4 / 11
妖怪アルファの番に指名されたオメガ
しおりを挟む
扉がけたたましい音を立てて開かれる。
「律!」
背中に大きな白い尻尾、頭にはふわふわした白い耳が生えた美形を前にして、僕の心臓は壊れそうなくらい高鳴った。
十九年間、好きな人や憧れの人なんていなかったのに、目の前の妖怪が気になってしまう。
顔立ちも、体つきも、声もすごく魅力的で、かっこいい。
「天坊っちゃん、お早いご登場ですね」
幽霊さんが口元を綻ばせる。
「うるせえ、なんか文句あっか!?」
ゆでダコのような顔をした彼が語気を強め、返事をする。
「いえ、魂の番である方が目を覚めましたよ」
「そうか! 久しぶりだな、律……律?」
「……誰?」
男の人は琥珀色の瞳を見開き、形のいい唇をわななかせた。
「何も覚えてねえのか?」
「天さん、律さんは、精神的ショックを受けて混乱しているの」
「……部長、説明を」
「律くんはご両親に借金を肩代わりさせられて風俗で働くよう強要されたんだ。店から逃げたらヤクザに追われた」
男の人は、今にも泣きそうな顔をして僕を見つめる。
気がつくと僕は彼に抱きついていた。
最初は身体を硬直させていた――天さんの逞しい腕が、ぎこちなく背中へ回る。
ペパーミントの清々しく爽やかな香りは、どこか懐かしくて安心する。
いつの間にか部屋には僕と天さんだけになっていた。
「天、さん」
「なんだ?」
熱い眼差しを向けられて心臓が大きく鼓動を打つ。
「あなたは何者ですか……?」
「オレは、おまえの魂の番であるアルファだ。てめえをこの世界で幸せにするって誓った白狐の天。何も覚えてねえおまえに、こんなことを言っても意味ねえが――オレの側にいてほしいんだ、律」
「律!」
背中に大きな白い尻尾、頭にはふわふわした白い耳が生えた美形を前にして、僕の心臓は壊れそうなくらい高鳴った。
十九年間、好きな人や憧れの人なんていなかったのに、目の前の妖怪が気になってしまう。
顔立ちも、体つきも、声もすごく魅力的で、かっこいい。
「天坊っちゃん、お早いご登場ですね」
幽霊さんが口元を綻ばせる。
「うるせえ、なんか文句あっか!?」
ゆでダコのような顔をした彼が語気を強め、返事をする。
「いえ、魂の番である方が目を覚めましたよ」
「そうか! 久しぶりだな、律……律?」
「……誰?」
男の人は琥珀色の瞳を見開き、形のいい唇をわななかせた。
「何も覚えてねえのか?」
「天さん、律さんは、精神的ショックを受けて混乱しているの」
「……部長、説明を」
「律くんはご両親に借金を肩代わりさせられて風俗で働くよう強要されたんだ。店から逃げたらヤクザに追われた」
男の人は、今にも泣きそうな顔をして僕を見つめる。
気がつくと僕は彼に抱きついていた。
最初は身体を硬直させていた――天さんの逞しい腕が、ぎこちなく背中へ回る。
ペパーミントの清々しく爽やかな香りは、どこか懐かしくて安心する。
いつの間にか部屋には僕と天さんだけになっていた。
「天、さん」
「なんだ?」
熱い眼差しを向けられて心臓が大きく鼓動を打つ。
「あなたは何者ですか……?」
「オレは、おまえの魂の番であるアルファだ。てめえをこの世界で幸せにするって誓った白狐の天。何も覚えてねえおまえに、こんなことを言っても意味ねえが――オレの側にいてほしいんだ、律」
13
あなたにおすすめの小説
番を拒み続けるΩと、執着を隠しきれないαが同じ学園で再会したら逃げ場がなくなった話 ――優等生αの過保護な束縛は恋か支配か
雪兎
BL
第二性が存在する世界。
Ωであることを隠し、平穏な学園生活を送ろうと決めていた転校生・湊。
しかし入学初日、彼の前に現れたのは――
幼い頃に「番になろう」と言ってきた幼馴染のα・蓮だった。
成績優秀、容姿端麗、生徒から絶大な信頼を集める完璧なα。
だが湊だけが知っている。
彼が異常なほど執着深いことを。
「大丈夫、全部管理してあげる」
「君が困らないようにしてるだけだよ」
座席、時間割、交友関係、体調管理。
いつの間にか整えられていく環境。
逃げ場のない距離。
番を拒みたいΩと、手放す気のないα。
これは保護か、それとも束縛か。
閉じた学園の中で、二人の関係は静かに歪み始める――。
のほほんオメガは、同期アルファの執着に気付いていませんでした
こたま 療養中
BL
オメガの品川拓海(しながわ たくみ)は、現在祖母宅で祖母と飼い猫とのほほんと暮らしている社会人のオメガだ。雇用機会均等法以来門戸の開かれたオメガ枠で某企業に就職している。同期のアルファで営業の高輪響矢(たかなわ きょうや)とは彼の営業サポートとして共に働いている。同期社会人同士のオメガバース、ハッピーエンドです。両片想い、後両想い。攻の愛が重めです。
僕だけの番
五珠 izumi
BL
人族、魔人族、獣人族が住む世界。
その中の獣人族にだけ存在する番。
でも、番には滅多に出会うことはないと言われていた。
僕は鳥の獣人で、いつの日か番に出会うことを夢見ていた。だから、これまで誰も好きにならず恋もしてこなかった。
それほどまでに求めていた番に、バイト中めぐり逢えたんだけれど。
出会った番は同性で『番』を認知できない人族だった。
そのうえ、彼には恋人もいて……。
後半、少し百合要素も含みます。苦手な方はお気をつけ下さい。
僕の番
結城れい
BL
白石湊(しらいし みなと)は、大学生のΩだ。αの番がいて同棲までしている。最近湊は、番である森颯真(もり そうま)の衣服を集めることがやめられない。気づかれないように少しずつ集めていくが――
※他サイトにも掲載
人族は一人で生きられないらしい――獣人公爵に拾われ、溺愛されて家族になりました
よっちゃん
BL
人族がほとんど存在しない世界に、
前世の記憶を持ったまま転生した少年・レオン。
獣人が支配する貴族社会。
魔力こそが価値とされ、
「弱い人族」は守られるべき存在として扱われる世界で、
レオンは常識の違いに戸惑いながらも必死に生きようとする。
そんな彼を拾ったのは、
辺境を治める獣人公爵アルト。
寡黙で冷静、しかし一度守ると決めたものは決して手放さない男だった。
溺愛され、守られ、育てられる日々。
だが、レオンはただ守られるだけの存在で終わることを選ばない。
学院での出会い。
貴族社会に潜む差別と陰謀。
そして「番」という、深く重い絆。
レオンは学び、考え、
自分にしかできない魔法理論を武器に、
少しずつ“並び立つ覚悟”を身につけていく。
獣人と人族。
価値観も、立場も、すべてが違う二人が、
それでも選び合い、家族になるまでの物語。
溺愛×成長×異世界BL。
読後に残るのは、
「ここに居場所があっていい」と思える、あたたかな幸福。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる