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2.出会い
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放課後になった途端、部活動見学で出て行くクラスメイトを尻目に俺はさっき目をつけた第一図書室に向かっていた。
放課後の廊下は普通は人で溢れているものだが、今歩いている場所はちらほらとしかすれ違う人がいない。
一~三年までの教室が入ってる南棟とは違い、ここ北棟は放課後に用事がある人なんて数少ない文化部部員くらいなのかもしれない。
そんな事を考えていると、おそらくここが第一図書室だろうという所に着いた。
特に深く考えずに来たけど、司書の先生は居るのだろうか。もしかしたら第二図書室にだけ居るということも考えられる。この第一図書室は何処と無く古そうな感じだしな。
でも中はおそらく誰かが居るはずだ。電気は点いているし……と自分に納得させ戸に手を掛けた。
ガラガラと想像していたよりも大きな音がして軽く顔をしかめながら中を覗くと中で1人本を読んでいる人が居た。
向こうも音に気付いたのか、こちらも見て来る。
「あ……っと、お邪魔します」
我が物顔で居るからおそらく先輩なのだろうと、軽く頭を下げつつ挨拶したものの、何処かで見たことがあるような気がした。
「えーと、中入ってもいいですか?」
そう言った途端、その人はぱたんと本を閉じて面倒臭そうに返される。
「……ここは学校の図書室なんだから、入ってはいけない筈がないと思うけど」
「……ですよねー」
なんでこの人こんな素っ気ないの。怒ってるのか?……いやいや、早とちりは良くない。ちゃんと応えてくれた人にこんなことを思うのは良くないし。
うんうん、と頷きながら中に入る。……他に人は見当たらないけど、別に本くらい読んでも構わないだろうと手近な本棚を眺める。
全体的に古い本が多い。あと、あんまり分類されてない感じで、カバーのない文庫本の横に汚れた辞書が置いてあったりするから、なんとなく見ているだけで楽しい。
「ここって本借りていいんですか?」
「……良いんじゃない、図書室なんだし」
素っ気ないものの、律儀に返事は返ってくる。やっぱり悪い人じゃないな、と思いながらも良いんじゃないという言葉に思わず少し笑ってしまう。
「先輩さん、ですよね。詳しくないんですか?」
「……一年三組」
「へ?」
一年三組。俺の隣のクラスだ。それがどうしたんだろう。
「君と同じ一年だけど。何か勘違いしてない?」
軽く俺を睨んでその人は立ち上がった。背もそんなに高いほうじゃなくて俺より数センチ高い程度だし、よくよく見ると制服が綺麗だ。なんだ、同級生か。気を張ってたのが馬鹿らしくなり、肩の力を抜きごめんと謝る。
「慣れてる感じだったから」
「別に。入学式の日に見つけてなんか良いなって思ってそれから来てるだけ」
あと、図書委員になったからと付け加えられた。
「他に図書委員いないのか?」
「……いるけど、第二の方。こっちは一人か二人で良いって言われたから、それならと思って俺がやってる」
そう言って、さっきまで読んでいたらしい小難しそうな本を本棚に返していた。
そんな風に決めるなんてなんか面白そうなやつ、と思いながらその横顔を見てふと気づいた。
「なあ、さっきの新入生歓迎会で本読んでただろ?」
「……なんでそれ見てて先輩と勘違いなんかするんだよ」
訝しむように見られた。それはごもっともだから、ははは、と笑って誤魔化す。
「それより、えーと……俺、佐武直斗。お前は?」
「……東原浩也」
無愛想に返してくるけど、会話は問題なく成立するし、なんか上手くやれそうだなと、これから放課後暇なときはここに来ようと心の中で決定した。
「よろしく、浩也」
早速名前を呼び捨て?と戸惑ったように言われてしまった。うーん、そこで戸惑われるとは思わなかった。こいつやっぱりなんか面白いな、と心の中で少し笑った。
放課後の廊下は普通は人で溢れているものだが、今歩いている場所はちらほらとしかすれ違う人がいない。
一~三年までの教室が入ってる南棟とは違い、ここ北棟は放課後に用事がある人なんて数少ない文化部部員くらいなのかもしれない。
そんな事を考えていると、おそらくここが第一図書室だろうという所に着いた。
特に深く考えずに来たけど、司書の先生は居るのだろうか。もしかしたら第二図書室にだけ居るということも考えられる。この第一図書室は何処と無く古そうな感じだしな。
でも中はおそらく誰かが居るはずだ。電気は点いているし……と自分に納得させ戸に手を掛けた。
ガラガラと想像していたよりも大きな音がして軽く顔をしかめながら中を覗くと中で1人本を読んでいる人が居た。
向こうも音に気付いたのか、こちらも見て来る。
「あ……っと、お邪魔します」
我が物顔で居るからおそらく先輩なのだろうと、軽く頭を下げつつ挨拶したものの、何処かで見たことがあるような気がした。
「えーと、中入ってもいいですか?」
そう言った途端、その人はぱたんと本を閉じて面倒臭そうに返される。
「……ここは学校の図書室なんだから、入ってはいけない筈がないと思うけど」
「……ですよねー」
なんでこの人こんな素っ気ないの。怒ってるのか?……いやいや、早とちりは良くない。ちゃんと応えてくれた人にこんなことを思うのは良くないし。
うんうん、と頷きながら中に入る。……他に人は見当たらないけど、別に本くらい読んでも構わないだろうと手近な本棚を眺める。
全体的に古い本が多い。あと、あんまり分類されてない感じで、カバーのない文庫本の横に汚れた辞書が置いてあったりするから、なんとなく見ているだけで楽しい。
「ここって本借りていいんですか?」
「……良いんじゃない、図書室なんだし」
素っ気ないものの、律儀に返事は返ってくる。やっぱり悪い人じゃないな、と思いながらも良いんじゃないという言葉に思わず少し笑ってしまう。
「先輩さん、ですよね。詳しくないんですか?」
「……一年三組」
「へ?」
一年三組。俺の隣のクラスだ。それがどうしたんだろう。
「君と同じ一年だけど。何か勘違いしてない?」
軽く俺を睨んでその人は立ち上がった。背もそんなに高いほうじゃなくて俺より数センチ高い程度だし、よくよく見ると制服が綺麗だ。なんだ、同級生か。気を張ってたのが馬鹿らしくなり、肩の力を抜きごめんと謝る。
「慣れてる感じだったから」
「別に。入学式の日に見つけてなんか良いなって思ってそれから来てるだけ」
あと、図書委員になったからと付け加えられた。
「他に図書委員いないのか?」
「……いるけど、第二の方。こっちは一人か二人で良いって言われたから、それならと思って俺がやってる」
そう言って、さっきまで読んでいたらしい小難しそうな本を本棚に返していた。
そんな風に決めるなんてなんか面白そうなやつ、と思いながらその横顔を見てふと気づいた。
「なあ、さっきの新入生歓迎会で本読んでただろ?」
「……なんでそれ見てて先輩と勘違いなんかするんだよ」
訝しむように見られた。それはごもっともだから、ははは、と笑って誤魔化す。
「それより、えーと……俺、佐武直斗。お前は?」
「……東原浩也」
無愛想に返してくるけど、会話は問題なく成立するし、なんか上手くやれそうだなと、これから放課後暇なときはここに来ようと心の中で決定した。
「よろしく、浩也」
早速名前を呼び捨て?と戸惑ったように言われてしまった。うーん、そこで戸惑われるとは思わなかった。こいつやっぱりなんか面白いな、と心の中で少し笑った。
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