続きは第一図書室で

蒼キるり

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3.妹に報告

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「それでな、その浩也って奴が面白くってさ」

 夕食を妹の美奈と二人でとっている時、そう俺はよく口にするようになっていた。
 まだ数日しか経っていないが、第一図書室に行くのは日課のようにもなっている。そこにいる浩也は相変わらず無愛想だったけど、会話をするのは楽しかった。

「図書委員ってそもそも皆やりたがらないらしいんだよ。なのに第一図書室独り占めしたかったから~なんて言うんだ。面白いだろ?」

 俺がそんな風に話しても美奈はふうんとかへえとかそんな返事しかしない。別に面白いね、とかって言って欲しい訳じゃないから良いんだけど。
 そんな風に思いながら、仕事に行く前に母が用意してくれているハンバーグを口にする。
 母は看護師をやっていて夜勤の日なんかは妹と二人だから、なんとなく美奈が小学生の時は早く帰ってやらないと、なんて思って中学の頃は部活に入らなかった。
 でも妹も中学に上がったら自分も部活に入るからと宣言してきた。まあ、俺は部活に入らなかった訳だけど。

「お兄ちゃんさぁ……」

 珍しく呼ばれて思わず喉に詰まらせてこんこんと咳をしながら、なに?と促す。

「浩也?って人の話、最近よくしてるけど……恋人とかはいないの?」

「は?彼女、ってこと?」

「……えー、うんまあ、そう」

 何故か歯切れの悪い調子で言われる。

「彼女……うーん。特に欲しいとも思わないし。今は浩也と話してるだけで楽しいから」

 そう言うと美奈は珍しくへえと笑みを浮かべた。
 恋の話なんてするようになったんだな、と俺は少し驚いた。前まで全然興味がなさそうだったのに。少なくとも小学四年の頃は雑誌で見た服を母に強請ったりすることにしか興味がない様子だった。
 髪を伸ばしてるのか知らないけど前はよく行っていた美容院にも行かなくなったな、と俺とよく似た黒い髪を無造作に肩に垂らしているのを目に止めながら思った。

「まあ、お兄ちゃんに彼女ができたら、私にお姉ちゃんできるみたいなものじゃん。昔は若干憧れてたりしたけど……今はまあ、どっちでも良いかなって感じだし」

 そんなこと考えてたのか、とそっちの方に少し驚く。まあ母さんも仕事で忙しいしな。姉が欲しいとか思うのも無理ないよな……
 希望は今のとこ叶えてあげられそうにないのが少し気掛かりだな、と考えるともなしに考えながら残ったハンバーグを口に放り込んだ。
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