40 / 53
39.少しの心残り
しおりを挟む
学校が違って学年も違うから、ひょっとしたらもう二度と話せないというのが残念だなと思ってしまうくらいには。
ゆっくり歩いてはいたけど、それほど大きな高校でもないから、すぐに教室は見えてきてしまった。
早く教室に入らないと不審がられてしまう。
でもこれだけは聞いておこうと問いかける。
「そっちは?ここ受験するの?」
「……迷ってたんですけど、ここ受験しようと思います」
大きな目で見つめられて、一瞬たじろぐ。
それでも受験するという事は、少なくとも三年後にはまた会えるという事で。
それが、我ながら笑ってしまうくらい嬉しいと思う自分がいた。
教室の戸は開いていて、中にクラスの奴も見える。
「一年から高校決めた奴って俺以外に初めて会った」
「……え?」
教室の中にいる奴が不審げに手招きしてくる。
何か言われた気がしたけど、中に担任もいてそれ以上話す事もなく教室に入ってしまった。
一瞬だけ振り向いたら、黒い柔らかそうな髪が小さく揺れていて、またなって撫でてみても良かったかな、なんて馬鹿な事を思った。
***
中三の夏に風邪を引いて、もしかしたら会えるかもしれないといった希望は木っ端微塵に打ち砕かれた。
俺は行くつもりだったけど、母親に夏風邪は厄介なんだから美奈に移したら承知しないと病院に連行された。
元気にしてるのか、なんてらしくもなく思う。
来年……いや、今年のオープンスクールに来るかもしれない。
そしたら、久しぶりだなって頭を撫でてやろうと、やけに頭に残る大きな目を思い出しながらそう考えた。
ゆっくり歩いてはいたけど、それほど大きな高校でもないから、すぐに教室は見えてきてしまった。
早く教室に入らないと不審がられてしまう。
でもこれだけは聞いておこうと問いかける。
「そっちは?ここ受験するの?」
「……迷ってたんですけど、ここ受験しようと思います」
大きな目で見つめられて、一瞬たじろぐ。
それでも受験するという事は、少なくとも三年後にはまた会えるという事で。
それが、我ながら笑ってしまうくらい嬉しいと思う自分がいた。
教室の戸は開いていて、中にクラスの奴も見える。
「一年から高校決めた奴って俺以外に初めて会った」
「……え?」
教室の中にいる奴が不審げに手招きしてくる。
何か言われた気がしたけど、中に担任もいてそれ以上話す事もなく教室に入ってしまった。
一瞬だけ振り向いたら、黒い柔らかそうな髪が小さく揺れていて、またなって撫でてみても良かったかな、なんて馬鹿な事を思った。
***
中三の夏に風邪を引いて、もしかしたら会えるかもしれないといった希望は木っ端微塵に打ち砕かれた。
俺は行くつもりだったけど、母親に夏風邪は厄介なんだから美奈に移したら承知しないと病院に連行された。
元気にしてるのか、なんてらしくもなく思う。
来年……いや、今年のオープンスクールに来るかもしれない。
そしたら、久しぶりだなって頭を撫でてやろうと、やけに頭に残る大きな目を思い出しながらそう考えた。
10
あなたにおすすめの小説
告白ごっこ
みなみ ゆうき
BL
ある事情から極力目立たず地味にひっそりと学園生活を送っていた瑠衣(るい)。
ある日偶然に自分をターゲットに告白という名の罰ゲームが行われることを知ってしまう。それを実行することになったのは学園の人気者で同級生の昴流(すばる)。
更に1ヶ月以内に昴流が瑠衣を口説き落とし好きだと言わせることが出来るかということを新しい賭けにしようとしている事に憤りを覚えた瑠衣は一計を案じ、自分の方から先に告白をし、その直後に全てを知っていると種明かしをすることで、早々に馬鹿げたゲームに決着をつけてやろうと考える。しかし、この告白が原因で事態は瑠衣の想定とは違った方向に動きだし……。
テンプレの罰ゲーム告白ものです。
表紙イラストは、かさしま様より描いていただきました!
ムーンライトノベルズでも同時公開。
久々に幼なじみの家に遊びに行ったら、寝ている間に…
しゅうじつ
BL
俺の隣の家に住んでいる有沢は幼なじみだ。
高校に入ってからは、学校で話したり遊んだりするくらいの仲だったが、今日数人の友達と彼の家に遊びに行くことになった。
数年ぶりの幼なじみの家を懐かしんでいる中、いつの間にか友人たちは帰っており、幼なじみと2人きりに。
そこで俺は彼の部屋であるものを見つけてしまい、部屋に来た有沢に咄嗟に寝たフリをするが…
寡黙な剣道部の幼馴染
Gemini
BL
【完結】恩師の訃報に八年ぶりに帰郷した智(さとし)は幼馴染の有馬(ありま)と再会する。相変わらず寡黙て静かな有馬が智の勤める大学の学生だと知り、だんだんとその距離は縮まっていき……
[BL]憧れだった初恋相手と偶然再会したら、速攻で抱かれてしまった
ざびえる
BL
エリートリーマン×平凡リーマン
モデル事務所で
メンズモデルのマネージャーをしている牧野 亮(まきの りょう) 25才
中学時代の初恋相手
高瀬 優璃 (たかせ ゆうり)が
突然現れ、再会した初日に強引に抱かれてしまう。
昔、優璃に嫌われていたとばかり思っていた亮は優璃の本当の気持ちに気付いていき…
夏にピッタリな青春ラブストーリー💕
【完】君に届かない声
未希かずは(Miki)
BL
内気で友達の少ない高校生・花森眞琴は、優しくて完璧な幼なじみの長谷川匠海に密かな恋心を抱いていた。
ある日、匠海が誰かを「そばで守りたい」と話すのを耳にした眞琴。匠海の幸せのために身を引こうと、クラスの人気者・和馬に偽の恋人役を頼むが…。
すれ違う高校生二人の不器用な恋のお話です。
執着囲い込み☓健気。ハピエンです。
【完結・BL】春樹の隣は、この先もずっと俺が良い【幼馴染】
彩華
BL
俺の名前は綾瀬葵。
高校デビューをすることもなく入学したと思えば、あっという間に高校最後の年になった。周囲にはカップル成立していく中、俺は変わらず彼女はいない。いわく、DTのまま。それにも理由がある。俺は、幼馴染の春樹が好きだから。だが同性相手に「好きだ」なんて言えるはずもなく、かといって気持ちを諦めることも出来ずにダラダラと片思いを続けること早数年なわけで……。
(これが最後のチャンスかもしれない)
流石に高校最後の年。進路によっては、もう春樹と一緒にいられる時間が少ないと思うと焦りが出る。だが、かといって長年幼馴染という一番近い距離でいた関係を壊したいかと問われれば、それは……と踏み込めない俺もいるわけで。
(できれば、春樹に彼女が出来ませんように)
そんなことを、ずっと思ってしまう俺だが……────。
*********
久しぶりに始めてみました
お気軽にコメント頂けると嬉しいです
■表紙お借りしました
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる