続きは第一図書室で

蒼キるり

文字の大きさ
41 / 53

40.妹と仲直り

しおりを挟む
 家に帰ってリビングに入ると、珍しい事に美奈が先に居た。
 ソファーに腰掛けていて、俺が入ると一瞬だけ何故かびくりと震えた。

「お、おかえりなさい」

「ただいま……お前、部活は?」

「きょ、今日は……お兄ちゃんに話があるから、早く帰って来ました」

 よく分かんないけど、話があるらしい。
 ソファーの向かい側に座ると、美奈がいきなり立ち上がった。

「こ、紅茶淹れてきます!」

「あー、そう」

 なんか動きがすげーカクカクしてるんだけど、大丈夫か?
 足悪化してるんじゃねえだろうな。
 今日の課題なんだっけなと鞄を確認している間に、美奈が紅茶を淹れて帰って来た。
 カクカクっつーか、恐る恐る?

「……お前なんでそんな緊張してんの?」

 俺の前に紅茶を置いてくれるタイミングに言ってみたら紅茶がひっくり返しそうになった。
 普通に危ない。火傷する。
 美奈はソファーには戻らず机を挟んだ俺の向かい側にすとんと座った。

「お、お兄ちゃん怒ってないの?」

「は?」

 美奈の紅茶は熱すぎるから冷ましていると、上目遣いで恐る恐る聞いてきた。

「なんで怒るんだよ」

「……だ、だって朝に。ほら色々、私言っちゃった、でしょ?」

 ……ああ、そういえば。

「ぶっちゃけ、ちょっと忘れてた」

「ええぇ!」

 確かに昼休みまでは悶々と考え込んでいたけど、由紀先輩と話してからはなんとなく気にならなくなっていた。

「うぅ、私あれから言い過ぎたって凄い後悔したのに……」

「あー、なんか悪い」

 少し冷めた紅茶を口にする。
 こいつ、コーヒーはダメダメだけど紅茶は上手いんだよなぁ。

「なんていうか、へこみはしたけど怒りはしないよ。俺は、恋とかそんなんじゃないって思うけど……言われなきゃ考えもしなかった、と思う。だから、そこは感謝してるよ」

 手を伸ばして髪をぐしゃぐしゃとかき混ぜると止めてよとは言われたけど、特に反抗もなかったので撫でてやる。
 おりゃおりゃ。
 ……やっぱり浩也の髪とは全然違うな、なんて当たり前だけど。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

告白ごっこ

みなみ ゆうき
BL
ある事情から極力目立たず地味にひっそりと学園生活を送っていた瑠衣(るい)。 ある日偶然に自分をターゲットに告白という名の罰ゲームが行われることを知ってしまう。それを実行することになったのは学園の人気者で同級生の昴流(すばる)。 更に1ヶ月以内に昴流が瑠衣を口説き落とし好きだと言わせることが出来るかということを新しい賭けにしようとしている事に憤りを覚えた瑠衣は一計を案じ、自分の方から先に告白をし、その直後に全てを知っていると種明かしをすることで、早々に馬鹿げたゲームに決着をつけてやろうと考える。しかし、この告白が原因で事態は瑠衣の想定とは違った方向に動きだし……。 テンプレの罰ゲーム告白ものです。 表紙イラストは、かさしま様より描いていただきました! ムーンライトノベルズでも同時公開。

久々に幼なじみの家に遊びに行ったら、寝ている間に…

しゅうじつ
BL
俺の隣の家に住んでいる有沢は幼なじみだ。 高校に入ってからは、学校で話したり遊んだりするくらいの仲だったが、今日数人の友達と彼の家に遊びに行くことになった。 数年ぶりの幼なじみの家を懐かしんでいる中、いつの間にか友人たちは帰っており、幼なじみと2人きりに。 そこで俺は彼の部屋であるものを見つけてしまい、部屋に来た有沢に咄嗟に寝たフリをするが…

放課後教室

Kokonuca.
BL
ある放課後の教室で彼に起こった凶事からすべて始まる

寡黙な剣道部の幼馴染

Gemini
BL
【完結】恩師の訃報に八年ぶりに帰郷した智(さとし)は幼馴染の有馬(ありま)と再会する。相変わらず寡黙て静かな有馬が智の勤める大学の学生だと知り、だんだんとその距離は縮まっていき……

[BL]憧れだった初恋相手と偶然再会したら、速攻で抱かれてしまった

ざびえる
BL
エリートリーマン×平凡リーマン モデル事務所で メンズモデルのマネージャーをしている牧野 亮(まきの りょう) 25才 中学時代の初恋相手 高瀬 優璃 (たかせ ゆうり)が 突然現れ、再会した初日に強引に抱かれてしまう。 昔、優璃に嫌われていたとばかり思っていた亮は優璃の本当の気持ちに気付いていき… 夏にピッタリな青春ラブストーリー💕

逃げるが勝ち

うりぼう
BL
美形強面×眼鏡地味 ひょんなことがきっかけで知り合った二人。 全力で追いかける強面春日と全力で逃げる地味眼鏡秋吉の攻防。

【完】君に届かない声

未希かずは(Miki)
BL
 内気で友達の少ない高校生・花森眞琴は、優しくて完璧な幼なじみの長谷川匠海に密かな恋心を抱いていた。  ある日、匠海が誰かを「そばで守りたい」と話すのを耳にした眞琴。匠海の幸せのために身を引こうと、クラスの人気者・和馬に偽の恋人役を頼むが…。 すれ違う高校生二人の不器用な恋のお話です。 執着囲い込み☓健気。ハピエンです。

【完結・BL】春樹の隣は、この先もずっと俺が良い【幼馴染】

彩華
BL
俺の名前は綾瀬葵。 高校デビューをすることもなく入学したと思えば、あっという間に高校最後の年になった。周囲にはカップル成立していく中、俺は変わらず彼女はいない。いわく、DTのまま。それにも理由がある。俺は、幼馴染の春樹が好きだから。だが同性相手に「好きだ」なんて言えるはずもなく、かといって気持ちを諦めることも出来ずにダラダラと片思いを続けること早数年なわけで……。 (これが最後のチャンスかもしれない) 流石に高校最後の年。進路によっては、もう春樹と一緒にいられる時間が少ないと思うと焦りが出る。だが、かといって長年幼馴染という一番近い距離でいた関係を壊したいかと問われれば、それは……と踏み込めない俺もいるわけで。 (できれば、春樹に彼女が出来ませんように) そんなことを、ずっと思ってしまう俺だが……────。 ********* 久しぶりに始めてみました お気軽にコメント頂けると嬉しいです ■表紙お借りしました

処理中です...