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始まり
9 (ルカ視点)【改稿】
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お嬢様は、今しがた完成したばかりのクロムと名付けた、ぬいぐるみみたいな生き物との契約を行った。
その時に残り少ない魔力を与えたらしく、クタリとぬいぐるみの様な生き物のそばに小鳥の姿で倒れ込んだ。
いつもお嬢様の首元で輝いているネックレスは、お嬢様のそばに転がるようにして落ちている。
「まったく。無茶ばかりして…。僕の姫君は…」
優しく手のひらに小鳥の姿となった、アンジェのその肢体を取り上げる。僕の気も知らないですやすやと眠る、小鳥のアンジェの頬に口づける。
「僕を心配させた罰ですよ…」
ふわふわとした心地いい羽根に包まれた頬に口づけ、魔力を吹き込む。魔力欠乏は時と場合によっては命に関わる為に、ここまで極限になるまでは普通使わない。
けれど、アンジェは普段膨大な魔力を有しているせいなのかはわからないけれど、自身の魔力に関しては無関心だ。
本来の身分や魔力の事、彼女の呪いの事、王家に知られれば狙われかねない力の事。考えれば考えるほど厄介だ。
愛しく感じているからこそ、ずっと執事としてでも、そばにいられればいいと思う気持ちと、自分だけの特別な存在になって欲しいという気持ちが、せめぎ合う。自分でもうまく気持ちをコントロール出来ない。
「執事としてしか私を求めていないのでしたら、幼馴染としての私を求めないで欲しい…。そう考えてしまうのは…、私の我儘でしょうか…」
お互いにアンジェが呪いかけられず、僕が隠されずに生まれ落ちていたなら。王家の道具として生きていたなら、こんな期待は持たないでいられたのだろうか…?
たまにそんな事を考えてしまう。今の自由に振る舞うアンジェからしたら、そんな事は求めていないだろうし望んでもいないだろうに。
ただただ僕の心が楽になりたいばかりに。アンジェが望んでくれるなら、こんな国を出て生きていけたらいいのにと願ってしまう。
けれど、今までお世話になってきた公爵家のことを考えると、そんな簡単に切り捨てるわけにも行かない。
「君は…、何を望んでいるのだろうね。そして…、僕は君を諦めるべきなんだろうね…」
ヤワヤワとした羽根に顔を寄せ、頬ずりをしてしまう僕。睡ってる時の君だから、素の僕でいられるんだ。用意された選択肢は少なくて、まだ僕はどうすればいいのか決めきれないでいる。
小鳥の体温は温かい。僕までほんわりとした温かさに意識を奪い取られそうな程心地よい。
普段は自由気ままに、僕の肩や頭を飛び回るアンジェは、安心しきったような顔で、僕の手の中で眠り続ける。
今だけは素の僕でいさせて。君の為にいつか立ち位置をちゃんと選び取るから。
『主…倒れた…。大丈夫?』
ぬいぐるみにしか見えないそれは、不意に声をかけてきた。
二本の足を使いぴょんぴょんとジャンプする様に移動する様がアンジェみたいで可愛い。
アンジェの魔力で動いてるんだろうけど…、本人が倒れても動けるのか。相変わらず規格外だな…。と失礼な感想を抱きつつ、顔全体が黒い不思議な生き物を、安心させる事に意識を集中させる僕だった。
その時に残り少ない魔力を与えたらしく、クタリとぬいぐるみの様な生き物のそばに小鳥の姿で倒れ込んだ。
いつもお嬢様の首元で輝いているネックレスは、お嬢様のそばに転がるようにして落ちている。
「まったく。無茶ばかりして…。僕の姫君は…」
優しく手のひらに小鳥の姿となった、アンジェのその肢体を取り上げる。僕の気も知らないですやすやと眠る、小鳥のアンジェの頬に口づける。
「僕を心配させた罰ですよ…」
ふわふわとした心地いい羽根に包まれた頬に口づけ、魔力を吹き込む。魔力欠乏は時と場合によっては命に関わる為に、ここまで極限になるまでは普通使わない。
けれど、アンジェは普段膨大な魔力を有しているせいなのかはわからないけれど、自身の魔力に関しては無関心だ。
本来の身分や魔力の事、彼女の呪いの事、王家に知られれば狙われかねない力の事。考えれば考えるほど厄介だ。
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たまにそんな事を考えてしまう。今の自由に振る舞うアンジェからしたら、そんな事は求めていないだろうし望んでもいないだろうに。
ただただ僕の心が楽になりたいばかりに。アンジェが望んでくれるなら、こんな国を出て生きていけたらいいのにと願ってしまう。
けれど、今までお世話になってきた公爵家のことを考えると、そんな簡単に切り捨てるわけにも行かない。
「君は…、何を望んでいるのだろうね。そして…、僕は君を諦めるべきなんだろうね…」
ヤワヤワとした羽根に顔を寄せ、頬ずりをしてしまう僕。睡ってる時の君だから、素の僕でいられるんだ。用意された選択肢は少なくて、まだ僕はどうすればいいのか決めきれないでいる。
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普段は自由気ままに、僕の肩や頭を飛び回るアンジェは、安心しきったような顔で、僕の手の中で眠り続ける。
今だけは素の僕でいさせて。君の為にいつか立ち位置をちゃんと選び取るから。
『主…倒れた…。大丈夫?』
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二本の足を使いぴょんぴょんとジャンプする様に移動する様がアンジェみたいで可愛い。
アンジェの魔力で動いてるんだろうけど…、本人が倒れても動けるのか。相変わらず規格外だな…。と失礼な感想を抱きつつ、顔全体が黒い不思議な生き物を、安心させる事に意識を集中させる僕だった。
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