続きは第一図書室で

蒼キるり

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45.浩也の思いやり

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「まず他の生徒さんにもお話を聞くのが妥当だと思いますよ」

 にこりと笑って言うと、毒気が抜かれたように周りの生徒達に教室に入りなさいと先生が声を掛けている。
 ざわつくなか浩也が小さな声で言った。

「ちょっと目立ちすぎじゃない?姉さん」

「そう?こうするのが一番だったと思うわよ?」

 平然と会話をする二人を見て、尚更混乱する。
 今、浩也……姉さんって言わなかったか?

「そんな事より、ここはどうにかするから目立たないようにホームルームまで佐武くんを匿ってあげなさいよ」

「言われなくても」

 そこまで話すと浩也がこちらを向いて手首を掴んでくる。
 なんで、とか聞く暇もなかった。
 ただ、久し振りに触れた浩也の手はひどく温かくて、それだけでもうどうでもよくなってしまった。
 そのまま人気のない廊下まで連れて行かれる。
 口を開こうとした途端、浩也にきつく抱き締められる。
 誰か来たらどうするんだとか一瞬だけ思ったけど、抱き締められる安心さで力の入っていた体から力が抜ける。
 手だけではない全身に伝わる浩也の温かさが自分でも驚くほど嬉しい。
 どうして浩也がこんな事をするのかは分からないけど、それでも嬉しい。
 俺、浩也が好きだ。
 ずっとずっと隠して見えないようにしてたものが、いとも簡単に露わになる。
 浩也の事が好きだ。
 浩也の背に腕を回そうとした時、はっとしたように浩也の体が離れる。

「……押しすぎはダメって言われてたんだった」

「……なんの話だよ」

 急に温かさが逃げていってしまい、少し不機嫌そうに言ってやった。
 でもそんな事より、尋ねたい事がある。

「由紀先輩と姉弟なのか?」

「は?聞いてないの?」

 浩也に驚かれる。
 驚いたのはこっちだと言ってやりたい。

「姉さんが話しかけに行かなかった?」

「来た。けど由紀先輩、姉弟とかは言われなかった」

「……その由紀先輩って何?東原先輩じゃダメなの?」

「東原って知ったのが今の今だよ」

 そりゃ名字言わないよな。
 なんでか知らないけど隠したかったみたいだし。

「……なんで、助けに来てくれたんだ?」

 由紀先輩はなんとなく分かる。
 後輩が困ってたら放っておけないんだろうなって思う。
 でも浩也は、あんな風に言われてなんで来てくれたんだろう。
 尋ねると哀しそうな顔を一瞬だけ見せた。

「佐武にじゃなきゃしないよ」
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