11 / 53
10.期限付き
しおりを挟む
「ごめん!」
「……は?」
思いの外早く浩也からの返答があった。
こちらに向けた顔は珍しく驚いていて、しかも返答は想像していたものとは違ったからそっちにも驚いた。
「……だから、俺から言いだしたことでもあったし。浩也は色々考えてくれた訳で。なのに、その、あんな風な態度取ったのは悪かったっていうか……ごめん」
「…………」
「あ、あとこれなんだけど」
謝っても浩也の反応は鈍くて、やっぱり怒っているんだろうか。
それでもこれだけは言ってしまいたくて、鞄から本を取り出す。それは昨日、浩也に入れられたであろう本。
「こ、これな……浩也がほら、色々言ってただろ?だから読んだんだよ」
「……は?」
「浩也も読んだんだろ?意味わかんねーとか言ったし、今もよくは分かんねーけど。なんかこいつらさ、すげー頑張って恋愛してるんだよ。だからなんかこう、そういうのは良いなって。浩也もそう思ったから読ませてきたんだよな?」
一息に言ってのけ、恐る恐る浩也の顔を確認する。
顔を逸らしていて、どう思ってるのか分からなくて声を掛けようとした途端、浩也があのさと声を掛けて来た。
「謝られる筋合いないと思うんだけど。俺がキスしたのわかってる?なんで普通に来るわけ?」
「……なんで、って別に嫌じゃなかったし。浩也は練習に付き合ってくれたわけ、だし」
そうか、俺嫌じゃなかったんだ、と言いながら気付いた。だから、当たり前みたいにここに来ようって思ったんだ。
「だから……さ」
全く言おうと思ってなかった事を口走った。
「俺まだ……練習続けたいんだけど」
思っていなかったと言えば嘘になる。それでも、それはおかしい事だし言うつもりなんてさらさらなかったのに。
「それって……俺とキスしたいって言ってるように聞こえるけど」
「わ、悪いのかよ。浩也の方がしてきたんだろ」
おかしい。だってそんなの普通じゃない。なんでそんなことを望むのか俺には全然分からなかったけど、でもここで前みたいに放課後に会って話してそれで終わるだけに戻るのは嫌だと、そう思った。
「分かった」
浩也がつかつかと歩いてきて、俺の後ろの戸を乱暴に閉める。音の大きさに驚いている間に浩也に腕を掴まれ引き寄せられる。
「じゃあ、佐武に彼女が出来るまで、俺がしっかり練習付き合ってあげる」
そう囁くように言った浩也の顔は笑ってるのに哀しそうな気がして不思議に思った。
でもそれを考える時間もなく、浩也に口付けられる。
それが驚くほど心地良くて、その事しか考えられなくなる。
こうして俺と浩也の関係は始まった。
俺の彼女が出来るまでという、期限付きで。
「……は?」
思いの外早く浩也からの返答があった。
こちらに向けた顔は珍しく驚いていて、しかも返答は想像していたものとは違ったからそっちにも驚いた。
「……だから、俺から言いだしたことでもあったし。浩也は色々考えてくれた訳で。なのに、その、あんな風な態度取ったのは悪かったっていうか……ごめん」
「…………」
「あ、あとこれなんだけど」
謝っても浩也の反応は鈍くて、やっぱり怒っているんだろうか。
それでもこれだけは言ってしまいたくて、鞄から本を取り出す。それは昨日、浩也に入れられたであろう本。
「こ、これな……浩也がほら、色々言ってただろ?だから読んだんだよ」
「……は?」
「浩也も読んだんだろ?意味わかんねーとか言ったし、今もよくは分かんねーけど。なんかこいつらさ、すげー頑張って恋愛してるんだよ。だからなんかこう、そういうのは良いなって。浩也もそう思ったから読ませてきたんだよな?」
一息に言ってのけ、恐る恐る浩也の顔を確認する。
顔を逸らしていて、どう思ってるのか分からなくて声を掛けようとした途端、浩也があのさと声を掛けて来た。
「謝られる筋合いないと思うんだけど。俺がキスしたのわかってる?なんで普通に来るわけ?」
「……なんで、って別に嫌じゃなかったし。浩也は練習に付き合ってくれたわけ、だし」
そうか、俺嫌じゃなかったんだ、と言いながら気付いた。だから、当たり前みたいにここに来ようって思ったんだ。
「だから……さ」
全く言おうと思ってなかった事を口走った。
「俺まだ……練習続けたいんだけど」
思っていなかったと言えば嘘になる。それでも、それはおかしい事だし言うつもりなんてさらさらなかったのに。
「それって……俺とキスしたいって言ってるように聞こえるけど」
「わ、悪いのかよ。浩也の方がしてきたんだろ」
