の上から撫でながらミアが言う。
「仕事を手伝うって、後継ぎがいないのか? 兄とか弟とか」
「いますよ。年の離れた弟がうちの後継ぎです。ですが、まだ幼すぎるので私が代行みたいなものです」
なるほど、と興味深そうに皇子は頷いた。後宮を抱えているうちの国の王族という立場上、後継ぎ問題に関わることは極めて稀だろう。
最も、その稀な事態を引き起こそうとしているのは皇子本人なのだが。
疲れたようにも見えるその雰囲気がなんとも気怠げで、昨日何かありましたと言わんばかりにも見えた。
これなら意外と騙せるのではないかとミアはほくそ笑んでいた。もちろん本人にはその旨は伝えなかったが。
その後、例の皇子の御付きの人等がそそくさと大仰にやって来て、恐る恐るシーツを確認して危うく飛び上がるほど喜んでいた。
ミアに向かって感謝の言葉を述べるのをミアは曖昧な笑みでそれとなく受け流していた。細かいところを尋ねられたら上手く返答する自信がなかったからだ。
これからもどうぞよろしくお願い致しますと頭を下げられれば頷くしかなく、御付きの人に促されたのか三日後に皇子はまたミアの部屋に現れた。
前回怖い事が無かった為か幾分か緊張が和らいだ様子の皇子に協力した手前帰れとも言えずミアは部屋に入れまた話をするだけの夜を過ごすことになった。
皇子の初めてのお気に入りだと城の中でも騒がれているらしい。ミアは興味がないため気にしていなかったが、皇子が定期的に御付きの人に勧められて部屋に現れるため、噂は本当なのだろうと思っていた。
皇子は今日もミアの元を訪れた。今夜で一体何度目だろうとミアはふと思った。すぐには思い出せない程度には皇子はミアの元に通っていた。
「そういえば、なんで短剣を持っていたんだ?」
何度も顔を合わせれば人見知りの皇子といえど慣れるようで至って普通に話せるようになっていた。
それどころか同じ寝台に寝転ぶ今も大きく動けば触れ合う程度には近くにいる。
慣れるのはいいことだとミアは内心満足気にしつつ、皇子の素朴な疑問に笑みを浮かべた。
「特にこれといった理由はありませんが、強いて言うなら護身用です。女の身は時々ひどく物騒なので」
「扱えるのか?」
「まあ、人並みかそれより少し上程度には。家では父の仕事の手伝いもしていたので、危険な事がないように少しは自分の身を守れるようになれと言われました。結構向いていたみたいで、楽しいですよ。体を動かすのは元々好きでしたし」
とはいえ危険物の持ち込みは許可されていないので秘密ですけど、と自分の懐を服の上から撫でながらミアが言う。
「仕事を手伝うって、後継ぎがいないのか? 兄とか弟とか」
「いますよ。年の離れた弟がうちの後継ぎです。ですが、まだ幼すぎるので私が代行みたいなものです」
なるほど、と興味深そうに皇子は頷いた。後宮を抱えているうちの国の王族という立場上、後継ぎ問題に関わることは極めて稀だろう。
最も、その稀な事態を引き起こそうとしているのは皇子本人なのだが。
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