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妖の世界
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目を覚ますと見知らぬ天井があった。
まるで高級ホテルや病院のVIPルームみたいな部屋だなと身を起こす。
ドアの前まで小走りで行き、ドアノブを回したけど、外から鍵がかかっていて、まったく開かない。
どうしよう……二階や三階だったら窓から逃げられるよね?
アイボリーカラーのカーテンを横に引っ張っる。
窓の外には――ほうきに跨った人がせわしなく風を切り、黒い羽根を生やした天狗たちが追いかけている。
アニメや漫画で見た一反木綿が空を飛び、普通のカラスとともに三本足のある一回り大きなカラスや三つ目の鳥が羽ばたいた。
急いでカーテンを引き直し、口から飛び出しそうな心臓を落ち着かせる。
「お目覚めですか」
足のない半透明の身体をした初老の男が立っていた。
「ゆ、ゆ、ゆ、幽霊!?」
「人に向かって指を差すとは、どういう了見だ」
声のした足元へ目線を落とせば、パグに似たヒゲヅラの男がいた。首から下は完全に犬だ。
「そうよ。お礼もなしなんて部長に失礼じゃない」
顔を上げれば、蛇のように首の長い女の人の顔が眼前にあった。
僕は石のように固まり、意識を飛ばした。
「はい、どうぞ」
「ありがとうございます」
毛布を羽織ってベッドに腰掛け、紙コップに入ったホットレモンティーを受け取る。
異世界へ繋がる入り口の側にいたせいで並行世界の地球へ来てしまった。
ここでは神仏や妖怪に幽霊、魔物や天使、悪魔が人間と共生している。僕のいた世界と類似点が多くバース性もある。
「不安そうね」と声をかけられる。
「そうですね。本当はヤクザにリンチされて死んでいるから、ここにいるんじゃないかと思って」
「大丈夫。あなたは死にかけてないわ。九割方はね、異世界へ行っても元の世界に戻るし、別世界で過ごした記憶を忘れちゃうみたい」
「とりあえず、きみの名前や住所を書いてもらえないか?」
犬のおまわりさんが椅子に飛び乗り、ろくろ首さんが持ってきたバインダーを机の上から持ってきた。
警察を名乗る彼らに疑いの眼差しを向けたら、「あなたのいた世界と同じではないかもしれませんが」と三人が胸ポケットから黒い警察手帳を取り出した。
「僕のいた世界の駐在署や警察署は、もっと無味乾燥な建物で、こんな豪華な場所へ人間を通しません」と答える。
しかめっ面をしていたら、犬のおまわりさんが真剣な顔つきで口を開く。
「それは――」
まるで高級ホテルや病院のVIPルームみたいな部屋だなと身を起こす。
ドアの前まで小走りで行き、ドアノブを回したけど、外から鍵がかかっていて、まったく開かない。
どうしよう……二階や三階だったら窓から逃げられるよね?
アイボリーカラーのカーテンを横に引っ張っる。
窓の外には――ほうきに跨った人がせわしなく風を切り、黒い羽根を生やした天狗たちが追いかけている。
アニメや漫画で見た一反木綿が空を飛び、普通のカラスとともに三本足のある一回り大きなカラスや三つ目の鳥が羽ばたいた。
急いでカーテンを引き直し、口から飛び出しそうな心臓を落ち着かせる。
「お目覚めですか」
足のない半透明の身体をした初老の男が立っていた。
「ゆ、ゆ、ゆ、幽霊!?」
「人に向かって指を差すとは、どういう了見だ」
声のした足元へ目線を落とせば、パグに似たヒゲヅラの男がいた。首から下は完全に犬だ。
「そうよ。お礼もなしなんて部長に失礼じゃない」
顔を上げれば、蛇のように首の長い女の人の顔が眼前にあった。
僕は石のように固まり、意識を飛ばした。
「はい、どうぞ」
「ありがとうございます」
毛布を羽織ってベッドに腰掛け、紙コップに入ったホットレモンティーを受け取る。
異世界へ繋がる入り口の側にいたせいで並行世界の地球へ来てしまった。
ここでは神仏や妖怪に幽霊、魔物や天使、悪魔が人間と共生している。僕のいた世界と類似点が多くバース性もある。
「不安そうね」と声をかけられる。
「そうですね。本当はヤクザにリンチされて死んでいるから、ここにいるんじゃないかと思って」
「大丈夫。あなたは死にかけてないわ。九割方はね、異世界へ行っても元の世界に戻るし、別世界で過ごした記憶を忘れちゃうみたい」
「とりあえず、きみの名前や住所を書いてもらえないか?」
犬のおまわりさんが椅子に飛び乗り、ろくろ首さんが持ってきたバインダーを机の上から持ってきた。
警察を名乗る彼らに疑いの眼差しを向けたら、「あなたのいた世界と同じではないかもしれませんが」と三人が胸ポケットから黒い警察手帳を取り出した。
「僕のいた世界の駐在署や警察署は、もっと無味乾燥な建物で、こんな豪華な場所へ人間を通しません」と答える。
しかめっ面をしていたら、犬のおまわりさんが真剣な顔つきで口を開く。
「それは――」
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