続きは第一図書室で

蒼キるり

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プロローグ

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 放課後の図書室に相応しくない、微かな水音が響いている。本棚に軽く押さえつけられながらその音を耳にした瞬間、羞恥心の余り舌打ちしたい衝動に駆られた。
 目の前の奴に顎を上げられ深く口づけられているという事実にクラクラと眩暈がする。それは長いキスによって酸欠気味だからということも若干関係しているかもしれないけれど。
 そもそも放課後の図書室で同級生とキスをしている。その事実だけで俺にとっては眩暈がするほどの大事件だ。
 なのに、それが男で友達なのだから尚更大事件だ。というか、俺の理解範囲を軽く越える。

「……っ、しつこいってば、浩也!」

 俺は目の前の奴を押し返しながらそう言う。かなり力を込めたつもりが、身体が言うことを聞かず、軽く押す程度になってしまったのは無念だ。

「まだ全然してないけど?……そんなので、彼女作ろうなんて百年早いと思わない?」

 俺と違い息ひとつ乱していない、東原浩也というその男を俺は軽く睨むが、これ以上の文句を言う訳にもいかない。
 何故なら恋人同士でもないのにこんな風にキスするような関係を迫ったのは他ならぬ俺だからだ。

「ほら、佐武。もう一回」

「はぁ?もう帰るからっ……んっ」

 もう一度唇を塞がれ、深く口付けられる。不覚にも浩也のキスの気持ち良さに本気で押し返すことが出来ない。
 どうしてこんなことを頼んでしまったんだろう。そんなことを考えながら、浩也と初めて会った高校生になったばかりの頃のことを思い出した。
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