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第2章
アルファの力関係5
こいつもやっぱり、こういう考えの人間なのかと冷めた目で見てしまう。
「アルファはやはりアルファ同士の男女で付き合い、結婚をするのがいい。あんただって、そう思うだろ?」
「……くだらないですね」
単刀直入に言えば、周りの男たちが「なんだと、てめえ!」と怒りをあらわにし、席から立とうとした。
血気盛んねと男たちを睨みつける。
「おいおい、女性に対して、その態度はないだろ。蛇崩さんに失礼だ」
依然として早坂は、ひょうひょうとした態度をとっている。彼が片手をヒョイと手を上げれば、男たちはアンドロイドやロボットの兵隊みたいに早坂の言うことを聞いて、おとなしくなる。
「どうして、そんなことを言うんだい? 蛇崩さん。オレ、これでも女からモテるんだよ。いい大学を出て、親も金持ち。オレ自身もいい仕事をしている。女性に対する金の羽振りもいいし、車や靴にいたる持ち物も一級品。顔も悪くなければ、女性の喜ばせ方も、そこら辺のモテない童貞よりも、ずっと熟知しているからね。オレだったら、あんたをお姫様のように扱える。こんな低賃金でろくに給料も出ないようなレストランのホール係を続けるなんて、もったいない」と自慢げに言ってくるのが鼻持ちならなくて、癪に障る……なんて腹の中で考えていれば、遅刻魔の店長がやってくる。
こっちをチラチラ見て気にしていながらも、警察に電話をかけるフリするらしないでバックルームへ行くのが、なんとも言えない。
結局――自分の身を守れるのは自分だけ。タバコを吸っているときのように口から息を吹き、目を閉じる。もう一度、目を開いてからムカつく男を見据える。
「お言葉ですが、下級アルファであるあたしにも選ぶ権利や発言する自由があります。あたしはレズビアンではなくバイセクシャルですが、これでも男を見る目はあるんです」
「ふうん、それで?」
自分でも、こんなホラを吹いてどうするんだろう? これじゃ火に油を注ぐようなものじゃないと内心ツッコミを入れながらも、早坂に対しての敵対心を抑えられない。
「あんたみたいな女をアクセサリーか何かと勘違いしてる最低クズ野郎のセフレなんて、なるわけないっつってんのよ。冗談じゃないわ! あんたみたいな頭の悪いアルファとヤッて、もらった金で生活するだなんて気色悪い。あたしの今の居場所は、この小さなレストランなのよ。ここが大事な場所なの。そこを辞めるくらいなら、いっそホームレスにでもなって野垂れ死んだほうがマシよ」
「てめえ……!」
「女だからっていい気になりやがって!」
「うっさいわね、金魚の糞の分際で! この男がいなきゃ何もできないくせして、威張り散らすのだけは、お得意ってわけ?」
今までの鬱憤を晴らさんばかりに言ってやる。
そんなことをしていれば制服に着替えた店長が隣にやってくる。
「申し訳ございません、お客様。どうやら、こちらのほうで手違いがあったようでして」とペコペコ頭を下げている。
「ちょっと、店長!?」
「店員の教育の不行き届きは、店長であるわたしの責任です。蛇崩にも後で口を酸っぱくして注意をしておきますので、ここら辺でお許しいただけないでしょうか?」
「許すも何も、先に手を出してきたのは蛇崩さんのほうだからね」と早坂が満面の笑みを見せる。
「あんた、そんなこと言える資格あるの……オメガにとってアルファと番になることが、どれだけ命懸けの行為かわかってないわけ? 壱架をなんだと思ってるのよ……! あの子を放って、ほかの女のところへフラフラ行って、なのに、あの子を殴ったりする。そんなことをするあんたのほうが、いけないんじゃない! 何様のつもりよ!?」
「蛇崩さん!」
普段は温厚でヘラヘラしている店長が大声を出して、あたしは驚かずにはいられなかった。
「きみは店員なんだよ。この人たちは、お客様。謝って」と頭を強引に下げさせられる。
こんなことをさせられて屈辱だなと思っていれば、「早く裏に行って。警察を呼んで逃げるんだ」と小声で店長に言われる。
「店長さんも、蛇崩さんも頭上げなよ」
あたしと店長は頭を思いきり上げて、早坂のほうを見た。
やつは悪魔みたいに人の悪い笑みを浮かべていた。
「それくらいのことで『はい、そうですね』って許してもらえると思ってるわけ? 誠意が足りないんだよ。この場で今すぐ土下座してさ、『虫や髪の毛が入ったクソまず料理を作って、ごめんなさい。奴隷労働します』って謝る動画を自分たちで配信するぐらいのことをしてもらわなきゃ、許せないな」
「……うちは常連のお客様で持ってるし、どこにでもあるファミレスです。それは認めます。でも虫や髪の毛が入った料理を作ったことは一度もないです。それに土下座して動画配信だなんて、そんなことをやればブランドイメージも地に落ち、ほかの従業員にも迷惑がかかります。そんなことはできません」
「たかだかベータの分際で口答えなんかしてんじゃねえよ!」