おかしい。だってそんなの普通じゃない。なんでそんなことを望むのか俺には全然分からなかったけど、でもここで前みたいに放課後に会って話してそれで終わるだけに戻るのは嫌だと、そう思った。
「分かった」
浩也がつかつかと歩いてきて、俺の後ろの戸を乱暴に閉める。音の大きさに驚いている間に浩也に腕を掴まれ引き寄せられる。
「じゃあ、佐武に彼女が出来るまで、俺がしっかり練習付き合ってあげる」
そう囁くように言った浩也の顔は笑ってるのに哀しそうな気がして不思議に思った。
でもそれを考える時間もなく、浩也に口付けられる。
それが驚くほど心地良くて、その事しか考えられなくなる。
こうして俺と浩也の関係は始まった。
俺の彼女が出来るまでという、期限付きで。
10
あなたにおすすめの小説
告白ごっこ
みなみ ゆうき
BL
ある事情から極力目立たず地味にひっそりと学園生活を送っていた瑠衣(るい)。
ある日偶然に自分をターゲットに告白という名の罰ゲームが行われることを知ってしまう。それを実行することになったのは学園の人気者で同級生の昴流(すばる)。
更に1ヶ月以内に昴流が瑠衣を口説き落とし好きだと言わせることが出来るかということを新しい賭けにしようとしている事に憤りを覚えた瑠衣は一計を案じ、自分の方から先に告白をし、その直後に全てを知っていると種明かしをすることで、早々に馬鹿げたゲームに決着をつけてやろうと考える。しかし、この告白が原因で事態は瑠衣の想定とは違った方向に動きだし……。
テンプレの罰ゲーム告白ものです。
表紙イラストは、かさしま様より描いていただきました!
ムーンライトノベルズでも同時公開。
久々に幼なじみの家に遊びに行ったら、寝ている間に…
しゅうじつ
BL
俺の隣の家に住んでいる有沢は幼なじみだ。
高校に入ってからは、学校で話したり遊んだりするくらいの仲だったが、今日数人の友達と彼の家に遊びに行くことになった。
数年ぶりの幼なじみの家を懐かしんでいる中、いつの間にか友人たちは帰っており、幼なじみと2人きりに。
そこで俺は彼の部屋であるものを見つけてしまい、部屋に来た有沢に咄嗟に寝たフリをするが…
寡黙な剣道部の幼馴染
Gemini
BL
【完結】恩師の訃報に八年ぶりに帰郷した智(さとし)は幼馴染の有馬(ありま)と再会する。相変わらず寡黙て静かな有馬が智の勤める大学の学生だと知り、だんだんとその距離は縮まっていき……
[BL]憧れだった初恋相手と偶然再会したら、速攻で抱かれてしまった
ざびえる
BL
エリートリーマン×平凡リーマン
モデル事務所で
メンズモデルのマネージャーをしている牧野 亮(まきの りょう) 25才
中学時代の初恋相手
高瀬 優璃 (たかせ ゆうり)が
突然現れ、再会した初日に強引に抱かれてしまう。
昔、優璃に嫌われていたとばかり思っていた亮は優璃の本当の気持ちに気付いていき…
夏にピッタリな青春ラブストーリー💕
【完】君に届かない声
未希かずは(Miki)
BL
内気で友達の少ない高校生・花森眞琴は、優しくて完璧な幼なじみの長谷川匠海に密かな恋心を抱いていた。
ある日、匠海が誰かを「そばで守りたい」と話すのを耳にした眞琴。匠海の幸せのために身を引こうと、クラスの人気者・和馬に偽の恋人役を頼むが…。
すれ違う高校生二人の不器用な恋のお話です。
執着囲い込み☓健気。ハピエンです。
【完結・BL】春樹の隣は、この先もずっと俺が良い【幼馴染】
彩華
BL
俺の名前は綾瀬葵。
高校デビューをすることもなく入学したと思えば、あっという間に高校最後の年になった。周囲にはカップル成立していく中、俺は変わらず彼女はいない。いわく、DTのまま。それにも理由がある。俺は、幼馴染の春樹が好きだから。だが同性相手に「好きだ」なんて言えるはずもなく、かといって気持ちを諦めることも出来ずにダラダラと片思いを続けること早数年なわけで……。
(これが最後のチャンスかもしれない)
流石に高校最後の年。進路によっては、もう春樹と一緒にいられる時間が少ないと思うと焦りが出る。だが、かといって長年幼馴染という一番近い距離でいた関係を壊したいかと問われれば、それは……と踏み込めない俺もいるわけで。
(できれば、春樹に彼女が出来ませんように)
そんなことを、ずっと思ってしまう俺だが……────。
*********
久しぶりに始めてみました
お気軽にコメント頂けると嬉しいです
■表紙お借りしました
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる