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本編
22(レイス視点)
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「クリームシチューを作りましょう! 確か鶏肉と、じゃがいもに人参と玉ねぎを入れましょう!」
そういうと、レイはキビキビと準備を進めていく。
ただ様子を伺っていると、何かを溶かしながら少しずつ足してるみたいで、牛乳が煮立ってくるとトロトロとしたスープになっていく。
「まだ具材には、味が染みてないかもしれませんが、飲んでみますか? レイス様…」
そう言って、小さな器を渡してくれる。僕の口をつけた反応を見守っているようだ。コッテリとしてるのに、体に優しそうな味…。
レイみたいな優しい味。
僕がシチューとやら夢中になってる間に、フライパンでスライスしてあったパンを油をひかずに焼いてるらしい。軽くバターをぬると僕に渡してくる。
「ありがとう!」
なんだか嬉しい。けれど、味見で渡されたのだからと、そのまま一口食べてみる。
香ばしいのに、いつもよりパリとしていて、中の方は柔かい気がする。すごく美味しいと、ついつい頬が緩む。
「そのままでも美味しいと思いますけど、シチューにつけると美味しいと思いますよ?」
そう言われ、器に少しシチューを足してくれたので、恐る恐るパンをシチューにつける僕。固唾を咽んで見守る料理人達とティーファ。
「これも香ばしくて固くないね! 外はカリカリで中がフワフワだ…。それだけでも美味しそうなのに、シチュー? をつけると更に柔らかくなって、ミルクの濃厚な味もうつって美味しいよ」
つい、料理の美味しさに、うっとりとしてしまう。
気がつくと、レイは何かを考え混んでるみたいでワタワタしている。愛らしい。
レイは、ワタワタとしているかと思ったら、料理の続きを始めようとしていた。生で卵を使うのかな…。そう思い、念の為クリーンの魔法で除菌しておこう…。
卵と柑橘類の果汁、塩、酢を混ぜ合わせている。少しずつ油を混ぜて固くしていくみたいだ手伝いたいけど加減やコツがわからないので黙っておく。
何かをクリーム状にして満足しているみたいなので、完成だろうか。
卵と牛乳、生クリームに砂糖をまぜあわせ、冷凍庫に入れ、凍らせては混ぜるらしい。
「今度は何を作ってるんだい?」
僕がそう聞くと、レイは厨房の火が熱いのか、顔を真っ赤にしている。
「夕飯の楽しみにしていてください」
それだけ言うと彼女は、逃げるように部屋へと帰った。
しばらくすると、サロンに呼び出された。行って見ると、レイが抱きつぶされている。
「父上、母上、なにやってるの?」
少し呆れた声で僕は言う。
「レイが紅茶を淹れてくれててね。あまりに可愛いことを言うから抱きしめてしまったよ。ね、メルア」
「そうね、貴方」
お湯をカップに入れ温め、ローズティーを注ぐ。
「なんで冷めないんだろう……」
思わず呟いた彼女に、笑いながら教える。
「あぁ、料理やお湯やお茶の事? 魔法で一定の温度を保つ様に魔法がかかった食器なんだよ」
「そうなんですね…。だから冷めてなかったんだ。お料理とか……」
せっせと父上、母上、僕にと、レイはお茶を渡しながら言った。
「先に飲んでてくださいね」
レイは、戻ってきたティーファからラベンダーを受け取り、他のお茶も淹れてくれるみたいだ。
笑顔のレイにはもうあの時の泣き叫ぶ影はない。帰りたいだろうに、淋しいだろうに、苦しいだろうに……。
そんな前向きで、真っすぐで、強くあろうとする姿を見ると、支える存在は自分でありたいと思ってしまう。彼女に頼られる唯一になれたらそんな感情の名前を僕はまだ知らない。
そういうと、レイはキビキビと準備を進めていく。
ただ様子を伺っていると、何かを溶かしながら少しずつ足してるみたいで、牛乳が煮立ってくるとトロトロとしたスープになっていく。
「まだ具材には、味が染みてないかもしれませんが、飲んでみますか? レイス様…」
そう言って、小さな器を渡してくれる。僕の口をつけた反応を見守っているようだ。コッテリとしてるのに、体に優しそうな味…。
レイみたいな優しい味。
僕がシチューとやら夢中になってる間に、フライパンでスライスしてあったパンを油をひかずに焼いてるらしい。軽くバターをぬると僕に渡してくる。
「ありがとう!」
なんだか嬉しい。けれど、味見で渡されたのだからと、そのまま一口食べてみる。
香ばしいのに、いつもよりパリとしていて、中の方は柔かい気がする。すごく美味しいと、ついつい頬が緩む。
「そのままでも美味しいと思いますけど、シチューにつけると美味しいと思いますよ?」
そう言われ、器に少しシチューを足してくれたので、恐る恐るパンをシチューにつける僕。固唾を咽んで見守る料理人達とティーファ。
「これも香ばしくて固くないね! 外はカリカリで中がフワフワだ…。それだけでも美味しそうなのに、シチュー? をつけると更に柔らかくなって、ミルクの濃厚な味もうつって美味しいよ」
つい、料理の美味しさに、うっとりとしてしまう。
気がつくと、レイは何かを考え混んでるみたいでワタワタしている。愛らしい。
レイは、ワタワタとしているかと思ったら、料理の続きを始めようとしていた。生で卵を使うのかな…。そう思い、念の為クリーンの魔法で除菌しておこう…。
卵と柑橘類の果汁、塩、酢を混ぜ合わせている。少しずつ油を混ぜて固くしていくみたいだ手伝いたいけど加減やコツがわからないので黙っておく。
何かをクリーム状にして満足しているみたいなので、完成だろうか。
卵と牛乳、生クリームに砂糖をまぜあわせ、冷凍庫に入れ、凍らせては混ぜるらしい。
「今度は何を作ってるんだい?」
僕がそう聞くと、レイは厨房の火が熱いのか、顔を真っ赤にしている。
「夕飯の楽しみにしていてください」
それだけ言うと彼女は、逃げるように部屋へと帰った。
しばらくすると、サロンに呼び出された。行って見ると、レイが抱きつぶされている。
「父上、母上、なにやってるの?」
少し呆れた声で僕は言う。
「レイが紅茶を淹れてくれててね。あまりに可愛いことを言うから抱きしめてしまったよ。ね、メルア」
「そうね、貴方」
お湯をカップに入れ温め、ローズティーを注ぐ。
「なんで冷めないんだろう……」
思わず呟いた彼女に、笑いながら教える。
「あぁ、料理やお湯やお茶の事? 魔法で一定の温度を保つ様に魔法がかかった食器なんだよ」
「そうなんですね…。だから冷めてなかったんだ。お料理とか……」
せっせと父上、母上、僕にと、レイはお茶を渡しながら言った。
「先に飲んでてくださいね」
レイは、戻ってきたティーファからラベンダーを受け取り、他のお茶も淹れてくれるみたいだ。
笑顔のレイにはもうあの時の泣き叫ぶ影はない。帰りたいだろうに、淋しいだろうに、苦しいだろうに……。
そんな前向きで、真っすぐで、強くあろうとする姿を見ると、支える存在は自分でありたいと思ってしまう。彼女に頼られる唯一になれたらそんな感情の名前を僕はまだ知らない。
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