突然、早坂は化物みたいな形相をして机の上にあったポテトが載せてある皿を店長に投げつけた。
「アルファはやはりアルファ同士の男女で付き合い、結婚をするのがいい。あんただって、そう思うだろ?」
「……くだらないですね」
単刀直入に言えば、周りの男たちが「なんだと、てめえ!」と怒りをあらわにし、席から立とうとした。
血気盛んねと男たちを睨みつける。
「おいおい、女性に対して、その態度はないだろ。蛇崩さんに失礼だ」
依然として早坂は、ひょうひょうとした態度をとっている。彼が片手をヒョイと手を上げれば、男たちはアンドロイドやロボットの兵隊みたいに早坂の言うことを聞いて、おとなしくなる。
「どうして、そんなことを言うんだい? 蛇崩さん。オレ、これでも女からモテるんだよ。いい大学を出て、親も金持ち。オレ自身もいい仕事をしている。女性に対する金の羽振りもいいし、車や靴にいたる持ち物も一級品。顔も悪くなければ、女性の喜ばせ方も、そこら辺のモテない童貞よりも、ずっと熟知しているからね。オレだったら、あんたをお姫様のように扱える。こんな低賃金でろくに給料も出ないようなレストランのホール係を続けるなんて、もったいない」と自慢げに言ってくるのが鼻持ちならなくて、癪に障る……なんて腹の中で考えていれば、遅刻魔の店長がやってくる。
こっちをチラチラ見て気にしていながらも、警察に電話をかけるフリするらしないでバックルームへ行くのが、なんとも言えない。
結局――自分の身を守れるのは自分だけ。タバコを吸っているときのように口から息を吹き、目を閉じる。もう一度、目を開いてからムカつく男を見据える。
「お言葉ですが、下級アルファであるあたしにも選ぶ権利や発言する自由があります。あたしはレズビアンではなくバイセクシャルですが、これでも男を見る目はあるんです」
「ふうん、それで?」
自分でも、こんなホラを吹いてどうするんだろう? これじゃ火に油を注ぐようなものじゃないと内心ツッコミを入れながらも、早坂に対しての敵対心を抑えられない。
「あんたみたいな女をアクセサリーか何かと勘違いしてる最低クズ野郎のセフレなんて、なるわけないっつってんのよ。冗談じゃないわ! あんたみたいな頭の悪いアルファとヤッて、もらった金で生活するだなんて気色悪い。あたしの今の居場所は、この小さなレストランなのよ。ここが大事な場所なの。そこを辞めるくらいなら、いっそホームレスにでもなって野垂れ死んだほうがマシよ」
「てめえ……!」
「女だからっていい気になりやがって!」
「うっさいわね、金魚の糞の分際で! この男がいなきゃ何もできないくせして、威張り散らすのだけは、お得意ってわけ?」
今までの鬱憤を晴らさんばかりに言ってやる。
そんなことをしていれば制服に着替えた店長が隣にやってくる。
「申し訳ございません、お客様。どうやら、こちらのほうで手違いがあったようでして」とペコペコ頭を下げている。
「ちょっと、店長!?」
「店員の教育の不行き届きは、店長であるわたしの責任です。蛇崩にも後で口を酸っぱくして注意をしておきますので、ここら辺でお許しいただけないでしょうか?」
「許すも何も、先に手を出してきたのは蛇崩さんのほうだからね」と早坂が満面の笑みを見せる。
「あんた、そんなこと言える資格あるの……オメガにとってアルファと番になることが、どれだけ命懸けの行為かわかってないわけ? 壱架をなんだと思ってるのよ……! あの子を放って、ほかの女のところへフラフラ行って、なのに、あの子を殴ったりする。そんなことをするあんたのほうが、いけないんじゃない! 何様のつもりよ!?」
「蛇崩さん!」
普段は温厚でヘラヘラしている店長が大声を出して、あたしは驚かずにはいられなかった。
「きみは店員なんだよ。この人たちは、お客様。謝って」と頭を強引に下げさせられる。
こんなことをさせられて屈辱だなと思っていれば、「早く裏に行って。警察を呼んで逃げるんだ」と小声で店長に言われる。
「店長さんも、蛇崩さんも頭上げなよ」
あたしと店長は頭を思いきり上げて、早坂のほうを見た。
やつは悪魔みたいに人の悪い笑みを浮かべていた。
「それくらいのことで『はい、そうですね』って許してもらえると思ってるわけ? 誠意が足りないんだよ。この場で今すぐ土下座してさ、『虫や髪の毛が入ったクソまず料理を作って、ごめんなさい。奴隷労働します』って謝る動画を自分たちで配信するぐらいのことをしてもらわなきゃ、許せないな」
「……うちは常連のお客様で持ってるし、どこにでもあるファミレスです。それは認めます。でも虫や髪の毛が入った料理を作ったことは一度もないです。それに土下座して動画配信だなんて、そんなことをやればブランドイメージも地に落ち、ほかの従業員にも迷惑がかかります。そんなことはできません」
「たかだかベータの分際で口答えなんかしてんじゃねえよ!」
突然、早坂は化物みたいな形相をして机の上にあったポテトが載せてある皿を店長に投げつけた。
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