続きは第一図書室で

蒼キるり

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44.事件

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 放課後にどこも寄らないで帰れば一人になるという事が分かっていて、一人になれば色々と考え込んでしまう事も分かっている。
 だから、今日も第二図書室に向かおうかと朝、学校の廊下を歩きながら考えた。
 昨日は由紀先輩と話し込んでしまって遅くなってしまい、半ば走りながら帰ったのを思い出したけど楽しかったとも思う。
 教室に近づくと人だかりが出来ていることに気がついた。
 他のクラスの奴もいる。
 中に入りづらく、窓から覗き込むように様子を伺うと後ろの外側にある窓が割れていた。
 この高校では珍しいかもしれないけど、誰かがぶつかりか何かしたのだろうと思っていると、様子がおかしい。
 近くの奴がこちらを見ている気がする。
 教室の中にいた担任が出て来て、こちらに歩み寄って来た時にはおかしいどころじゃないとようやく実感した。

「佐武……探してた。これ、お前の仕業なんだろ」

「は?」

 先生だからとか、そんな事も忘れて素の声が出た。

「お前以外の奴は全員部活に入っていて、アリバイがあるんだよ。あの窓を割ったのは放課後だという事もわかってるんだ」

「いや、でも……」

「先生の中には、お前が遅くに走って行くのを見た人もいるんだ」

 落ち着いていれば言い返す事も出来たとは思うけど、周りの奴や先生の目を意識してしまって何と言って良いのか分からなくなる。
 鞄を握りしめる手に力が入る。
 話があるからと担任の手が伸びてきて、反射的に避けようとした途端、聞き慣れた声が耳に届いた。

「アリバイ、ありますよ?」

 担任の背後から聞こえた声は、浩也の声。
 でも人混みも気にせず歩いてくるのは、浩也だけでなかった。

「由紀、先輩?」

 近づいて来た浩也の眉が一瞬ひそめられた気がしたけど、確認する間も無く俺の前に歩いてくる。
 それは、人目から俺を隠すようだった。

「先生?佐武くんは第二図書室に居ましたよ。私が一緒でした。遅くなったのは私が本棚の整理を手伝ってもらっていたからです」

 有無を言わせぬ顔つきで由紀先輩が先生に告げる。
 確かに第二図書室にはいたけど、本の整理なんかしてない。
 でもそれを言ったらややこしくなりそうだから黙っておこう。

「証拠もないのに皆の前で問い詰めるなんて……藤原先生らしくないですよ」

「ひ、東原……」

 由紀先輩が諭すように言うと先生が一瞬怯んだ。

「……東原?」

 今、由紀先輩がそう呼ばれた気がして、小さく呟く。
 でも、東原って名字は浩也もそうで。
 混乱しそうになる。
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