続きは第一図書室で

蒼キるり

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52.続きは第一図書室で

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「主人公と義兄弟の絆って、ただの家族愛じゃ語れないものがありますよね!」

「徐々に強くなる愛情よね!」

 次の週末、俺の家のリビングには俺と美奈と浩也と由紀先輩が集まっていた。

「にしても、二人がメル友だったとは」

「……世間が狭いにもほどがあるよね」

 紅茶を飲みながらしみじみと浩也と話す。
 似たような話だなとは思っていたけど、まさか由紀先輩にもそんな趣味があったとは……
 最初に浩也が言ってた事はあながち間違いでもなかったって事か。

「って、お兄ちゃん!この紅茶、凄い冷めてるよ」

 美奈に文句を言われる。
 由紀先輩もお口に召さないのか苦笑い。

「良いんだよ、これで」

 浩也が小さく笑った気がした。

「今日の昼飯、焼きそばにしてやるって言っただろ」

「んー、お兄ちゃんは焼きそばまで冷たいからなぁ」

「文句言うなら作らない」

「ごめんなさい、楽しみにしてます」

 まあ、確かにあんまり美味しくないなぁと自分でも思う。
 焼きそばはまだまともに作れる方だけど。
 パスタをまともに作れるようになるのはまだ先だな。

「美奈ちゃんも焼きそば好きなんでしょ?私も大好きよ」

「本当ですか!由紀さんとは話が合って嬉しいです」

 ……この二人仲良いな。
 二人してソファーを陣取ってきゃっきゃと話している。
 女子の話に入って行く気も勇気もなくて、昼ご飯を用意しようと立ち上がると浩也も付いて来た。
 あの中に一人は居づらいだろうなと二人でキッチンに向かう。

「……良いの?昼ご飯まで食べて行って」

「いつも二人だから賑やかで楽しいぐらいだから。浩也は焼きそばあんまり好きじゃないらしいけど」

 少しだけ驚いた顔をして、姉さんか、と苦虫を口にしたような顔をする。
 ふと思ったのは、俺は浩也の驚いた顔が好きだという事だった。
 驚いた顔をする時、浩也は少し幼い顔になってそれを見るのが自分だけだと思うと、ひどく嬉しくなるのだ。
 だからもし、もう一度最初からやり直せるとして浩也に練習を持ち出されたら、俺はこう言うんだ。
 「お前、俺の事好きだろ?」って。
 そしたら浩也は凄く驚いた顔をするのだから。

「……佐武?」

 笑ってるのに気づいたのか浩也が訝しげに尋ねてくる。

「まだ、佐武って呼ぶわけ?」

「……直斗って言うのは、第一図書室だけにする。ここだと姉さん達にいつ聞かれるか分かんないし」

 不貞腐れたように言うのが面白くて吹き出すと、で、なんだったの?と問い詰められる。
 もう少しでキスできるというところまで近づかれて胸がどうしようもなく高鳴る。
 口を開こうとした途端、壁越しに美奈達の笑い声が聞こえて思わず浩也が距離を取る。
 それに俺は吹き出してしまったけど、浩也は不機嫌そうだ。
 だから、俺はこう続けてやった。

「続きは第一図書室でな」

fin
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